読んだ本

2011年2月15日 (火)

「今の農業は観察する力を失っています」

今さらながら
「奇跡のりんご」で知られる農業家・木村秋則さんの本を読みました。

日記のタイトルはその本の中の一文です。

木村さんは脱サラして農業をはじめ、
常識外れと言われたりんごの「自然栽培」に
チャレンジします。

しかし、失敗の連続。
農薬を使わない栽培で、
リンゴの木はことごとく虫にやられてしまいます。

無収入のまま、貧乏生活を強いられ、
ようやく畑全面にリンゴの花が咲いたのは11年後。

その間、近所の農家からは変人扱いどころか、
「あほ」「ろくでなし」と罵倒され、
地域の回覧板さえ回らなくなるような仕打ちを受けます。

しかし、観察に観察を重ね、
試行錯誤を繰り返し、
とうとう自然栽培のリンゴづくりを成功させるのです。

読んでいて、自分自身のことを振り返ってしまいます。

便利だからといって、
目の前にあるものを、深く考えずに使う。

みんながそうしているから、
そのやりかたをそのまま踏襲する。

これを続けると、
人間は自分でものを観察したり、
なぜ?という疑問さえもたなくなります。

農業だけじゃなく、
現代人は観察する力を失っています。

この言葉に私が反応したのは、
じつはつぎに出す本のテーマにも
深い関係があるからです。

「子どもの理科離れ」が
言われて久しくなりますが、
ますます加速度を上げている感があります。

京都の小学校で理科の専任教諭をされている
安達誠先生は、
理科が好きな子どもの力を伸ばすことに
全力を注いでおられます。

安達先生のお話を聞いて思ったことは
理科というのは、
まず観察して、
その変化をとらえて、
その理由を考える
という勉強なんだということでした

これってまさに木村秋則さんが、
言われていることと同じです。

その「課題を見つけて、その原因を明らかにする」という
科学的なものの見かたというは、
なんらかの訓練ですぐにできるようなものでもありません。

安達先生は
「日常の生活から生まれてくるものです」と言います。

子どもが理科離れするか、しないかは
中学生までに決まります。
だから家庭での子どもとの接しかたがポイントになります。

このようなテーマの本をこれも3月に
出せるように現在、鋭意編集中です。

追ってこの日記でご紹介させていただきます。

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2009年2月21日 (土)

『虫捕る子だけが生き残る』

ひさびさに読んだ本の紹介を。

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『虫捕る子だけが生き残る』(小学館101新書 養老孟司/池田清彦/奥本大三郎著)

サブタイトルは
「脳化社会」の子どもたちに未来はあるのか
http://www.amazon.co.jp/dp/4098250144

当社の『昆虫摩訶ふしぎ図鑑』のご推薦コメントをいただいている奥本大三郎先生のご著書でもあり、昨年の刊行後すぐに買った。紹介しようと思いつつはや3か月……。

子どものころから虫を捕ったり標本を作ったりしていると、細かいところに気がつくようになりますよね。感覚が鋭くなる」(池田)というのが全体を通しての主旨。
リアルな体験をすることによっていろいろな疑問がわき、またその疑問によって観察力や洞察力がついてくるのだろう。

これは虫捕りだけに限ったことではない。
たとえば誰かの似顔絵を描こうとしたら、
まずはその人の特徴はなにかを観察しなければならない。
(……こんなことを書き出すと話がそれそうなので、元に戻そう。)

本当に虫好きのお三方の対談で、
真面目なのかユーモアなのかわからないところがよけいにおもしろい。
しかし、それぞれがご自分の専門分野をおもちなので、
「なるほど、そういう見方があるのか」とうならされる。
またいろんな話をよく知っておられること。
やはり深い知識をもっている人ほどその周辺の知識の幅も広がっていくのだ。
よく言われることだが、
深い穴を掘るほど、その穴の直径は大きくなるということだろう。

ところで、この先生方に見つかったら怒られそうな
保育社の「原色むしむしゲーム」。(笑)
http://www.hoikusha.co.jp/game/index.html

Photo_2

でも、ねらいはリアルで虫捕りをしたことのない子どもたちにも、
まずはゲームで虫捕りを楽しんでもらって、昆虫に興味をもってもらうこと
そこをわかっていただければ、虫を愛する先生方にも許していただけると思う。(ホント?)

