2013年3月31日 (日)

『暮らしの色彩』

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カラーブックス145「暮らしの色彩」 著(昭和43年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第132回目の最終回は、彩(いろどり)鮮やかなカラーブックスをご紹介いたします。最終回は、今までご覧いただいた皆様に感謝感謝の一冊、『暮らしの色彩』です。

色、それは私にとってトラウマ以外の何物でもありませんでした。保育園に通っていた頃から、どんな絵を描いても茶色くなってしまうのです。自分で意識した事はありませんが、好きな色の絵の具を混ぜていると、なぜか茶色になってしまい、画面が濁って汚い色になってしまうのです。そのおかげで、小学生、中学生と、水彩絵の具で絵を描くことが嫌いで、自信を持って絵を描くことができなくなってしまったのです。そのトラウマを開放してくれたのが、高校時代の美術の先生でした。日本画の家元に生まれながら東京芸大の油絵科を卒業したという異色の画家O先生は、最初の授業でこう言いました。「いままで水彩絵の具で絵が嫌いになった人も、絵が好きになる絵の具を使います」と。それがアクリル絵の具「リキテックス」でした。透明感のあるリキテックスは、色が混ざって濁ることがなく、すぐに乾くので上から色を重ねることもできます。何にでも描け、しかもすぐ乾く。そして汚れない。なんという魔法のような絵の具なのでしょう! 以降、私は絵を描くことが大好きになり、のちに油絵を描いたり、カラーでイラストを描いたりするようになりました。今度、時間があるときにでも久しぶりにアクリル絵の具で何か描いてみたいなー、なんて思ったりした今日この頃なのでした。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、暮らしの中にある色選びやセンスを磨く色彩入門的な一冊です。著者は、女流画家協会委員にして山脇服飾学院講師だった神戸文子氏。神戸氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「色を選ぶ時、センスの良さ、かんの良さだけに頼るのでなく、なぜそれを用いるか、の理論的な裏づけが必要です。しかし、それはむずかしい色彩理論を勉強せよというのではありません。今まで、何げなく見すごしてきた色彩を、正しく見る目を養い、選んだ色をどこにどのように、いかに美しく配色するかに、もう少し神経を使ってほしいということです。」

たしかに、私たちは知らず知らずのうちに色に囲まれて生きています。そして、洋服を選んだり、カバンを持ったり、部屋に置くインテリアを買ったりするとき、その配色について考えています。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな色を見る目を養うための基礎的な知識を学ぶ、かんたんなカラーコーディネート入門です。さて、カラーブックスといえば、豊富なカラー写真。カラー写真といえば、色。カラーブックスブログの最終回を飾るのにふさわしい、カラフルで毒々しい色の洪水的な図版の数々をどうぞたっぷりとご堪能ください。
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↑赤
「赤に黒のボタンとベルトで個性的な強さを」赤、それは女性を情熱的にさせる。赤、それは羞恥や嘘を意味する。赤面、赤っ恥、真っ赤な嘘…。レナウンの「イエイエ」時代を思わせるファッションに思わず赤面!
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↑パステル・カラー
「中間色のソフトなニュアンスが都会的です。」パステル・カラーを説明するのに、本物のパステルを使うところがカラーブックスクオリティ。でも、女性の服の色はちーっともパステルカラーじゃないゾ。
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↑居間の色彩
「お嬢さんのお友だちが来るというので、全体赤い調子をつけてみました。暖色系の造花、テーブルクロスもかわいらしいものに、机の上にキャンディ入れ。ずっとはなやかな感じに変わりました。」まるで『暮しの手帖』がコーディネートした家みたいでステキ。あれ? このワンちゃん、さっきから動かないや。
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↑黄を基調とした小物の構成
黄というか金というか、なんか見てるだけで気がおかしくなりそうな世界観です。特に、サタンというかピエロというか、お前だよ!
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↑ウインドウ・ディスプレイ 小泉正名
「夏。海の中を表わしたもの。貝のフォルムに流動感があります」銀座和光らしいお上品な飾りです。右に沈むは、昔の漁業で使われていたガラス製の浮き(ビン玉)じゃござんせんか。今や飲み屋の飾りでしかお目にかかりませんが、当時は現役だったのでしょう。しかしこのディスプレイは上品だ、いや上品すぎる!

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『暮らしの色彩』は品切れ中ですが、芸術入門のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、いろいろ色のことがわかってしまう一冊『暮らしの色彩』のご紹介でした。

〈最後に〉
この「カラーブックスの達人ブログ」を始めたのは2007年10月のことでした。あれから5年と5カ月、毎月2回の更新を続け、気がつけば今回で132回目になっていました。皆様のおかげで、こんなにマニアックな内容のブログにも関わらず、のべアクセス数も10万を超えました。私の拙い文章でカラーブックスの魅力をどこまで紹介できたのか疑問ではありますが、こんなに面白いカラー文庫が1962年から1999年まで発行されていたということを毎月お伝えすることができただけでも幸せな5年5カ月でした。
先日、コメント欄に「文体がくどくて読みずらい」というお叱りのコメントをいただきましたが、失礼なキャプション、ふざけた表現、ゆきすぎた暴走気味の文体など、お読みいただいた方を不快な思いにさせた表現が多々ありましたこと、深くお詫び申し上げます。
そして、これだけ長きに渡って連載をし続けてこれましたのも、ひとえに保育社の前社長・松井貴彦様のお陰です。本当にありがとうございました。このブログの連載はこれにて終了いたしますが、いつかまた、未だ紹介できていない700冊以上のカラーブックスのために、しばらくこのページを残しておきます。近いうちに別のブログに移行するかもしれませんが、その時は改めてこのページ上にてご連絡いたします。
ご愛読くださった皆様、コメントをくださった皆様、叱咤激励をくださった皆様、本当にありがとうございました。そして、私の生活を豊かにしてくれた、全909冊のカラーブックスに感謝申し上げます。
そして、このブログのための写真撮影からアドバイスまで、いろいろと支えてくれた妻の弥生にも感謝いたします、ありがとう。

では皆さん、さようなら、また会う日まで。

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『讃岐 味どころ』

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カラーブックス703「讃岐 味どころ」 泉 忠夫 著(昭和61年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第131回目は、おもわず「ぶっかけ」たくなるカラーブックスをご紹介いたします。今回は、歯ごたえ噛みごたえ充分な一冊、『讃岐 味どころ』です。

先日、野暮用で香川県と徳島県へ行ってまいりました。香川へは5年ぶり、徳島は生まれて初めて訪れたのですが、どの場所でも美味しい料理にありつけて大満足の四国滞在でした。香川といえば讃岐国、讃岐といえばうどん、美味しい「さぬきうどん」を今回も食してまいりました。前回の香川では3軒ほどうどん屋を回ったのですが、今回は時間がなく、1軒だけうどん屋へ寄りました。こんぴらさん(金刀比羅宮)の参道沿いにある「こんぴらうどん」は、築百数十年の「さくらや旅館」という元旅館の建物を改装して営業している老舗のさぬきうどん店。創業65年とのことです。ここの名物「しょうゆうどん」は、温めたうどんにねぎ、生姜、テンカス、花かつおをのせ、特製のだししょうゆを少しかけ、よくまぜていただきます。この特製だししょうゆが絶妙で、しょっぱすぎず、甘すぎず、クセになるお味でした。こんぴらうどんは、インターネット通販でも買うことができますので、気になった方は是非。あ、ちなみにお店の回し者ではございません、念のため。

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↑写真は、温玉ぶっかけうどん

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな香川の食の魅力をたっぷりと紹介した「さぬきグルメマップ」な一冊です。著者は、西日本放送アナウンサーを経て、ラジオ局プロデューサーだった泉忠夫氏。泉氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「讃岐人でうどんについて一言ない人はいない。ある店がよかったと言えば、たちまちそんなところよりはあすこという反論が返ってくる。今回の取材でも、しょっちゅう、快い嘲笑にあった。どうかあとは、ご自分でうどんの旅をしていただきたい。」

たしかに、うちの弟の嫁さんが讃岐人なのですが、地元民はうどんについて並々ならぬ思いがあるということを教えてくれました。それぞれにお気に入りの店があり、そしてほぼ毎日食しているという日常食、さぬきうどん。さらに知りたくなった方は「恐るべきさぬきうどん」(新潮文庫、絶版が残念)という名著をご一読ください。今回ご紹介するカラーブックスは、そんなさぬきうどんから魚料理、洋食や割烹、喫茶までを紹介した、文字通り香川県グルメガイド(86年度版)です。今は閉店してしまったお店も多いでしょうが、このブログがただのガイド本を紹介するわけがありません。昭和の雰囲気がバッチリ閉じ込められたカラーブックスのカラー写真をご紹介するのが真の目的。ここでも、いかにもな昭和写真の数々をご堪能ください。ズルズルズルズル…(うどんをすする音)

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↑プラザ(レストラン)
「暇があるとここに来ている。ここからは女木、男木、小豆島、晴れた日には瀬戸大橋も本州の山脈も見える。太陽の光と海の色をグラスに受けてゆるゆると飲む。」女子大生ブームの残党か、はたまたB&Bの残り香か、クシャクシャヘアーが瀬戸内海によく映える。
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↑ステーキハウス千萬(ちまん)
「煉瓦や銅を使い、照明も少し落とした店内。インテリア代わりに並べられたアクセサリー類が、心にくいほど似合っている。」松方弘樹と梅宮辰夫がグラスをかたむけ「バブルスター!」そんな男気あふれるステーキ店。
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↑更科(そば)
え!讃岐なのに、おそば?! 東京ではおなじみの更科そば。そば粉は、大阪や信州から取り寄せているというこだわりっぷり。昭和26年開業の老舗で、伝統の味を守り続けている。3枚くらい食べちゃいそうな、素敵なファッションのオネーチャンが印象的。
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↑酔灯屋(すいとうや)洋風割烹
「好きですか?を福岡弁で言うと「すいとうや」。この店の名前は、それに漢字をあてたもの」。濃い顔の客に、気の良さそうなマスターが料理を運ぶ。出てくる料理は和食でも、店の内装、西洋風。焼酎ブームを先取りし、当時から150種類の焼酎を取り扱っていたその心意気やよし。
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↑べべんこ(しゃぶしゃぶ)
「お腹がおきた、とは讃岐の方言で、満腹だということ。べべんこ、これは仔牛のことである」桑田真澄風の彼氏と、早見優風の彼女が食すしゃぶしゃぶ写真を見ているだけで、お腹がおきること間違いなし!
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↑道頓堀(割烹)
「和牛肉の叩き“すてえき”は、なまじっかな肉料理専門店で食べるよりうまいほど。」まるで兄弟のようなデップリおじさんたちが、ドッシリとカウンターでコッテリした料理をタップリといただく。
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↑長江(中華)
「おまかせのコースにする人がほとんどで、行く度に違う味に出会えるのがうれしい。讃岐の五目寿司をヒントにした、具だくさんの冷麺は夏場のおすすめ品。」テクノカットの若者たちが食すのは、主人の実験料理…失礼、アイデア料理か。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『讃岐 味どころ』は品切れ中ですが、味めぐりのカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、今度行ったときはうどん屋めぐりをしたくなる『讃岐 味どころ』のご紹介でした。

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2013年3月11日 (月)

『水族館』

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カラーブックス860「水族館 ラッコ館長打ち明け話」 著(平成6年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第130回目は、思わずお腹で貝を割りたくなるカラーブックスをご紹介いたします。今回は、巨大な水槽に囲まれた館を丸ごと紹介する一冊、『水族館』です。

