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2008年5月 9日 (金)

吉兆、それはないやろー!(涙)

ここのところ、テレビ局などから当社の出版物を資料としてテレビ番組で取り上げてもよいかという問い合わせが多くあります。いちばん多いのは図鑑類の写真などを使わせてほしいというものですが、「そろそろ来るかな」と思っていたらやっぱり来たのが「吉兆」です。保育社では1975年に写真集「吉兆」を刊行しています。

本日のTBSテレビ「2時っチャオ!」でも、料理使いまわしにゆれる「船場吉兆」の報道とともに、かつての名門料亭「吉兆」の資料としてこの本が紹介されるようです。

この本は、吉兆の四季折々の料理や器、お座敷の掛け軸などを入江泰吉氏の写真と、吉兆創業者である湯木貞一氏の解説でまとめたものです。当時の価格で8万円というたへん豪華な本です。

今では絶版になっているが、一部ご紹介しますと、004

こういう立派な箱に入っていて、それを開けるとさらに↓

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こんな箱が現れて、そしてそれをあけると(ロシアの人形を思い出す・・・・・・)

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この本のために織られた布に包まれた本体と解説書が出てきます。装丁にもこれだけのこだわりがあったのは、湯木貞一氏の「本物」「一流」志向を汲んでのものであったと聞いています。

そして本体を開けると↓

002

芸術品のような料理の数々。当時の料理人はこの本を見て、吉兆の料理の技を学んだといわれています。

昨年の食品偽装騒ぎの際、私は「吉兆、よみがえれ!」という日記を書きました(07/11/18)。

http://hoikusha.txt-nifty.com/blog/2007/11/index.html 悪いのは偽装を指示した経営側であり、その指示に従った従業員はかわいそうだという気持ちでした。しかし、今回、また新聞をにぎわしている「使いまわし」の件はとても弁護できるものではありません。

かつて、学生時代に、学食のランチのパセリが使いまわしされているという話題はよく笑い話としてされていましたが、まさか吉兆でそんなことが行われているなどとだれが想像しましょう。これは料理の質とかいう以前の問題です。ラーメンを出す際にオヤジの指がスープに浸かっていたということとも別問題です。いわば、厨房という密室でつくられる料理を、運ばれた客が何の疑いもなく食べられるのは、そこに「自分のために作られた料理である」という当たり前の信頼関係が成り立っているからです。そして、それはいくら経営側からの指示があったとしても調理人として加担してはいけない最低のモラルのはずです。

吉兆の料理人になるような人は、高い志をもって吉兆へ就職したはずです。その志をまったくなくしてしまっている指示を出した側と、それを受け入れた料理人。当然、組織としては指示を出した側により責任はありますが、どちらも飲食業に従事する人間としては失格としか言いようがありません。

そして、いちばんかわいそうなのは「客」です。とくに吉兆のような料亭は接待に使われます。吉兆を信じて、自分の大切な人を招いたお客さんは、相手に対してどれだけ申しわけない思いをすることでしょう。

自分たちの商売がどこに価値を認められて成り立っているのかを忘れて、目の前の料理を出すことだけにしか考えが及ばなくなってしまっていたのです。伝説の料理人・湯木貞一の築いたのれんは、創業数十年を経て汚れてしまいそこで働く人さえもその汚れに気づかなくなってしまっていたことが、とても残念です。

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