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2008年12月24日 (水)

天才バカボン公認副読本『これでいいのだ 14歳。』

北村雄一先生トークショーのお知らせも下にあります

赤塚不二夫さんが今年なくなってしまったので、
書店には追悼本も並んでいる。

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天才バカボン公認副読本
『これでいいのだ 14歳。』
サブタイトルは
「バカボンパパに学ぶ 14歳からの生き方哲学100」
(講談社 週刊少年マガジン創刊50周年記念)

ちょうどこの本がなくなった直後に発売(奥付は10月21日)されたので
その1つかなと思ってしまうのだが、
じつはまったく関係なく企画された本。
ソニー・デジタルエンタテインメント・サービス社長の福田淳氏が
一風変わった子ども時代を過ごして「おもしろ人間」になった7人への
インタビュー企画である。

「大人は読んではいけないのだ!」
と書いてあるが、大人だから読みたいのだ!

その7人の中の1人に……

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「人類の幸せを願って深海魚に興味を持った人」として紹介されているのが
……『深海魚摩訶ふしぎ図鑑』の著者でもあります
北村雄一さんです。

「みんなが幸せ求めるから、不幸になる」
「三択問題に人生の機微なし」
「カクレクマノミはパパがママなのだ」
「人間は炭素と水素と酸素でできている」

……やっぱり、おもしろいです。
北村ワールド全開です!(笑)

ご興味のある方はぜひお読みください。

実際に北村さんの話を直接聞いてみたいという方は
……来年2月13日ジュンク堂新宿店にて
『深海魚摩訶ふしぎ図鑑』出版記念
北村雄一さんトークショー 開催
します!
19時スタート予定

詳細はまたわかり次第こちらでもお知らせします!

深海魚摩訶ふしぎ図鑑は大型書店の自然科学コーナー、
またはWEB書店でどうぞ!
http://www.amazon.co.jp/%E6%B7%B1%E6%B5%B7%E9%AD%9A%E6%91%A9%E8%A8%B6%E3%81%B5%E3%81%97%E3%81%8E%E5%9B%B3%E9%91%91-%E3%80%8C%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%82%E3%81%AE%E6%91%A9%E8%A8%B6%E3%81%B5%E3%81%97%E3%81%8E%E5%9B%B3%E9%91%91%E3%80%8D%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E5%8C%97%E6%9D%91-%E9%9B%84%E4%B8%80/dp/4586313013/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1230121868&sr=1-1

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2008年12月 7日 (日)

『できそこないの男たち』

生きもの摩訶ふしぎ図鑑」シリーズ(http://www.hoikusha.co.jp/new/index.html)を編集したせいか、
最近これまで読まなかった本にも手が伸びるようになった。

できそこないの男たち』(福岡伸一著 光文社新書)

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生物学的に見て、男は女のできそこないだといってよい。……」という
衝撃的なテーマの本だが、これがおもしろい。
いや、内容は専門的でむずかしく理解はできないのだが(トホホ)、
文章が非常に文学的、詩的で、引き込まれてしまう。

著者は青山学院大学分子生物学の先生である。
昨年だったか、『生物と無生物のあいだ』でサントリー学芸賞を受賞されている。

「……だから男は、寿命が短く、病気にかかりやすく、精神的にも弱い。
しかし、できそこないでもよかったのである。所期の用途を果たす点においては。
必要な時期に、縦糸で紡がれてきた女系の遺伝子を混合するための横糸。
遺伝子の使い走りとしての用途である。

私など、経験上「女性にはかなわない」と思い続けているが、
こうズバリ書かれると納得してしまう。
「そうだったのか、やっぱり」と。

納得するにはもう一つ理由がある。
このたび刊行したばかりの『深海魚摩訶ふしぎ図鑑』でも、
オスとメスに関することは多くの深海魚についてもふれられているのだ。

「ヨコエソ」などは小さいときはオスで、大きくなるとメスに性転換するというし、
「ミツマタヤリウオ」のオスは結婚するとすぐ死んでしまう。
「ビワアンコウ」の数センチ足らずのオスは、
メスに出会うとメスにかじりついてそのまま離れず
メスから栄養をもらって一生暮らすらしい。

昆虫摩訶ふしぎ図鑑』のなかでも、
「キベリハムシ」のように「単為生殖(たんいせいしょく)」といってメスだけで増えることができる昆虫が紹介されている。

そんなことからも
「生命の基本仕様、それは女である」
というテーマにうなずかざるをえないのである。

ところで、この本でもう一つびっくりしたことがある。
それは福岡伸一教授が子どものころ、家に保育社の図鑑があり、
蝶と昆虫の図鑑を愛読していたという記述がある
ことだ。