私が子どもの頃、水族館は家のすぐそばにありました。それは東池袋の「サンシャイン国際水族館」。ここにエリマキトカゲやラッコ、ウーパールーパーが来たときも、親に連れられて見に行きました。東京生まれの子どもにとって、サンシャインの水族館は珍しい海の生物を気軽に見に行ける、身近な水族館でした。オトナになった今ではほとんど足を運ぶことはなくなりましたが、たまに「あのリュウグウノツカイのミイラはまだ展示されているのかな?」と思い出すことがあります。そう、地震の発生する可能性が高い場所で水揚げされる、あの幻の魚です。サンシャインの水族館にはその昔、巨大なリュウグウノツカイのミイラが壁面に展示されていました。しかし、その当時は地震がどうのといった解説文はなく、ただ巨大でグロテスクなカワハギのお化けのようなものが額に入れられており、子どもにとっては、その名前も含めてトラウマになったのではないでしょうか。現に、オトナになってから、このリュウグウノツカイのことを覚えていた人に出会ったことがあります。サンシャイン国際水族館のリュウグウノツカイ、覚えていらっしゃる方がいましたら、私にご一報ください。あれは、いまどこにあるのでしょうか、まだ水族館に飾られているのでしょうか…。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな水族館の魅力をたっぷりと紹介した「水族館百科」な一冊です。著者は、新聞記者を経て鳥羽水族館を開館した初代館長で現在は名誉館長の中村幸昭氏。中村氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「地球儀を見ても分かるように陸地は三分の一、海が三分の二を占めています。私はこの水の惑星を海球と呼んでもいいと考えます。こんな時代をバックグラウンドにして、人間が危機感を持つのは当然といえましょう。特に日本は「ぐるっと海道三万キロ」といわれ、四つの島が列島となって周囲は海で囲まれ、国土の面積の七割は山林で、そこには大小三万本の河川があります。これらの水の中に棲む生物は実に多彩で神秘に満ちています。」

たしかに、水の中(特に海)は神秘的で魅力的なものがあり、名誉館長がその世界に魅せられて水族館を開館するに至ったのもわかるような気がいたします。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな水族館の人気動物たちの一日から館長のQ&A、さらにジュゴン飼育日誌も収録した、鳥羽水族館が丸ごと詰まった一冊です。平成の刊行なのでキッチュな写真はありませんが、水族館ならではのレアな写真をたっぷりとご堪能ください。
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↑鳥羽水族館のラッコ
「お腹がいっぱいになるとグルーミングの最中も、時々あくびをして笑わせる」カワイー!この小ちゃい歯がいい、ビーバーよりいい!ラッコに会いたい!(ただのミーハー)
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↑飼育係の調理風景
「小さな小さな魚加工工場で、私たちは今日も魚をさばきます。ちっとも楽しくないけれど、毎日毎日さばきます」という写真ではありません。「飼育係は毎日3回の調理に忙しい。動物の種類や大きさによって献立を考える」こっちが正解。それにしても無表情…。
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↑鳥羽水族館のスナメリ
「餌のアジを手から受け取るスナメリ。その表情は犬がおあずけをしているよう」これまたカワイー、スナメリちゃん。この質感もたまりません。ところでスナメリって、なんでスナメリっていうの?
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↑美しい落下傘のように泳ぐハナガサクラゲ
うお、キレイだけど気持ち悪い。自然界ならではの色と造形、やっぱりこれはカラー写真で見るに限りますね。
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↑キジハタ(左)とアカハタ
「ハタの仲間は知能指数が高く好奇心が強い。水中カメラの前にきてハタ迷惑か」ちょっと…館長、シャレですか?

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『水族館』は品切れ中ですが、自然と科学のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、また鳥羽やサンシャインに行きたくなった『水族館』のご紹介でした。

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2013年2月23日 (土)

『星と花の手芸』

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カラーブックス313「星と花の手芸」小薗江 圭子 著(昭和50年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第129回目は、スターでフラワーでハンディークラフトなカラーブックスをご紹介いたします。今回は、メルヘンチックで乙女チックな一冊、『星と花の手芸』です。

私が小学5年生の時、家庭科の授業でエプロンに好きな絵柄を刺繍をして提出するという宿題が出ました。私は刺繍や縫い物が大の苦手で、自慢ではありませんが、いまだにボタン付けもできません…。そんな人間がエプロンに刺繍なんぞできるはずもなく、母親に相談したところ、「手伝おうか」と助け舟を出してくれました。さて、その翌朝。どうやら母は夜のうちに宿題の縫い物を仕上げてしまったようです。そして母が「はい」差し出したエプロンを見て、私は驚きました。そこには、世界一有名なビーグル犬「ス●ーピー」がエサの骨を片手に笑っていて、ご丁寧にもハートマークまで付いているという、おおよそ小学生男子が作りそうもない絵柄が縫われていたのです。まさに「お母さんが作ってくれた宿題」そのもの。私は二の句が継げぬほど驚き、そして焦りました…「これは確実にバレる」と。案の定、このエプロンは「母の作品」として評価され、先生から「お母さん上手だね」と言われる始末。もう、縫い物系の宿題は母親に相談してはならぬと誓った、11歳の田端少年なのでありました。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、「天の12宮」をテーマにした手芸をお花とともに紹介した、そのままやんけ!な一冊です。著者は、作詞家、イラスト、童話、エッセイ集などで活躍した小薗江圭子氏。小薗氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「人はその誕生の日に、太陽のある星座から影響を受けるのだそうです。(中略)私が興味を持ったのは、真偽のほどよりもその星座のキャラクターで、ぬいぐるみにしてみたくなりました。ぬいぐるみを作るうちに、それぞれの星座にはギリシャの神々が支配者としてあり、ラッキーな色や石や方角や花があると知りました。ぬいぐるみや小物は、友だちのクリスマスや誕生日のプレゼントにするつもりです。アップリケは絵を描くような気持ちで作りましたが、もちろんこれをクッションやバッグにしてもいいわけです。実用性の全くないものより、何かに使えるほうが作るのには気楽なのです。」

たしかに、星座には何か神秘的なものを感じてしまいます。星座にはそれぞれ意味があり、深く知れば知るほど、その魅力に引き込まれてしまい、ぬいぐるみを作ってしまう気持ちも分からなくはありません。今回ご紹介するカラーブックスは、星座にハマった人がついつい星座と花の手芸を作りたいという衝動にかられた時に役立つ、超ニッチな一冊です。気になるのは、この本が発行された当時、いったい何部ほど売れ、そして買った人の何割が実際にぬいぐるみを作ったのか、ということです。著者のセンスが光る独特の色使いと造形に、70年代の時代性と著者自身の個性を感じずにはいられません。ああ、なんて素敵なカラーブックスなんでしょう! それでは、サイケでラリラリなアシッドぬいぐるみの数々をドギツい原色のカラー写真でじっくりとご堪能ください。
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↑蘭のぬいぐるみ
「しあわせの花蘭をぬいぐるみにしました。もちろん、もっときれいで可愛い蘭もあるのですが、私はこの花の摩訶不思議なところが好きです」久里洋二か、はたまた長新太か…ナンセンスなオトナ漫画の世界がついに立体で甦る。ウヒョー!
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↑双子座
黒い双子の人形もチャーミングでイカすけど、やっぱりこの背景がスんバラシイ。こんなアシッドな色の組み合わせを見たら、気分はもうLSD。
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↑魚座
出ました、このウロコ。まるでNHK教育テレビのセットみたいなオサカナの色は五味太郎にも通じる奇抜さですな。泳げ!メタルなたいやきくん!
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↑アルテミスのアップリケ
「射手座の支配者アルテミス。狩と貞節と結婚の女神です。鹿と一緒に夜の森を行くところ。弓の糸は金のラメ系です。」女神の髪型がサイケしとります。なぜか鹿は、草間弥生の作品ばりに水玉模様。
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↑ひまわりのランチョン・マット
「いっぱいにステッチした布に、カーテンの裾などにつける黄色のフリンジをつけて、花びらに見立てたわけです。デザートを置くあたりに蜜蜂のアップリケ。」はーちみつレ●ン♪のCM思い出した人もいるのでは。でも、ちょっとミニマルアートぽくて欲しいなぁ。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『星と花の手芸』は品切れ中ですが、趣味・手づくりのカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、やっぱり70年代は素晴らしいと再認識した一冊『星と花の手芸』のご紹介でした。

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2013年1月31日 (木)

『伊勢路』

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カラーブックス403「伊勢路」嵯峨崎 司朗 著(昭和52年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第128回目は、♪せめて一生に一度でも、なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、日本全体の鎮守「伊勢神宮」を訪ねる旅の一冊、『伊勢路』です。

私が小学3年か4年の頃、三重県の伊勢神宮へ家族旅行をいたしました。伊勢神宮へ向かう途中、近鉄線宇治山田駅構内で立ち食いそばを食べ、そのまま神宮へ向かったことを昨日のことのように覚えています。参道にビッシリと敷きつめられた大量白い玉砂利や、厳かな空気の漂う境内を歩いたことは、いまでも目をつぶると瞼に浮かんでくるほど、それはそれはインパクトのある体験でした。伊勢神宮は今年、社殿を造り替える20年に一度の大祭「式年遷宮」がおこなわれることで注目を集めています。伊勢音頭で「♪伊勢へ行きたい 伊勢路が見たい せめて一生に一度でも」と歌われたように、日本人として生まれたからには、是非とも一度はお伊勢参りをしていただきたいものです。私も機会があれば、また伊勢路の旅を満喫したいと思っている今日このごろなのでした。さて、伊勢にはもうひとつ記憶に残っていることがあります。伊勢から志摩の真珠島に向かうタクシーのリアウインドゥ(後部の窓ガラス)に、気になる広告が貼られていたのです。「元祖国際秘宝館」たしかにそう書かれていました。そのロココ風の大きなロゴを見た時、両親に「あれって何?」と聞かなかったのは、子どもの「何か聞いちゃいけない」風のカンが働いたからでしょうか。そのまま、あの文字が心の「傷」となって大人の階段を昇ったのです。「秘宝館」の意味を知ったのは、それから10年ほど後のことです…。もちろん、みなさんはご存知ですよね?

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな「お伊勢参り」と周辺の観光地をご紹介する、結構、結構、伊勢志摩観光的な一冊です。著者は、元サンデー毎日記者で戦後はフリーで活躍した嵯峨崎司朗氏。嵯峨崎氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「志摩を、たびたび訪れるようになったのは、海女さんの一言からである。さんざん砲火にやられて敗戦、南方のジャングルから引き上げて来たものの、食べ物がない。せめて魚なりともの食い意地から、志摩の海女の里へ行ってみた。(中略)一人の海女さんの夫は、奇しくもわたしと同じフィリピン戦線で戦死したという。(中略)「この人はナ、戦死したオト(夫)を思うと海底で泣くそうやて、涙みせんでもええわサ。」(中略)これは胸を殴られたような衝撃であった。」

たしかに、戦後まもなくの食糧難の時代に、冷たい海の底に潜り生計を立てていた海女さんには頭が下がります。子どもの頃訪れた志摩の真珠島では、海女さんの素潜りショーを見学しましたが、どの方もすでに高齢で、もしかすると、この時に著者と話をしていた海女さんがこの中にいたのかもしれません。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな伊勢志摩の風情ま満載の、まさに伊勢路カラーガイドブックとも言える一冊です。それでは、日本人の心の拠り所でもある伊勢への旅を、カラー写真でじっくりとご堪能ください。
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↑獅子頭(ししがしら)
「神宮の神を守る猿田彦神から出ている。悪霊・悪魔を退散させる大神楽のスターである獅子頭の古玩である。口に竹のバネ仕掛けがあって、パクパクする。値段も手ごろ。」いや、安いのはありがたいのですが、なんかだんだん気持ち悪くなってきた…。じいさんの手前にある瓶が桃屋ってとこに眼がいくのは悪い癖。
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↑毎年八月十五日の夜、伊勢市はかんこ踊りでにぎわう
なんだ、この筆のお化けみたいな気持ち悪いのっぺらぼうの妖怪は…。こんなのが夜に家を訪ねたら、軽いトラウマになりそう。「筆はいらんかぇ…筆はいらんかぇ…」
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↑真珠島パールホールにおける真珠の核入れ
あ、これは私も子どもの頃に現地で見ました。アコヤガイの中に、丸い白い玉の異物を入れて、これにあの美しいパール模様がつくんですよね。しかし、見ている客の顔や格好が完全に昭和ですな。特にグラサン、お前のことだよ。
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↑御座白浜は夏ともなると若者の天国と化す
しっかし、空いてるな、この海水浴場。異様に「中日新聞」の旗が目立っとります。でも雰囲気いいね。
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↑神楽祭・太刀や楯・鉾を手にして舞う(伊勢神宮)
天皇家の粗神であるはずなのに、参拝した天皇の第一号は明治天皇なんだとか。その前の天皇はどうしていたのでしょうか?とこの本の筆者は私たちに問いかけます。申し訳ございません、存じません。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『伊勢路』は品切れ中ですが、旅路と散策のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、やっぱりレイアウトを変更したい人は一冊『日本の民具』のご紹介でした。

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2013年1月20日 (日)

『日本の家紋』

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カラーブックス286「日本の家紋」辻合 喜代太郎 著(昭和49年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第127回目は、この紋所(もんどころ)が目に入らぬか!なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、必ずといっていいほど、どの家にも伝わっているマークについての一冊、『日本の家紋』です。

子どもの頃から、私は家紋が好きでした。歴史に興味があるからというよりも、デザインのバリエーションの豊富さに興味を持ったのです。ですから、そのマークが何をかたどっているのか、どこのマークと同じなのか、どのマークがどこから派生してどのように変化したか、という経緯についてはまったく興味がありませんでした。「あ、蝶の模様だ」「なんだこりゃ大根の家紋なんてあるんだ」「うさぎの模様って可愛いな」「これってテレビで見た事あるぞ」といった具合に、マークのデザインそのものを楽しんでいたのです。もちろん、私の実家にも家紋は伝わっていました。「田端」という名字からして江戸時代以前は明らかに農民だったはずなので、おそらく明治以降に決めたものだと思いますが、家紋は恐れ多くも「五三の桐」です(母方は武士だったと聞いていますが…真偽は不明)。平成も二十五年になったというのに、どの家庭にもそれぞれのご先祖さまが選んだ家紋がいまだに伝えられているところが面白いなと思います。日本人は家紋が好きなんですね。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな家紋を多数ご紹介する、家紋辞典的な一冊です。著者は、琉球大学教授で文学博士の辻合喜代太郎氏。辻合氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「家紋は家の象徴であるといわれる。家紋と家とのかかわりあいはずいぶん古い。一個の家紋がもっていた力は、家の消長とともに変化した。ときには困苦に耐える活力素となり、ときには苦難克服の精神的な糧として無限に不思議な力を発揮したであろう。(中略)しかし、近時、家の観念の変化とともに家紋に対する立場も若干異なってきていることは否めない事実であって、核家庭の発生がそのおもな原因であろう。」

たしかに、現在では家紋に接する機会は墓石で見かけることくらいしかありませんし、家紋を入れた物を持ち歩く習慣もありません。それどころか、自分の家の家紋がどのようなものなのかを知っている若い世代の人も少なくなっているのではないでしょうか。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな廃れゆく日本の伝統的なロゴデザインを数多く収録、各家紋の意味、種類、そのいわれなども紹介した家紋入門的な一冊です。デザインといえば、海外から輸入されたもの、というイメージがあると思います。しかし、それよりも秀逸なオリジナルデザインを日本人ははるか昔より作りあげていたのです。丸い形の中におさめるという技、シャレの効いた遊び心、そして空間を上手く使った「間」の美、これは日本が世界に誇れる「詠み人知らず(アノニマス)」デザインではないでしょうか。これを機会に、あなたの家の家紋や、日本独自のグラフィックデザインである家紋の奥深さに触れてみてはいかがでしょうか。それでは、日本の伝統的な物品における家紋の使用例を、カラー写真でじっくりとご堪能ください。

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↑蒲団表地 「太輪に三柏、半陰揚羽蝶」
「木綿布を四幅に縫合わせた紺染めの蒲団表地である。正紋として「太輪に三柏」、副紋として「半陰揚羽蝶」を白抜きとしている。これは結婚用、または客用蒲団表地として使用されたものである。」どうですか、この間。カッチリ感。見ているだけでドキドキします。新木場のクラブ「ageha」も、このマークにしたらいいのに。

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↑蒲団表地 「丸に尻合せ三蔦紋、暴熨斗文と海老」
「貴客用、または結婚用荷物の蒲団表地である。これは型染ではなく、筒描法による特注品である。四幅木綿布の上端に「丸に尻合せ三蔦紋」を描き、下に装飾に装飾として瑞祥文の暴熨斗文と海老を描いている。海老のみがベンガラで着彩されている」家紋も秀逸なデザインですが、海老と熨斗に全部持ってかれてる…、しかし海老の染めが美しいですな。
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↑火消装束衣「浮線蝶」
木綿の厚布地を用いて作ったもので、描かれている家紋は「浮線蝶」。しかし、どうしても目は家紋よりも「弥次郎兵衛」に…。

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↑タイピン・カフス「上藤紋」
うわ!出ました、家紋タイピン。カフスと合わせて身につけるだけで、気分はなぜかVシネマ。時計はもちろんロレックス、スーツはもちろんベルサーチ。

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↑武人旗差図「右三巴紋」
室町時代作と伝えられる屏風絵。家紋を描いた旗はいいんですが、その袋なにいれてるんすか? え?三角関係の相手?なるほど、三つどもえ…。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『日本の家紋』は品切れ中ですが、『続 日本の家紋』、趣味・手づくり・マナーのカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、「おいで!」を英語で言うと?な一冊『日本の家紋』のご紹介でした。

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2012年12月31日 (月)

『東京わが町』

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カラーブックス617「東京わが町 −秋冬編−」原 義郎 著(昭和58年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第126回目は、わっしょい!わっしょい!なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、セイヤ、セイヤセイヤセイヤな一冊、『東京わが町』です。

私は東京・東池袋の出身で、小さな頃から町のお祭りに参加してきました。とはいえ、御神輿をかつぐよりも山車(だし)を引くことの方が多く、あの神輿をかつぐ人びとのテンションはあまり理解できませんでした。もう神輿なんてかつぐ機会なんて一生ないに違いない…そう思っていた私ですが、いまでは近所のお祭りで年に一度は神輿をかついでいるのでした。そういえば出身の東池袋では、サンシャインがそびえ立つ地の祭りとは思えないような「御会式(おえしき)」という、池袋駅から雑司ヶ谷の鬼子母神までを練り歩く伝統行事があります。同じく地元の大塚駅前では「大塚阿波踊り」、いま住んでいる北区でも年末に「王子・狐の行列」という有名な伝統行事が開催されています。東京は三社祭や神田祭、山王祭以外にも、知られていない大小の祭りが各町にいくつもあります。いくら都会的なビルが建ち並ぶ繁華街であっても、地元民のためのお祭りは存在しているのです。平成も25年になろうとしているのに、いまもこうした伝統的な祭りや行事を守り続けている東京には、まだ江戸〜昭和の精神が生き続けているのでありました。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな東京に残る、祭りや伝統行事を季節ごとに分けて編集された一冊です。著者は、東京都交通局の広報ポスターなどを手がけていた写真家の原義郎氏。原氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「世界有数の大都市という近代的な顔を持つ反面、東京ほど江戸以来の伝統的な年中行事が数多く残っている所は他にないでしょう。下町や山の手に伝わる町の行事、多摩地方の農村や山村に伝わる行事、はるか太平洋上に浮かぶ伊豆の島々に伝わる行事と多種多様で、このことは東京の年中行事を探っていく上での魅力のひとつです。」

たしかに、東京という町には江戸時代から続く伝統的な行事がいくつもあります。たとえば、いまやオフィス街としてサラリーマンの町になっている神田には、町中のあちらこちらに小さなお稲荷さんが祀られています。一見、バブル期にすべて綺麗な町並みに塗り替えられてしまったような町にも、まだ江戸の「粋」が「息」づいているのです、…あしからず。それでは、江戸の残り香がプンプンの漂ってくる昭和のカラー写真をじっくりとご堪能ください。
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↑乙津の太神楽(五日市町乙津)
「鎮守神明社の秋の祭りに奉納される悪魔祓いの獅子舞です。獅子は頭と後舞の二人立ちで後舞は途中から獅子をあやすもどきの役も演じます」秋田のなまはげのごとく、かなりの迫力で子ども値達の前に現れた獅子舞ですが、手前の子はメッチャ笑ってるし、その後ろの子は獅子の足をいじろうとしてるゾ。バカにされとりますな。
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↑浅草サンバカーニバル(浅草寺周辺)
昭和56年から始まったこのイベント、本書が出たのが58年だからわずか2年前か…。まだタケノコ族のニオイがしますな。しかし、左のオッサンの姿は異常…何考えてるのか。
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↑野上の獅子舞(青梅市野上)
どうやら奉納舞のひとつらしいこの獅子舞、なんかおどけて見えませんか?いまにもサングラスかけた裸の男が獅子舞を脱いで出て来そうな気がします。
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↑井荻の太神楽(杉並区西荻北)
杉並区旧井荻地区には、もう東京で見られなくなった太神楽獅子をおこなっているとか。って、また獅子舞かい!
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↑消防出初式(晴海埠頭)
お正月といえば、もちろんこれでしょう。江戸消防記念会による華麗なはしご乗り。手前の男性の背中は語る。「自分だけ目立ちやがって…(怒)」



さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『東京わが町』は品切れ中ですが、旅路と散策のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、まーーつりだ!まつりだ!まつりだ!な一冊『東京わが町』のご紹介でした。

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2012年12月21日 (金)

『鉄道模型』

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カラーブックス380「鉄道模型」山崎喜陽 著(昭和51年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第125回目は、ガタンゴトンガタンゴトンなカラーブックスをご紹介いたします。今回は、カラーブックスが最もお得意とするジャンルの中から選んだ一冊、『鉄道模型』です。

私は東京の北区東十条というところに6年ほど前から住んでいるのですが、先日、テレビ番組「若大将のゆうゆう散歩」(地井武男の「ちい散歩」の後継番組)で、加山雄三がJR京浜東北線「東十条駅」周辺をぶらりと散歩するという回を見ました。東十条駅周辺は二日間放送されたのですが、最終日の放送で東十条にある鉄道模型の企画・製作・販売会社を紹介していました。その名前は「安達製作所」、16番ゲージ(主に日本型の縮尺1/80の模型のこと)鉄道模型のキットを製作している鉄道模型メーカーです。若大将こと加山雄三は、エレキだけでなくどうやら鉄道模型にも興味があるらしく、細かい運転席の塗装や真鍮製の車両に「すげぇなぁ〜」と何度も感嘆の声をあげておりました。私はとくに鉄道模型ファンとかではないので、これほど自宅から近いところで鉄道模型を製作している老舗のメーカーがあるとは全く知りませんでした。友人に鉄道模型ファンが何人もいて、雑誌で鉄道に関する文章を何本も書いたことがあるにも関わらず、これは本当に「灯台下暗し」だったと反省したのでありました…。今度、友人に教えてあげよーっと。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな鉄道模型マニアたちに送る、趣味度の高い一冊です。著者は、「鉄道模型趣味」創刊者にして機芸出版社の山崎喜陽氏。山崎氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「鉄道を対象とした模型は、幅が広いうえに底しれぬ深みを持っています。クラフトホビーとしての技術的な面、ミニチュアとして楽しむ面、走らせるという動的な面はもとより、美術的な要素さえも加わります。レイアウトへ進むことによって、さらに建造物や自然界の小型化も必要となり、そこに機関車模型ではない鉄道模型が生まれるわけです。」