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「子供の頃、保育社の『標準原色図鑑全集』が家にあった。貝、魚、鳥、植物、樹木、はては岩石鉱物までをも網羅していたが、二冊を除いてはほとんど新品同様だった。蝶と昆虫の巻だけ、カバーが擦り切れ、小口は手垢で黒ずんでいた」
……らしい。

福岡伸一教授の研究の土台をつくるうえで保育社の図鑑が役立ったことは嬉しい限りである。

保育社の原色図鑑↓
http://www.hoikusha.co.jp/product/gen.html

保育社の『深海魚摩訶ふしぎ図鑑』『昆虫摩訶ふしぎ図鑑』↓
http://www.hoikusha.co.jp/new/index.html

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2008年11月18日 (火)

『東大合格生のノートはかならず美しい』

最近、自社本の宣伝ばかりなので、他社で読んだ本を1つ。

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『東大合格生のノートはかならず美しい』(太田あや 文藝春秋)。

東大に合格した人たちの受験ノートを集めて、その法則を見つけたという本。
著者は東大出身者ではないが、●ネッセで中高生向けの通信教材の元編集者である。

思わず手にとった。
本当に美しく書かれている。

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東大合格生は頭のなかの整理整頓がインプットの段階でできているのだ。

書きかたはそれぞれだが、共通するのは
読み返すときのことを考えて、ノートを書いているということ。

こういうきれいなノートを書ける人は編集者としての適性も高いだろうなぁ。

著者が何人もの東大合格生ノートを見て見つけた「法則」は
1)文頭はそろえている
2)移す必要がなければコピーを貼っている
3)大胆に余白をとる
4)インデックスを活用
5)ノートは区切りが肝心
6)オリジナルのフォーマットをもつ
7)当然、丁寧に書いている
……の7つだそう。

立ち読みでいったん元に戻したが、
東大には縁がなさそうではあるが、
わが家の未来の受験生にも
こういうハイレベルなノートを見せておくか、と購入した。(゚▽゚*)

ちなみに私のふだんのノート。

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ここ数年、ずっと同じもの。
年に数回、コーナンでまとめて買ってくる。(゚ー゚;
東大合格生の法則だと
「大胆に余白をとる」以外はあんまり当てはまらないかな。(笑)

基本的には左側ページしか本文は書かずに、
後からのメモを左側に追加していくようにしている。
(このページは仕事とは関係なく、図書館で中国の歴史をメモったもの。)

後から調べたり、読み返してまとめを追加して書くことが多いので、いつの間にかこういう使いかたになった。そういう意味では「オリジナルのフォーマット」の法則かもしれないな。

・・・・・・などと今ごろ東大合格生と張り合っても仕方ないか。(笑)

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2008年9月27日 (土)

『後継社長という人生』

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書店でふと手にして読み始めたら半分くらい読んでしまったので、そのまま買ってしまった。

『後継社長という人生』(アタックスグループ著 かんき出版)。

生まれながらにしてオーナー会社の跡継ぎという人生はどんなものだろうか、
と保育社の社長になってから思いがめぐるようになった。

昔は「将来が決まってるからいいよな」くらいにしか思っていなかったが、
「将来、社長になる」と決まっている人生は、傍から見るより気楽なものではない。

この本にも書いてあるが、そもそも後継社長の絶対的なミッションとして
1)つぶさない
2)先代よりも成長させる
3)さらに次の世代にバトンタッチする
……がある。

よく会社や組織は3代目が大事と言われる。
創業者はもちろんたいへんである。
一代で終わることも多い。

しかし、成功すれば会社は創業者から次の経営者にバトンタッチされる。
これが後継社長である。
ただ2代目は創業社長といっしょに働き、その姿を見ていたりもするし、
まだ安定期である事業を引き継ぐことができることも多い。

ところが3代目は、創業の事業が衰退期に入っていたり、
創業時のプロセスや苦労を知らない世代になる。
そこで、事業にてこ入れをして、衰退期からまた成長期に戻すか、
新規事業を開拓していくことが3代目には求められることになる。
しかもつねに創業社長・2代目社長と比べられながら、である。