たしかに、鉄道模型には「これでもか」というくらいにリアルな街を表現した大掛かりなものを見かけることがあります。以前、雑誌の仕事で大宮にある鉄道博物館の鉄道模型ジオラマを取材しましたが、その細かさといったら、まるで一地方都市の小さな駅がそのまま縮小されていると思ったくらいです。今回ご紹介するカラーブックスは、実際に走らせる車両の説明から、ジオラマのレイアウト、建物や樹木にいたるまで、事細かに説明した、鉄道模型入門書的な一冊です。掲載されている模型の情報は初版発行当時のものですから、実用的とは言いがたいのですが、昭和の時代にどのような模型が作られていたのかをしることが出来る、大変貴重な資料と言えるのではないでしょうか。それでは、昔作った覚えのある方は懐かしさを、若い方はそのデザインのアナログさとアナクロさを、カラー写真でじっくりとご堪能ください。
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↑千曲鉄道のスイッチバック(平野和幸)
いやーここまで本格的に作っているとは。しかし、このレイアウトに飽きたら、これってどうするんだろう…。
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↑地方小私鉄のムードを求めた1.9×1.2mのレイアウト城新鉄道(阿部敏幸)
「バスや火の見ヤグラの製作にも力を注いでいる」よく見ると左端にボンネットバスが…昭和何年代のジオラマなんだろか?
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↑小さいレイアウトから出発して、山岳風景を中心とした大レイアウトに発展したアメリカのG&D鉄道(ジョン・アレン、1973年没)グランドキャニオン並みの風景を作れる技術も凄いけど、同じような色のトーンの中で風景を細かく作り分けているところがもっと凄い。作者は本書出版3年前にお亡くなりになったようです、合掌。
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↑152ミリゲージのフリーの大電気機関車。数人の人を乗せて庭の線路を走りまわる。(佐藤稔)思わず「デカッ」と言いたくなる機関車の大きさもさることながら、後ろに見える下見板張りの家やスーツ姿で庭にしゃがむおじさんの構図がなんだか妙。もしかして著者?それとも機関車の作者?
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↑90cm四方に作った軽便鉄道レイアウトの駅風景(三原豊)。労働者「おーい、木材の下から何か声がするんだ」駅員「なんだ、誰か下敷きにでもなったのか?」労働者「どうも昼寝していたようだ」駅員「迷惑なやつだな、いったい誰なんだ」労働者「ああ、顔はわからんが、さっきからニャーニャー声がすることだけは確かなんだ」

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『鉄道模型』は品切れ中ですが、のりもののカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、やっぱりレイアウトを変更したい人は一冊『日本の民具』のご紹介でした。

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2012年11月30日 (金)

『日本の民具』

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カラーブックス422「日本の民具 ―使われている雑器―」南雲治嘉 著(昭和53年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第124回目は、素朴で日常的なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、先人の智恵を集めた使える一冊、『日本の民具』です。

いまから10数年前、お花見に誘われた私は、京王井の頭線「駒場東大前」駅から歩いて目黒区駒場にある駒場公園に向かいました。旧前田公爵邸のある同公園は、日本近代文学館や庭園があり、毎年桜の時期になると多くの花見客でにぎわっています。その公園に向かう途中、ある建物に気がつきました。外の看板には「日本民藝館」と書かれています。お花見が優先だったため、その施設に立ち寄ることはありませんでしたが、「あれはいったい何だったんだろう…」と心のどこかにひっかかったままだったのです。あれから十数年、あの民芸館とやらは何だったのか気になったので調べてみると、ここは美学者で思想家の柳宗悦氏が創設した、日本の伝統的工芸品を収蔵展示する美術館でした(柳宗悦氏の長男は世界的に有名なインダストリアルデザイナーの柳宗理氏)。柳氏は白樺派に参加、生活に即した民芸品に注目して「用の美」を唱え、民藝運動を起こしました。昭和11(1936)年には、この「日本民藝館」を創設、庶民の生活の中で生まれた道具(民具)を広く紹介しています。花見の途中で偶然みつけた民具(民芸)の美術館、今度また花見に行く時にでも、この美術館を覗いてみようと思います。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな生活に根ざした民具を紹介した、「用の美」あふれる一冊です。著者は、東京デザイナー学院教授でグラフィックデザイナーの南雲治嘉氏。南雲氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「民衆が日常使用している生活雑器のすべてを、私は民具と呼ぶことにしました。その中には、古くから伝えられてきたものもあれば、最近、作り出されたものもあります。民具は、使う人がその必要性から作る場合や、職人が作る場合もあります。しかしそれら伝統的な民具は、まさに今、失われようとしています。」

たしかに、有名なデザイナーがデザインした製品もそれはそれで美しいのですが、必要に応じて作られた形ほど美しいものはありません。これこそ、いわゆる「アノニマスデザイン(作者未詳のデザイン)」であり、庶民の手で作り上げられた純粋な「美」といえるのではないでしょうか。今回ご紹介するカラーブックスは、現代まで生き抜いてきた民具たちを、懐古的や趣味的にとらえるのではなく、デザイン的に、道具本来の使われる美しさとして取り上げた一冊です。民具の入門書であるとともに、民具を実際に使うための手引き書であることを目的としています。それでは、江戸以前から昭和まで「時の試練」に耐えてきた「用の美」の道具を、素敵なカラー写真でじっくりご堪能ください。
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↑むしろ(岡山県・倉敷市)
むしろの良し悪しは織りの緻密さにある。昔からのものでもかなり大胆な柄が織られる。「花むしろ 時代を超越 むしろ良い」
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↑提灯職人の様子(石川県金沢市)
提灯の紋を入れる仕事もあなどれませんゾ。いまはお盆や祭でもない限り、提灯を下げることはありませんが、地方都市を旅したときに見かける昔ながらの提灯はなんともいえません。「うれしいと 眼鏡が落ちる 職人さん」
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↑いろいろな地方の手づくりおもちゃ
大人も思わず欲しくなる素朴でかわいいおもちゃ。鳩車は、たしか野沢温泉(長野県)の名産だったような。鬼太鼓の鬼さん、漫画みたいなイイ顔してます。あ、餓鬼車の顔もNHKの教育テレビに出て来る人形のような…。
「あやしたら かえって泣いた 鬼太鼓」
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↑絵馬(千葉県東金市)
素朴なうちに温かさのこもる絵馬。「誰だ!絵馬に落書きしたのは!」と怒らない怒らない!これぞ、元祖下手ウマイラスト、ですよね。「ムカ絵馬」(みうらじゅん)ならぬ、「ナゴ絵馬」(和む絵馬)ですな、こりゃ。
「絵馬を見て 僕にも描ける 子が自慢」
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↑神楽(福島県)
福島県只見に伝わる郷土芸能。お面の顔もいいけれど、後ろでくつろぐおっさんたちの顔がイイなぁ。右端のサングラスのおじさんは今お元気でしょうか、あ、時計が光ってら。
「獅子舞を 差し置きお面が カメラ目線」


さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『日本の民具』は品切れ中ですが、芸術入門のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、無名なものに本物の良さがることを再認識させてくれる一冊『日本の民具』のご紹介でした。

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2012年11月21日 (水)

『健康美の温泉』

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カラーブックス766「健康美の温泉 シェイプアップのために―」松井 奈美子・竹村節子 著(昭和63年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第123回目は、♪ビバノンノンなカラーブックスをご紹介いたします。今回は、ワンツー!ワンツー!な一冊、『健康美の温泉 シェイプアップのために―』です。

小学3年生のころ、『フラッシュダンス』という映画がブームになりました。猫も杓子もジャズダンス、母も叔母も、そして同級生のお母さんまで、みんなレオタード姿でジャズダンス! 主題歌の「ホワット・ア・フィーリング」も大ヒットし、テレビも街も「フラッシュダンス」一色でした。近所の魚屋さんから専業主婦まで、レオタード姿でジャズダンスを踊っていた状況って、ある意味、現代版「ええじゃないか」みたいなものだったのかもしれません。そんな一大ブームは後のエアロビクスブームに継承され、うちの母は腰を痛めて、我が家の『フラッシュダンス』は静かに幕を閉じたのでした…。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんなシェイプアップ世代に贈る、みんな体操と温泉で心も身体も健やかになっちゃおうってことなんだわ!的な一冊です。著者は、美容体操教室を経営していた松井奈美子氏と、旅行作家の竹村節子氏。松井氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「温泉旅行が女性の間でブームである。純和風の宿に泊まり、趣向を凝らした露天風呂を楽しみ、美味しい料理に舌つづみを打つ、贅沢な温泉の旅—。その温泉には実はいろいろな効用が秘められていることをご存知だろうか。身体を温めることのほかにも、肌を美しくしたり肩コリをほぐしたりといった、女性にとって捨てがたい効果をもっているのである。(中略)私たちの永遠の夢である不老長寿という面も含めて、温泉と体操を組み合わせることで、老化をくいとめ、若さを保つことは十分可能である。」

たしかに、「温泉と体操」これほど健康的な組み合わせが他にあるでしょうか。いいえ、ありません、きっとないはず、たぶんないに違いない、頼む!ないと言ってくれ。今回ご紹介するカラーブックスは、全国美人の湯ガイドから始まって、湯船の中や湯上がりに効果のある健康体操を「2 in 1」しちゃった、お得感あふれるありがたーい一冊なのです。さらに、温泉のガイド写真が終わった後には、カラー写真とモノクロ写真でレオタード姿のキャッツアイならぬシェイプアップギャルが、足上げ腕上げレッツダンシングしている図版入り。読んだその日から温泉巡りと体操に入れるという、カラーブックスの中でも異色の一冊です。それでは、昭和63年のバブル絶頂期前夜祭ともいうべき、昭和最後の「ええじゃないか」的なカラー写真をじっくり堪能ください。レッツ、いい旅、夢気分!

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↑後生掛温泉旅館(秋田県)
八幡平の焼山中腹にある一軒宿。温泉保養館の中にある泥湯。「素朴な湯治場の雰囲気もなつかしい」おっと、これはセクシーショット!泥で隠して、隠して!子どもが見てる!

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↑あつみ温泉(山形県)あつみ名物の朝市
日本海の荒波打ち寄せる海岸から温海川に沿って2キロほど内陸へ入ったところに湧く温泉。あつみ温泉名物の朝市でのヒトコマ…「わたし、忍者の家に嫁いだの」

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↑女性らしいプロポーションを(松井奈美子)
あらあら、素敵な女性がいると思ったら、健康美の温泉に入って、いつまでもお綺麗な著者の松井先生じゃございませんか。しかし、すっごい色のレオタード!

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↑和風ホテル 白水館(鹿児島県)
指宿温泉にある高級旅館。石と古代檜を使った浴場に砂蒸しコーナーがある。一番手前の女の人は放心状態。「わたし、なんでこんなとこで、こんなことやってんだろ…」

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↑クーアプラザ草津(群馬県)
ヘルシーなクーア。おやまあ、80年代の若人カップルが二組も…水着姿で何をしているのやら。浴槽の雑多に置かれた植物がイイ味出してます、これ造花? 生の植物?

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『健康美の温泉』は品切れ中ですが、温泉・寺めぐりのカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、温泉に入っちゃうと身体動かさないよね、な一冊『健康美の温泉』のご紹介でした。

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2012年10月31日 (水)

『ふるさとの味 ‐東北‐』

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カラーブックス246「ふるさとの味 ‐東北‐」伊能 孝 著(昭和47年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第122回目は、うーさーぎー追ーいし、かーのーやーまー♪なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、ごーはーん美ー味ーしい♪な一冊、『ふるさとの味 ‐東北‐』です。

1970年に開催された大阪万博は、のべ6千万人が訪れる巨大イベントとなり、今まで団体旅行が中心だった日本人が「個人旅行」に目を向ける大きなキッカケとなりました。この年、国鉄(日本国有鉄道、現JR)と電通は、個人旅行PRの一大キャンペーン「ディスカバー・ジャパン」を開始します。「自分自身と日本の美しさを再発見しよう」という意味を込めた「美しい 日本と私」をサブタイトルに入れた、日本の「個人旅行元年」ともいうべき記念碑的な鉄道旅行促進キャンペーンでした。それまで、日本の地方都市、農村、港町、無人駅などを個人で旅行する人は、ごく少数の旅マニアか一部の鉄道マニアくらいだったようです。ところが、このキャンペーンによって、男はもとより若い女性同士でローカル線各駅停車の旅をするなんてことも珍しくなくなったのです。現に、このCMやポスターでは、付けマツゲがビンビンのベルボトム姿でサイケな若い女性2人が、北陸や東北などの旅行を楽しんでいる様子が描かれています。ジュクでアンパン吸って地べたリアンよりも、秋田でナマハゲ見ながらキリタンポ食う囲炉裏端ってカッコよくね?ってな感じです。今では、TV番組「ケンミンSHOW」などの影響もあって、日本の地方ローカル料理や習慣が見直されてきていますが、すべては1970年の「ディスカバー・ジャパン」から始まりました。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな「日本再発見」キャンペーン開始から2年後というタイミングに発売された、東北ならではの味を再発見する「ディスカバー・東北の味」な一冊です。著者は、通信省官吏、旅行家を経て作家となった伊能孝氏。伊能氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「私は美食にはほど遠く、むしろ粗食である。好意でだされたものは、どんなものでも喜んでたべるほうである。したがって、ここにあげるものはあまり高価なものはない。そばであったり、シジミ汁や漬け物に鍋物という具合で、われながらいささか情けないものばかりである。しかし、私はそれが東北的な味覚だと思っている。旅館の特別料理というものには、私にはさして感激もないし、うまかった、という記憶も乏しい」

たしかに、たったひと切れのいぶりがっこが東北の旅情を演出してくれるように、素朴で庶民的な味こそが、ふだん着の東北を見せてくれるのかもしれません。高級旅館で食べる舟盛りもいいけれど、しょっつる鍋やわんこそばもいいよ、と著者は笑顔で酒をあおりながら、私たちに語りかけているのです。さあ、東北、あるいは日本再発見の旅へ、そして美味しい庶民的な料理の旅に行ってみたいと思いませんか? それでは、昭和47年当時の東北の味を、味のあるカラー写真でじっくり堪能してください。いま行かないで、いつ行くんだ!(JRさん、パクってすみません)

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↑笹酒(宮城県)
青竹の中に八合から一升の酒を入れ、これを火であぶるように温めると、青竹から竹の油がにじんで酒のコクが増し、二級酒が一級酒になるという。なぜか右下にコケシが並んでいるけど、気にしない、気にしない。今日の夕飯は、ビッグチキンカツに刺身ですか。和洋折衷でも気にしない、気にしない。

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↑ウニの貝焼き(福島県)
とってきた生ウニをホッキ貝の殻に山盛りに詰めて、炭火で軽く焼くだけである。レンコンみたいな絵柄の箱も木になるけど、ウニの山盛り具合も気になります。わさび醤油で貝焼きつまんで酒をあおれば、気分は八代亜紀の「舟歌」そのもの。♪しみじみー(以下、著作権関係で自主規制)。

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↑津軽鍋(青森県)
浅虫温泉のある浅虫地方の野菜や魚、貝など20種類ほどの材料を豊富に取り入れた鍋。うまそうなんですが、どうもギンナンが多すぎる。ああ、多すぎる。

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↑ジンギスカン鍋(岩手県)
岩手山を背景に小岩井のジンギスカン料理をいただく。え、この風景、写真じゃないの? それに、その笠ジャマじゃないんですか、お姉さん?

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↑東北本線郡山駅の磐梯そばの立ち食い(福島県)
そうそう、東北の味といっても料理屋や旅館で食べるものばかりじゃござんせんよ。「2番線から電車が発車いたしまーす」ちょ、ちょ、ちょっと、ま、待てよ、ゴフッ!

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『ふるさとの味‐東北‐』は品切れ中ですが、料理と味のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、早く震災の復興を願わずにはいられない一冊『ふるさとの味‐東北‐』のご紹介でした。

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2012年10月19日 (金)

『小住宅』

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カラーブックス142「小住宅」井出 正雄 著(昭和43年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第121回目は、家を作るなら〜、家を作るなら〜ぁ〜♪、なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、けして豚小屋ではない日本らしい住まいのあり方を考えさせられる一冊、『小住宅』です。

私の実家は昭和47(1972)年頃に建てられた一軒家なのですが、今回ご紹介するカラーブックスの表紙にあるような、瓦屋根に、薄い石の板のようなものを組み合わせた壁や、大谷石製の灯篭などが置かれている、いわゆる昔の一般的な小住宅です。私の好きな70年代の和風建築で、しかもさらに古い時代に建てられたかのような落ち着いた雰囲気があり、壁や床板、柱などにこの家を建てた祖父のこだわりが感じられる家です。当時どのくらいの金額で建てたのかはわかりませんし聞いた事もありませんが、家を建てた借金を返すために死ぬ気で働き、わずか2、3年で払い終えてしまったそうで、その過労がたたったのか、祖父はこの家を建てた5年後に52歳という若さで他界してしまいました…。この実家も竣工から40年を迎え、だいぶ古ぼけてきていますが、改めて家の中を観察してみると、昔の家ならではの作りこみの細かさが随所に見受けられ、思わず感心してしまう今日この頃なのでした。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな小住宅の施工例を多数掲載し、来るべきマイホーム時代に向けて企画された、自分の家を建てる時の参考書的な一冊です。著者は、京大工学部建築家卒で各役所の建築技師を歴任した、建築家・井出正雄氏。井出氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「住宅に興味を持っている人は多く、とりわけこれから自分の住宅を建てようと計画し、関心を寄せている人は多い。書物もたくさん出ていて、婦人雑誌などにも記事がのせられているが、実際にこれなら自分で建ててみようと思う家は意外に少ないのではないか。住宅に関して、つねづね考えていること、疑問に思っていることを、説明し解説してくれる内容の書物がほしいのではないかと思われる。そこでこの本では、写真と記事両方から理解できるカラーブックスの特色を生かし、理論の説明よりも、りくつぬきで、こんなものはよい、こんなことは悪いと写真や図面で示すことにした」

たしかに、住宅や設計に関する難しい専門書を読んだり解説を聞いたりしても、シロートからしてみればなんのことやらサッパリわかりません。これは住宅の計画に限らず、他のさまざまなことにも言えるのではないでしょうか。カラーブックスは、エキスパートの人物が、全くのド素人に最小限の文字量と豊富な図版を使ってわかりやすく解説してくれる、この上なく親切なカラー文庫でした。この分かりやすいカラーブックスを読んで、夢のマイホームの計画を立てた高度経済成長期のサラリーマンも多かったのではないでしょうか。それでは、そんな「人類の進歩と調和」の時代に建てられた小住宅の名作の数々をゆっくりとご堪能ください。(アフロヘアーにサングラスで指を鳴らしながら)ヘヘェ~イ、シャバダバダディ~、家(イェー)。

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↑居間 「30平方メートルあって広い。左側は南面しているテラス。ひさしがないので日射をさけるためスダレがかけられている」
うーん、そうそう、この感じです。和なのか洋なのかわからない中の上くらいのささやかな幸せ…今の日本人が忘れかけている片田舎の素朴な高級感といいますか、東郷青児の絵を飾るくらいのちょっと洋風に憧れるくらいの感じ、また復活させませんか?
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↑子供部屋 「こどもの小さいときは、二人が一部屋を使うことも多い。この部屋には美しい二つのイスがおいてある。」
ええ、わかってますよ、部屋がどうのこうのじゃないって言いたいんでしょ。左の棚にある犬のヌイグルミが気になるんでしょ?あと、椅子の脚の形。なんでこの時代ってイイんだろ?

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↑寝室
妻は言った。「もしいま私が死んだら、このベッドは新しい奥さんのものね」夫「ああ、寂しいが、そうなるだろうね」妻「私のゴルフセットも?」夫「いや、それは違うね」妻「なんで即答したの?」夫「彼女は左ききなんだ」(ジョーク集より)
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↑新建材、ハイウッド、ハイストーン、クラフト合板、パネルで内装した落ち着いた雰囲気の居間
なんと、このテーブル、我が家でも愛用しているカリモクのテーブルであります。壁際のウイスキーボトルも時代を感じさせます。おや、左の端に置いてあるのは小便小僧じゃあーりませんか。
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↑道路に面して庭のある住宅
二階のバルコニーの白い手すりが印象的な家。え?別荘じゃないの?なんだか普段生活している家とは思えない大きさ。きっと、庭には二羽ニワトリが…。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『小住宅』は品切れ中ですが、趣味のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、できれば『大邸宅』(存在せず)も読みたかったなぁと思わせた一冊『小住宅』のご紹介でした。

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2012年9月30日 (日)

『写楽』

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カラーブックス908「写楽」内田 千鶴子 著(平成11年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第120回目は、パッとあらわれパッと消えたカラーブックスをご紹介いたします。今回は、「しかしてその実体は…(片岡千恵蔵の声で)」な一冊、『写楽』です。

浮世絵師・東洲斎写楽…、子どもの頃から図書館でその作品集などを見るたびに、どこか謎めいたイメージがありました。私の場合、昔、富士ゼロックスから発売されていたハンディ転写マシン(ハンディコピー機)「写楽」(しゃらく)のことを思い出します(覚えていますか?30代以上のみなさま?)。また、1980年代には「写楽」(しゃがく)という写真雑誌もありました(覚えていますか?40〜50代の男性のみなさま?)…さて、この写楽という絵師、実はたった10カ月だけ活躍し、145枚の絵を残してこつ然と姿を消した正体不明の謎の画家でした。昔はよく葛飾北斎説や蔦屋重三郎(写楽の絵を売った出版人)説が盛り上がりましたが、実は江戸考証家、斎藤月岑(げっしん)という人物が1844年の編著に「写楽、天明、寛政年中の人。俗称斎藤十郎兵衛、居江戸八丁堀に住す。阿波候の能役者也 号東洲斎」と明記していました。つまり、写楽は阿波(今の徳島県)の能役者「斎藤十郎兵衛」という人物だというのです。この記述はドイツ人浮世絵研究家ユリウス・クルトが評伝『SHARAKU』(1910年)に取り上げ、クルトが写楽をレンブラント、ベラスケスに次ぐ世界三大肖像画家だと書いたことから、世界的な画家として注目を集めるようになりました。しかし、この斎藤十郎兵衛説の根拠となる研究がなされない状態が昭和20年代まで続いたため、立証する史料不足を理由に、昭和30年代以降、北斎説やら出版人説やらが盛り上がってしまったようです。他人説が盛り上がっている最中も阿波能役者説の研究は続けられ、長年の考証の結果、斎藤十郎兵衛という人物が八丁堀の地蔵橋のたもとに住み、写楽が活躍した年に33歳だったことが史料により立証されました。画家として脂の乗る時期と考えても説得力があります。長年、謎の浮世絵師とされてきた、写楽。その人物像は近年になってようやく判明していたのです。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、写楽が活動期間10カ月の間に残した全作品145枚と版下絵18点を掲載、斎藤十郎兵衛であるという謎も解説する、読めばあなたも写楽通になれる一冊です。著者は、1979年より写楽研究を続けている、映画監督の故内田吐夢氏次男の有作氏婦人、内田千鶴子氏。内田氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「この正体不明の浮世絵師をめぐって、昭和三十年代から平成五年頃まで数十種類の写楽別人説が輩出し、出版界をはじめ映画、テレビの映像分野を大いに賑わした。その多くは、高名な絵師や戯作家、及びその周辺の関係者が写楽を名乗って役者絵を描いたという説であるが、そのいずれも裏付けとなる実証資料に乏しかった」