これは創業社長とはまた別の種類の苦労である。
これまで会社が進んできた、良くも悪くも既成の実績、社内外のしがらみなどに対して、
あらたな視点でもう一度評価をしなおすところからスタートしなければならない。

そして、新規事業を開拓していく点においては、
会社のインフラが整っているという利点はあるが、
創業社長と同じ苦労がある。

私の場合は、事業譲渡という形で
思いがけず保育社の3代目の社長になったが(前保育社とは別会社ではあるが)、
やはり保育社という名まえを受け継いだ限り、
社長としての3つのミッションは後継社長と同じである。
サラリーマン根性ではやっていけない。

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2008年9月20日 (土)

『ひなちゃんの日常』

本は読みたい。
でも仕事がらみとか、頭を使いそうなやつとか、分厚いのとか、
そんなのは避けたい気分のとき、マンガコーナーに行く。

先日もそんな気分でマンガコーナーに行ったとき、
笹Bさんが前に「おもしろいです」と言っていた
『ひなちゃんの日常』(南ひろこ 産経新聞出版)を見つけた。

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『グーグーだって猫である』も読みたいなと思っていたので、
どちらにしようかと思ったが、こちらにした。
(最近はすべてビニールに入っているので見て選べない。うーん、こういうときは出版人ではなく読者として“ビニールじゃまだな”(`ε´)と思う)

変則的な8コママンガ。
タイトルどおり、ひなちゃんの日常に心いやされる。
たとえば、
カメムシを見つけて「さわっちゃだめよ~くさいから」と
お母さんに言われたひなちゃんは
「じゃぁカメムシはお父さんにもお母さんにも、だれにもさわってもらえないのですか……」と
ホロホロと泣いたり……というマンガである。

ところどころ、
「これは大人の中の子ども像だなぁ」と思うようなところもないではないが、
小さな日常のエピソードに
子どもの純粋さやかわいさを見つけ出す(創り出す)感性は
さすが女性、男性には描けないだろうと思う。

また心に乾いた風が吹いたときは(゚ー゚; 2巻を読もう。

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2008年9月18日 (木)

『ムーミン谷のひみつ』

じつは『ムーミン』が好きです。
先日、こんな本を見つけて読みました。
『ムーミン谷のひみつ』(冨原眞弓著 ちくま文庫)。

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子どものころに見たアニメの影響ではありません。
好きになったのは、どちらかと言えば、
大人になってからです。

好きなマンガの男の子のキャラクターは?と聞かれたら、
私はこの「ムーミントロール」と「バカボン」と答えます。(゚ー゚)

どちらも、ちょっとドン臭いけど、
純粋でやさしくて、クヨクヨするところもあるけど、
だけどいざというときには勇気があります。
後先考えずに、自分より強いものにだって向かっていきます。
すごく人間らしい(ムーミンは人間ではないけれども)男の子だからです。

ムーミンの話は、子ども向けというよりも、
もともとは大人向けの話だと思います。
昔のアニメのムーミンは(私が子どものころカルピス子ども劇場?でやっていたもの)
あまりにもキャラクターの「かわいさ」だけが強調されていて
かなり口当たりのよい、ある意味、毒のないものでした。

本来のムーミンのストーリーは非常に哲学的です。
あれがいい、これがいい、というようなはっきりしたことは書いていなくて、
すべてにおいて、どこかあいまいです。
そもそもムーミンやそのほかの登場人物自体がなにものかがわからない。(゚ー゚;

自由と孤独。
冒険と安定。
責任と無責任。
怒りと哀しみ。
……いろんなものが描かれていて、
どことなくいつもさみしい(色でいえば青白い世界)。

だけど、その背景には、
どんな苦境にも知恵と勇気をもって向かっていく強さみたいなものが
描かれているように思います。

この本ではそれぞれの登場人物のエピソードごとに、
ムーミンのストーリーがもつテーマを教えてくれます(私は今は『ムーミンパパ海へいく』での、ムーミンパパの焦りやさみしさが、父親として、男として、わかる気がします)。

ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンはスウェーデン生まれのフィンランド人。

ちなみに、フィンランドという国では
「夕方4時になれば仕事を終えて、土日は仕事をせず、夏休みは4週間以上とる」のが平均的」らしいです(『フィンランド 豊かさのメソッド:堀内都喜子著 集英社新書』。

そのフィンランドはOECDの生徒学習到達度調査の科学的リテラシーの分野で、2回続けて世界1位、
世界経済フォーラムの国際競争力ランキングでも2001年から4年連続1位だそうです。