たしかに、マスコミはすぐ「○○説」というものを大げさにしかも確たる証拠もないままにロマンチズムだけで盛り上げる傾向があります。私はこの話を書いているうちに、かつて問題になった「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」捏造事件のことを思い出しました(詳しく知りたい方は、関連書籍がいくつも出ているのでご一読を)。また、卑弥呼がいたとされる邪馬台国の九州説、畿内説などもそれに通じるものがあります。写楽は、ようやく当初の「本人」説が立証されたようで、謎が解けて「ご本人」も報われて良かったなと思うのでした。それでは、そんな写楽が描いた、顔の特徴を誇張して描きすぎて役者からクレームがはいったとも言われる「イイ顔」の役者絵の数々をゆっくりとご堪能ください。イーヨーッ!ポンッ!
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↑三代目沢村宗十郎の大岸蔵人 大判(寛政6年5月都座興行 時代狂言「花菖蒲文禄曽我」より)
今の中村勘三郎みたいな典型的な歌舞伎顔でござる。持ってる扇子の雲のような渦巻き模様がセンスあるじゃぁござんせんか
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↑二代目小佐川常世の竹村定之進妻桜木 大判(寛政6年5月河原崎座興行 時代世話狂言「恋女房染分手綱」より)
どこか大貫妙子を思わせる顔つきがキュートじゃありませんか。私も下町(ダウンタウン)へ繰り出そうかな
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↑二代目沢村淀五郎の川つら法眼と坂東善次の鬼佐渡坊 大判(時代物切狂言「義経千本桜」より)
右「こら!わしのオハギ食べたの、お前か!」左「おれじゃねえよ。証拠あんのかよ!」と言っているのかどうかはわかりませんが、左の方はモミアゲが大変なことになっていることだけは確かです
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↑「橘屋中車」三代目市川八百蔵の八幡太郎義家、実は源吾成重 間判
「絶対に流行るからって言われて、美容師さんにこの髪型にされたけど、本当に流行るのかな、これ?」流行りません
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↑相撲絵 大童山の鬼退治 大判
「はい、六本木や麻布の盛り場で暴れてる鬼(ワル)どもを退治しました」と言ってる元朝青龍ではありません

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『写楽』は品切れ中ですが、芸術入門のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、写楽さんのお墓にお参りに行きたくなる一冊『写楽』のご紹介でした。

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2012年9月23日 (日)

『香港 マカオ 台湾の旅』

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カラーブックス226「香港 マカオ 台湾の旅」平岩 道夫 著(昭和46年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第119回目は、ニーハオ、シェーシェ、ワンシャンハオなカラーブックスをご紹介いたします。今回は、チンジャオロース、マーボードウフな一冊、『香港 マカオ 台湾の旅』です。

つい先日、昨年に引き続き、またもや台湾へ行って参りました。高校の修学旅行、前にいた会社の取材、そして去年と今年で4回目の台湾行きとなりました。いま日本と中国の領土問題が連日ニュースで取り上げられ、台湾から帰って来た直後は「反日デモ大丈夫だった?」と、今回の台湾行きを知っているほぼ全員に聞かれましたが、台北市内でデモや暴動は皆無に等しく、むしろ現地の方にいろいろと親切にしていただきました。例えばある夜、地図を広げてきょろきょろとしてたら、バイクに乗った若者が私の前に止まって「夜市を探しているんですか?」と日本語で道を教えようとしてくれたり、親切なタクシー運転手さんがカタコトの日本語で話しかけてくれたり、とにかく日本人に優しいのです。無料wi-fi も街のあちこちで使えるし、料理も旨いし、街は昔の日本を思わせるような看板や商店建築であふれかえっているし…、台湾(というか台北市)は、行くたびに「東京より住み心地がよさそうだなぁ」と思ってしまうのでした。

また、今から15年前には香港も旅行しました。その時は、『ガロ』で活躍していた漫画家で今もイラストや絵画で活躍している逆柱いみり氏と二人で訪れました。以前より香港や中国、台湾を思わせるマンガを多数描いていた逆柱いみりさんを香港へ連れて行く、これだけでもう充分すごい企画だったのですが、この旅の記録はのちに『夢之香港旅行』という1万円もする豪華限定本として発表しました(500部限定、絶版)。98年当時の香港は中国に返還されたばかりだったのですが、街の雰囲気は思っていた通りのごった煮感であふれかえっていました。香港島を走る二階建て路面電車(トラム)、紙製の葬儀用品を売るお店、野菜や果物や肉類が山のように積まれた市場、歩道にも並べられた乾物や漢方薬の材料…またあのエキゾチックな雰囲気に触れに香港を訪れたくなります。九龍(クーロン)側にあった「ダイヤモンドヒル」と呼ばれていた今は無きスラム街も二人でぐるぐる巡ったりして、それなりに楽しい旅行でした。今度、また香港へ行く機会があれば、合わせて世界遺産の西洋建築が多数残る元ポルトガル領のマカオにも足を運んでみたいと思います(賭博は興味なし)。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな香港、マカオ、台湾の旅をおススメする、1971年当時の貴重な写真をふんだんに盛り込んだ、元祖東南アジア旅行のススメ的な一冊です。著者は、雑誌「平凡」記者を経て、日本最初の切手評論家、海外旅行評論家として活躍していた平岩道夫氏。平岩氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「たいへんな海外旅行ブームである。とくに香港・マカオ・台湾の旅は旅行業者もびっくりするほどの人気で、年末年始ともなると、キャンセル待ちという盛況ぶり。この人気の秘密はいろいろと考えられる。自由港香港ではショッピングを楽しむ、マカオではギャンブルを、男性天国といわれる台湾では……。それに、外国でありながら日本にもっとも近く、ほとんど日本語で用が足せるのも、大きな魅力となっているようだ。」

たしかに、香港や台湾でも日本語が通じるお店やホテルは多くありました。街の看板のほとんどが漢字表記ということもあって、日本人にとっては身近な外国といえるのではないでしょうか。しかも料理はうまい、看板だらけの街並みは面白い、お土産にも事欠かない、まさに旅行を楽しむのにうってつけの観光地です。本書では、平岩氏が氏の奥様と旅行した時の写真が使われており、まるで新婚旅行のアルバムのよう。著者や奥様の70年代ファッションも時代を感じさせてくれて、もう気分は高度成長期。それでは、ジャッキー・チェンが果物市場のリンゴに突っ込んだり二階建てバスの上で看板を除けながらカンフーで闘う様子を想像しつつ、ジャスミン茶を飲んで月餅でも食べながら、細野晴臣の『泰安洋行』でも流して、香港・マカオ・台湾の画像をゆっくりとご堪能ください。チンドゥォガンジャオ!(宜しくお願いします!)
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↑機内で食べる朝食もワンダフル!
旨すぎてピントもボケる機内食(旅行川柳)。70年代当時の機内食は紙皿に出していたんですね。香港行きの食事もだけど、奥様のファッションもワンダフル!
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↑365日を海で過ごす蛋民たち
水上生活者は怒る「かつて陸の人たちは〝蛋民、蛋民〟といって人間扱いしてくれず、私たちはじっとがまんして水上で生活してきた」当時の香港人口460万人のうち水上生活者「蛋民」は15万人もいたという。これも香港のもうひとつの顔なり。なお、蛋民は1990年代には姿を消したそうです。写真の上に三菱とナショナルの文字が見えるところが「電化製品の日本」を象徴しておりますな。
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↑三輪車でマカオ市内見物
マカオ随一のデラックスホテル「リスボア」の前で。マカオの市内見物はせいぜい2〜3時間もあればいいそうで、三輪車観光は今も名物のひとつ。しかし、後ろのホテル、宇宙っぽくていいなぁ。
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↑台湾・アミ族
花蓮(ファーレン)では〝アミ族〟が民族色豊かな舞踊を見せてくれる。アミ族は台湾原住民族の中でも最も多い18万人。台湾原住民は台湾の総人口の2%ほどいるそうですヨ。冠かぶってタスキ掛けしてるところをみると、この方、ミス○○に選ばれたのかな?
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↑香港のネオン街
香港といえば、夜のネオンが美しいことで有名。フェエリーから見える香港島の夜景は「百万ドルの夜景」と言われていることはご存知の通り。街なかのネオンだって負けちゃしません。さすがは元イギリス領、英語と中国語が併記されてるところがいい感じ。「華麗屋」ってもしかしてカレー屋??
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↑香港の難民アパート
今も昔も土地の少ない香港は住宅難。洗濯物の吊るし方がいかにも香港という感じでイイ雰囲気。でも生活は大変だったようで…。しかし手前の花売りがいかにも香港的ですな。
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↑こちらは先日行って来た台北の「華西街観光夜市」(通称・ゲテモノ夜市)
思ったほどゲテモノではなかったのですが、なんだかノンビリした夜市で好感がもてました。暑いので犬も果物ジュース屋の店先で夏バテ状態。
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↑同じく台北市、多種多様な薬草が集まる「青草巷」という専門店街にて。閉店間際の店先に吊り下げられた巨大アロエがエキゾチック。まるで逆柱いみりさんの描く世界。実写版「馬馬虎虎」が見てみたい今日この頃。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『香港 マカオ 台湾の旅』は絶版ですが、趣味のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、香港ってクーロン城が無くなっても街中がクーロン城状態だったんだなぁと思ったことを思い出した一冊『香港 マカオ 台湾の旅』のご紹介でした。

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2012年8月31日 (金)

『おもしろ駅図鑑』

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カラーブックス752「おもしろ駅図鑑① 東日本」種村 直樹 RGG 共著(昭和63年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第118回目は、「どぁー、しゃーりやーす!」なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、知らない街を歩いてみたくなり、どこか遠くへ行きたくなる一冊、『おもしろ駅図鑑』です。

私の名字は「田端」と言いますが、小さい頃から山手線(あるいは京浜東北線)の田端駅に着くと「ほら、お前の家に着いたぞ!」とからかわれてきました。私の実家は、田端駅の3つ先「大塚駅」が最寄り駅で、惜しくもニアミスなのですが、「田端は、なんで田端に住んでいないんだ」と、大人になった今でもたまに言われることがあります。しかも、近くて同じ名前の割りには田端駅では降りたことがほとんどなく昔から縁がありません。最近になって田端駅近くにある歯医者さんへ通うようになったのですが、受付で「田端さーん」と呼ばれるたび、みんなが振り返って私の顔を見るのです。知り合いが今から10年以上前に田端駅周辺に田端さんが住んでいるか電話帳で調べたそうですが、なんと当時は一人も登録されていなかったとか…。歯医者で振り返られたのも納得です。
『大塚で生まれた男が「田端です」』(妄想駅名川柳)
上野さんや大塚さんは多いと思いますが、田端さんは何かと複雑な心境になる名字なのでありました。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな全国の駅名と同じ名字を持った人びとを集めた本…ではありません。日本全国のJR(旧国鉄)の駅をたずね、いろいろな意味で面白い特徴のある駅を紹介する「乗り鉄向け、おもしろ駅めぐり各駅停車の旅」的な一冊です。著者は、毎日新聞記者を経て、フリーのレイルウェイ・ライターとして活躍している種村直樹氏とRGG(レイルウェイズグラフィック)の共著。著者の一人、種村氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「鉄道の楽しみのポイントのひとつは駅にある。旅先の乗り継ぎ駅、観光地の最寄り駅や宿泊地の駅に乗り降りするたび、ひとつひとつの駅が個性をもち、その町や村の顔として、さまざまな表情をしていることに気づく。ホームのたたずまい、駅名標の形、駅内の施設、駅舎の形、駅前広場の雰囲気などに特徴のある所も多い。」

たしかに、田舎の駅をたずねると、その町独自のローカルさ、古い駅舎、そして駅前の閑散とした雰囲気に心を惹かれることがあります。今回は、東日本篇として出版された①をご紹介いたしますが、なんといっても個性的な北海道の駅を紹介しているところが魅力的です。私も昔、留萠や増毛といった北海道のローカル駅を訪れたことがあり、読んでいるうちに懐かしくなりました。鉄道好きの方は、それこそ「日本中の駅を回る」という究極の楽しみがあるからうらやましいです。それでは、東日本にある個性豊かなJRローカル駅のおもしろカラー図版を思う存分ご堪能ください。出発、しんこー!ピー!
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↑釧網本線 グルメライン
北海道の東北端、オホーツク海に面したJR北海道、釧網本線の無人駅が軒並みに喫茶店や食堂、レストランに変身した(1987年当時)。女満別空港に降り立った著者は、かくしてグルメスポットと化した無人駅でグルメを楽しむべく、車両に飛び乗ったのであります。しかし、まあなんと大雑把な写真合成と地図よ…。
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↑止別(やむべつ)駅 ラーメンきっさ「えきばしゃ」主人の菊地容行さん
きっぷを売るより喫茶店のマスターのほうがよく似合う…、まさに絵に描いたようなヒゲのマスターなり。
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↑浜小清水駅 コーヒーステーション「汽車ポッポ」にて巨大パフェに挑戦する筆者。直径10センチ以上の深々としたガラス器にコーンフレークを敷きつめ、アイスクリームと生クリームを豪快に盛り、フルーツを並べたうえ、ソフトクリームが差してある。これで400円とは採算合うのか?
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↑同じく「汽車ポッポ」店内にある土産コーナー
あった、あった。軽井沢とか清里に、こういうファンシーな陶製の壁掛け人形売ってたよなー。まだ仕事を選んでいた時代のキティも中央で我が物顔。よく見ると、人形と入場券をセットにしているのもあるのね。おやまあ、商魂たくましい駅だコト!(滝口順平の声で)
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↑仙山線 作並(さくなみ)駅
愛子駅管理の簡易委託駅で、日中のみ案内所の係員が配置される。ホームから駅舎への降り口に作並こけしの大きな模型と、交流電化発祥の碑がある。「またどうぞ さくなみ太郎」と書かれているが、対のもう一人は「さくなみ二郎」か? こけしは叫ぶ「飛びます、飛びます!」(意味なし)

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『おもしろ駅図鑑』は絶版ですが、のりもののカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、思わず、ぶら〜り途中下車がしたくなる一冊『おもしろ駅図鑑』のご紹介でした。

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2012年8月19日 (日)

『洋菓子天国KOBE』

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カラーブックス745「洋菓子天国KOBE」村上 和子 著(昭和62年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第117回目は、おかしなおかしなカラーブックスをご紹介いたします。今回は、泣いてもどうにもならない神戸な一冊、『洋菓子天国KOBE』です。

私が神戸をはじめて訪れたのは、今から13年前のことです。あの阪神淡路大震災からすでに4年が経過しており、これといった震災の傷跡は見当たりませんでしたが、ところどころに石垣が崩れて修理した跡がわかる住宅があったり、山のケーブルカーが休止中だったりと、復興の“残り香”のようなものが随所にあるのがわかりました。その時に訪れた目的は洋館の廃墟を取材すること。神戸と言えば、早くから貿易の盛んなところで、多くの外国人が居留していた場所。なので洋風建築も多く建てられ、西洋文化のあふれるハイカラな街となったのです。洋館廃墟の取材を終えた私は、神戸でクッキーや洋食ひとつも食べずに神戸をあとにしました。今思えば、もう少し神戸らしさを堪能した取材にすれば良かったなぁと後悔しています。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、欧米の歴史の中で生まれ、長い間、神戸の職人たちの手によって受け継がれ、育まれてきた伝統的な洋菓子にスポットをあて、その背景をさぐる「神戸洋菓子史」的な一冊です。著者は、エッセイスト、サンテレビジョン(神戸)女性ディレクター、番組編成担当として活躍していた村上和子氏。村上氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「神戸が全国に先がけ「ファッション都市宣言」をして、久しくなります。ファッションの街って一体ナニ? まだ、そんな風潮が一般的だったころ“K.F(神戸ファッション)”のグループが、つぎつぎと生まれていきました。私が先輩ジャーナリストや料理関係者と始めたのは、KFR(料理)。エッ!料理がファッション? ……、あれから十年。時は流れ、料理はもちろん、今や生きざままでがファッションでとらえられる時代となりました。中でも洋菓子は、神戸ビーフ、灘の酒と並ぶ、神戸の味。その美しさと美味しさは、“食文化の極み”、また“ファッションの真髄”といえるものです。だからこそ「アパレル以上に流行が激しい世界」といわれたりもするのでしょう。」

たしかに、美しい洋菓子、伝統を守りながら新しい味覚を盛り込んだ洋菓子が次々と誕生する様は、まさにアパレル業界と重なる部分も多いことでしょう。しかし、日本に伝わった本来の味をかたくなに守り続ける老舗の味も、じっくり堪能してみたいものです。さて、今回のカラーブックス紹介は、別に神戸の洋菓子を真面目に論ずるために取り上げたのではありません。本書が発行されたのは87年、まさにバブル絶頂期の直前。ファンシー&パステルな全てが軽くマシュマロみたいな文化のまっさかり。そんな時代の要素を写真から感じとっちゃおうじゃアリマセンカ!それでは、神戸の洋菓子をベースに、80年代の雰囲気をトッピングにして、懐かしんだり鼻で笑ったりしながらお楽しみください。
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↑ポワソン・ダブリエール
薄切りリンゴやイチゴをうろこのように並べ、カスタードクリームをたっぷり…。春を告げるお菓子で、フランスではクリスマスやイースターと同じくらいポピュラー。みなさん、おわかりですね、「目」ですよ「目」。フフフ。
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↑ミュゲ
フランスでは5月1日はミュゲの日(スズラン祭り)。ええ、そうそう、このお菓子よりも、このレースのテーブルクロスみたいなのが、中途半端にひっかかってるのが気になりますよね。これ、いらないんじゃないの?!
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↑マジパン
その昔、ローマではせき止めの薬だった。形はまるで、粘土細工のように自由自在。あれ、このファンシーなキャラの中に、「きんさんぎんさん」らしき2人の婆さんのマジパンが!みんなで探してみよう。マジで運がつくかもヨ☆
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↑チョコレートケーキ
チョコレートでフリルを作り、何重にも重ねたデザインは、思わずオッ・シャ・レーと叫んでしまうほど。表紙にもあった、みつ蜂が花の周りをとびかう素敵なケーキには、ぜひ上からたっぷりと蜂蜜をかけてみて(不味)。
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↑シュークリーム
シューはフランス語で“キャベツ”の意味。それがどうしたと言わんばかりの美味しそうなビジュアル。アーッ!お腹すいたネ…。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『洋菓子天国KOBE』は絶版ですが、趣味のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、長崎から船に乗って着く一冊『洋菓子天国KOBE』のご紹介でした。

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2012年7月31日 (火)

『スポーツ切手』

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カラーブックス39「スポーツ切手 −陸上競技−」島 三郎 著(昭和38年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第116回目は、レディー…ゴー!パーン!なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、輪、輪、輪、輪が五つな一冊、『スポーツ切手』です。

この原稿を書いている2012年7月30日は、ロンドン・オリンピックが開幕してから3日目、今回も日本人選手のメダル獲得に期待が寄せられています…なーんて、よくありがちな「がんばれ日本!」的な記事を書くことが目的ではない当ブログ。オリンピックが盛り上がっていようがいなかろうが、誰がメダル何個獲ろうが、知ったことじゃありません! 面白い、だけど知られていないカラーブックスを、今回もいつも通りご紹介いたします。

今から4年前、ピエブックスというデザイン系の出版社より発売された『スタンプツアー イン ザ ワールド』という、各国のデザイン性に優れた切手で視覚的に世界一周を疑似体験する、切手版「イッツ ア スモールワールド」ともいうべき単行本の原稿を担当いたしました。美しい切手を地域別、国別に分類して、国の紹介や切手の特徴などを短くまとめた本ですが、切手好きならずとも、グラフィックデザインの参考書、イラストブックとしても、なかなか見応えのある本です。この仕事をやって気づいたのは、切手のデザインには各国のお国柄が色濃く反映されているということ。たとえば、中国や旧ソ連といった共産圏の切手は、まるでプロレタリアのポスターを思わせる絵柄がありますし、北欧の切手は家具や建築同様に洗練されたデザインのものが多いようです。アジア圏も絵柄やモチーフに特徴があり、植物や装飾などがオリエンタリズム(東洋趣味)を感じさせてくれます。そう、切手こそ世界各国のデザインの意識の高さや傾向を確認できる「指標」なのではないでしょうか。切手を見ればその国がわかる、たかが切手、されど切手、小さな小さな印刷物は決してあなどれないのです。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、東京オリンピックが開催される前年に刊行された、陸上競技の絵柄を使った世界各国の切手を集め、さらに各陸上競技の解説まで載せている「小さな紙の祭典」的な一冊です。著者は、日本陸上競技連盟参与にして、スポーツ切手研究会理事という肩書きを持つ島三郎氏。島氏は、はしがきで以下のように語っております。

「いよいよ待望の第十八回(東京)オリンピック大会が近づいて来ました。アジアで初めて開催されるこのオリンピック大会を成功裡に終わらせたいのは、もとより私たちの心から念願するところですが、そのオリンピック大会で、最も人気があり、大会の中心となるものが陸上競技であることは、いまさら申すまでもありません。一方、世界各国で、ずいぶん数多く発行されているスポーツ切手の中で、最も人気があり、中心となるものは、これまた陸上競技の切手です。そこで、陸上競技と陸上競技の切手と、双方をとりあげて一冊にまとめたのが、この本です。」