みせかけの「ゆとり」ではなく、
生活に根付いたゆとりが、人間が本来もっている強さや知恵を
育てるのかもしれないとも思います。

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2008年8月25日 (月)

魔法のラーメン発明物語 -私の履歴書- 安藤百福著

先週は東京出張。新幹線は絶好の読書タイム。なのにあわてて出てきたので読む本がない。そこで新大阪駅の書店で新幹線用に購入。

荷物があるときはやはり文庫本に限る。

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『魔法のラーメン発明物語 -私の履歴書- 安藤百福著』(日経ビジネス人文庫)。

あらためてすごい! 安藤百福氏はベンチャー・スピリットあふれる生きざまである。

チキンラーメンの開発に成功したのが48歳。ふつうなら守りに入りかける年である。しかし氏は言う。「人生に遅すぎることはない」と。

そのチキンラーメンとて、最初からうまくいったわけでもない。うどん玉が6円、乾めんが25円の時代に35円という価格。

言い尽くされている「(顕在化した)お客のニーズに応える」という発想であったなら、
チキンラーメンは生まれなかっただろう。

チキンラーメンは、お客に「ニーズを認めさせた」商品である。
それは開発にあたって安藤氏が掲げた5つの目標が時代を読んでいたからである。
1)おいしくて飽きの来ない味
2)家庭の台所に常備できる保存性
3)料理に手間がかからない
4)値段が安い
5)安全で衛生的

値段は価値との関係だから、当時、うどん玉と比べたら圧倒的に高いが、
価値を含めて考えると「高くない」と思わせるものがあったのだ。

チキンラーメンの成功の後、カップヌードルを開発してこれも大成功。
今では当たり前のこの商品も、カップの素材からめんの揚げかたから、フタの開発に至るまで
すごい発想の連続で読んでいておもしろい。

その後に開発したカップライス。
私も、発売当時のことを覚えていて、一度くらいだけか?食べた記憶もある。

しかし、思うように売れなかったらしい。
安藤氏が当時にして30億円を投資して開発したものの、
断腸の思いで早期に撤退する。

「経営は進むより退くほうが難しい。
撤退のときを逃したら、泥沼でもがくことになる。
幸い私は創業社長だった。
自分の責任で決断できた。」

知らないあいだに姿を見なくなったカップライスにそんな苦渋のストーリーがあったことを初めて知った。

ページにして140ページ(「私の履歴書」の部分のみで)。
あっという間に読める本だが、ベンチャー魂とはなにかを教えてくれる中身の濃い本である。

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2008年8月16日 (土)

『会社のつくり方』               『渋谷ではたらく社長の告白』

夏休みの合間、合間に書店で立ち読みしたり、本棚から古い本を引っ張ってきたり・・・・・・。

以前読んだ本で、今さらながらと思い本棚から気になって手にとったのが、『会社のつくり方 成毛流「起業心得」』(成毛眞著 日経文庫)と『渋谷ではたらく社長の告白』(藤田晋著 アメーバブックス)。

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どちらも2005~2006年に読んだ本。成毛氏は元マイクロソフト社の社長、藤田氏はサイバーエージェントの社長。

『会社のつくり方』は以前読んだときはピンと来なかったことが、今読むと「なるほど」とうなづける。さすがマイクロソフトに中途入社して社長にまで登りつめた人だけに教科書的な内容でも、社内外の力学なども含めて書いてあるところが実用的。

「40代は意外なほど起業するには向いていない年齢です」などと書かれてあり、たしかに読むと納得感がある。私の場合は起業ではなく、親会社からの任命により社長になったが、40代の社長がスタートする会社のむずかしさもちゃんと書いてある(前に読んだときはまだ他人事のように思っていたのかもしれません)。

いっぽうの『渋谷ではたらく社長の告白』はゼロから会社を立ち上げ、いまやインターネットの広告会社としてはナンバーワンまでにしたジャパニーズ・ドリームの実現者である。しかし、そこに行くまでの道のりやプレッシャーたるやたいへんなものである。これも以前読んだときよりも、その苦労のほどがわかる。

いや、実際は経験者でないとわからない不安とプレッシャーと恐怖なのだということがわかるようになったのかもしれない。

私も社長になって1年、本当の意味での社長業はこれからなのだ、とあらためて思う夏です。

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