たしかに、オリンピックでは、マラソンをはじめ、棒高跳び、砲丸投げ、槍投げ、100m走など、陸上競技には最も人気があつまります。しかし、いくら切手が「デザインの見本市」のようなものだとはいえ、同じテーマで同じような絵柄になりがちな「陸上競技」しばりでデザインの個性を出すのは至難の業。まさに各国のデザイナーの腕の見せどころといったところでしょうか。競技の切手、それは、もうひとつの五輪「デザイン・オリンピック」と言えるのかもしれません。それでは、昭和38年当時の世界で、それまでどのような美しい切手が発行されてきたのか、陸上競技の種目のみという限られたお題を見事にクリアしたデザイン・オリンピックの各国代表の勇姿をとくとご覧ください。
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↑走り高跳びの切手。上左からブルガリア、象牙海岸(コートジボワール)、パプア・ニューギニア、ポーランド。どれも躍動感あふれる力作ばかりですが、あえて幾何学的な平面構成で挑戦したポーランドに脱帽。金メダルはポーランド!
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↑ゴール!の瞬間切手。上から旧ソ連、ルーマニア、コロンビア。ゴール感が一番出てる旧ソ連の切手を推したいところだが、あえて「ニャンニャンポーズ」と「欽ちゃん走り」をキメてるコロンビアに軍配。コーヒーだけじゃない!
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↑槍投げの切手。上より、ドミニカ、ルアンダ・ウルンジ、リベリア。多くの国が投げる瞬間のデザインを採用しているにも関わらず、すでに投げたあとの選手の顔をとらえたシチュエーションが見事なドミニカの切手に完敗。
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↑女子競技の切手。左上から、中国、ユーゴスラビア、ドミニカ。そう、あえて、ユーゴを推したい自分がいる。きっと走り高跳びの絵柄だしかし、中国の切手はいいですね。
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↑第三回国民体育大会記念切手。これらの切手の中で何が一番スゴいって、競輪ですよ。頭にオウムのヘッドギアみたいなのかぶってるやつがいる…。


さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『スポーツ切手』は絶版ですが、趣味のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、オリンピックがはじまるとついつい五輪真弓を思い出してしまう一冊『スポーツ切手』のご紹介でした。

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2012年7月22日 (日)

『こんぴら歌舞伎』

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カラーブックス885「こんぴら歌舞伎」西村 望 監修 井下 正三 著(平成8年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第115回目は、知らざー言って聞かせやしょう!なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、うどん喰いながら「絶景かな、絶景かな!」的な一冊、『こんぴら歌舞伎』です。

2008年のこと、彼女と二人で四国へ旅行にでかけました。香川県高松で一泊し、翌日には高知へ移動して一泊、三日目は愛媛県松山を観光して東京へ帰ってくるという強行スケジュールの旅でした。香川についてすぐ「こんぴらさん」こと「金刀比羅宮」を参拝したのですが、帰り道の石段に「こんぴら歌舞伎 金丸座」という看板を見つけたので、「ついでだから行ってみるか」と、そのよくわからない名前の建物にも立ち寄ってみることにしました。石段を降りきったあたりで横道に入ると、昔の芝居小屋をそのまま保存した博物館のような建物が見えました。中へ入るやいなや案内係のおじさんが芝居小屋の解説を始めました。そして突然「待ってました、成駒屋(なりこまや)!」と、大声で叫び出したのです。「とまあ、こんな感じで役者が花道へ出て行くんですよ。」…いやぁビックリ、具体的に掛け声を出して歌舞伎役者の登場の仕方を教えてくれたのです。その後は小屋の内部をいろいろと見学、歌舞伎の上演こそなかったものの、歴史ある建物の裏側まで覗くことができて大満足でした(実はこの当時「こんぴら歌舞伎」のカラーブックスが出版されていることなど全く知りませんでした)。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、香川県琴平町にある「金丸座(旧金毘羅大芝居)」の概要と歴史、さらに日本の歌舞伎の歴史やこんぴらさん(金刀比羅宮)の解説までを盛り込んだ「こんぴら」&「歌舞伎」入門な一冊です。著者は、新聞記者を経て探偵小説などを執筆されている西村望氏と高松市在住の井下正三氏。西村氏は、巻頭で以下のように語っております。

「櫓太鼓の音とともにこんぴらに歌舞伎大芝居が帰ってきた。金丸座。よみがえったこの芝居小屋には数多くの名優が立っている。都会の大劇場とはくらべるべくもない小さな劇場(こや)だが、役者にとっては決しておろそかにできない舞台であろう。それは観客と役者の距離が近く、ために目くばり、セリフの言い廻し、それらすべてが手に取るようにわかるからだ。」

たしかに、金丸座はあまり大きな芝居小屋ではありませんから、観客との距離が近いということは、役者にとって手が抜けない「もっとも緊張するハコ」の一つと言えるのかもしれません。

この建物について、少し詳しくかきたいと思います。金丸座(旧金毘羅大芝居)は、江戸時代の天保6(1835)年に建てられた、日本に現存する最古の芝居小屋です。荒れ果てたまま放置されていた小屋は、昭和45(1970)年に国の重要文化財に指定、のちに現在地へ移築・復元されて保存されました。1984年にNHKの番組で同座を訪れた中村吉右衛門らの熱意によって芝居小屋として復活、同年11月に「こんぴら歌舞伎大芝居」が実現したのです。現在も年1回の定期公演が春におこなわれています。
さて、このブログはカラーブックスの魅力的なカラー写真をご紹介するのが目的ですから、今回もこの本に載っているステキなカラー写真をご紹介することにいたしましょう。それでは、顔に隈取りを書いて、手を前に突き出し、口の端を麻生元首相ばりに曲げながらじっくりとごらんください。カン、カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…ヨォー、カン。
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↑第9回こんぴら歌舞伎大芝居 中村富十郎「魚屋宗五郎」(『新皿屋舗月雨暈』)
妹を妾奉公先のお武家様に殺された魚売りの兄「宗五郎」が、悲しみのあまり酒におぼれ、最後にはお武家様の家に乗り込んで…。ある歌舞伎ファン曰く「富十郎は本当にうまかったのよ」客席に近いところで迫真の演技、ご存命の時に一度は見てみたかったなぁ。
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↑第5回こんぴら歌舞伎大芝居 中村扇雀(現・四代目坂田藤十郎)、市川團十郎「勧進帳」
頼朝に追われて逃げる弁慶と義経が、加賀の国(石川県)の関所「安宅の関」を山伏の格好で抜けようとしたところ、疑いをかけられたため、何も書いていない巻物を読み上げたり、義経を金剛棒で叩いたりして、ようやく通り抜けることができ…。ちなみに元・中村扇雀さんは、扇千景さんの旦那で中村玉緒のお兄さんです。市川團十郎はあたりまえだけどエビゾーのお父ちゃん。
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↑第7回こんぴら歌舞伎大芝居 中村勘九郎(現・勘三郎)と片岡孝夫(現・仁左衛門)、御座船で到着
おお、カンクローこと現カンザブローが船に乗って香川にやってきましたよ。後ろからは、ダンディーなニコンのメガネのニザエモンさんが降りてきましたゾ。
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↑「奈落。セリ出しの装置や力石がある」
まさに、これが奈落の底。人力で動く廻り舞台が素晴らしい。地面に均等に並んだ力石を踏んで廻り舞台を動かします。ドリフの場面展開も、この要領だったのかな(違)。
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↑花魁道中
毎年10月に開かれる、江戸の賑わいを再現した「こんぴら街道市」のフィナーレ。花魁はなぜ花の魁と書くか?それは「昔、梅毒が流行っていて、花魁と遊ぶと鼻の先が欠けたから」鼻の先欠け、花の魁。これは三遊亭円生の落語のマクラで知りました(本当)。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『こんぴら歌舞伎』はわずかに(現時点で3部)改訂版の在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、あっ小せぇ、小せぇ(石川五右衛門)な一冊『こんぴら歌舞伎』のご紹介でした。

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2012年6月30日 (土)

『韓国』

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カラーブックス231「韓国 −カラーガイド−」李 剛 著(昭和46年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第114回目は、カムサハムニダでサランヘヨなカラーブックスをご紹介いたします。今回はキムチでクッパでチヂミな一冊、『韓国』です。

私は以前、8年間ほど荒川区南千住という街に住んでいたのですが、ひとつお隣の「三河島駅」にコリアンタウンがありました。よく韓国家庭料理を食べに行っていたので、この街には馴染みがあります。今はもう閉店してしまった料理屋さんで、カムジャタン(豚の背骨とジャガイモを煮込んだ鍋)を食べたときのことです。お店のメニューをろくに見ないで、すぐに「カムジャタン」や「チジミ」「ビール」「スンドゥブ」などを注文してしまったのですが、値段の表記を見て驚きました。なんとメニューのところに5000とか10000という数字が並んでいるではありませんか!「払えなかったらどうしよう…」、そんなことを考えながらすべて食べ終わっていざ会計をしてみると、一人2000円でお釣りがくるほどだったのです。首をかしげながらの帰り道、これがすべて「ウォン」の値段表記であったことに気がつきました。日本国内なのに、この街はかなりコリアな街だったのでありました。まだ韓流ブームが起きる何年も前のお話しです。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、196、70年代に韓国を訪れた著者が、当時の韓国の生活や町並みなどを記録した、大変貴重な一冊です。著者は、フリーカメラマンの李剛氏。著者は、「はじめに」で以下のように語っております。

「私は日韓の国交が復活したころから韓国を撮り始めた。爾来発表した写真の集大成のつもりでこの本をまとめてみた。旅行をする上でのガイドの用にはあまりたたないかもしれないが、少しでも私の意図した韓国とそこに生活する人びとの姿が表現できればと思っている。古さと新しさが同居している現在の韓国、そして人びとを理解していただければと願ってやまない。」

たしかに、当時の韓国は、今から想像もできないほど、昔ながらの風景が多かったに違いありません。最近では、ウォン安ということもあって、日本からたくさんの観光客が訪れていますが、現在の発展した韓国と、このカラーブックスに掲載されている風景を見比べてみるのも面白いと思います。それでは、日本が高度経済成長期を迎えていたころの韓国の風景を、すてきなカラー写真でご堪能ください。ケンチャナヨ、ケンチャナヨ、ケンチャナヨ…。
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↑「ソウル繁華街 看板の文字はほとんど仮名文字」
メメクラゲに刺されてしまったというのに…なんだ、ハングルの看板ばかりじゃないか! 目医者の看板が目立つじゃないか!
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↑南山公園の午後
市民の憩の場、南山国立公園には、ステッキ持ったステキなご老人が、かんかん照りの中、カンカン帽でボーッとしていたとか、いないとか。
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↑露天で週刊誌を売る少年
すでに顔が35歳の少年も、彼の息子が35歳をむかえた頃か。少年のうしろに見えるは、それを暗示の白い文字。オモニの靴を履いてきたのか、足の角度が艶かしい。
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↑遊園地の風船売り
えあ?なんだって?みりゃわかんだろ、風船だよ、風船。えあ?これは、あれだよ、ガスだよ、ヘリウムガス。うぇ?吸って喋ってみろって?コンナカンジカイ?ウェ?
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↑ウォーカーヒル明月館の「将軍票」
ソウル市内から車で30分。漢江上流に望む丘にあるウォーカーヒルリゾート。朝鮮動乱で戦死したアメリカのウォーカー中将の名を記念してつけられた。将軍標とは、朝鮮・韓国の村落に見られる道祖神。男は将軍、でも実は女が地下の将軍…って意味じゃないよね? 将軍票「イーッシシシシ…」


さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『韓国』は絶版ですが、旅路と散策のカラーブックスは在庫がございます。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、結局どこからきたのかわかったようなわからないような一冊『韓国』のご紹介でした。

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2012年6月22日 (金)

『日本人のルーツ』

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カラーブックス600「日本人のルーツ −その探求の一方法−」加治木 義博 著(昭和58年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第113回目は、どこの誰だか知らないカラーブックスをご紹介いたします。今回は、誰もがみんな気になる一冊、『日本人のルーツ』です。

このカラーブックスは、以前(2007年)にも「意外なテーマのカラーブックス」の一つとして『はにわの動物園』と一緒にご紹介したことがあるのですが、当時は本の中身についてほとんど触れていなかったので、あらためて取り上げてみたいと思います。

私が中学一年生の時(1988年)、上野の国立科学博物館にて「日本人の起源展−日本人はどこからきたか」という展覧会がありました。私は、この展示を見に行ったはずなのですが、どんな内容だったのか全く記憶がありません。おそらく、縄文時代よりも前の時代に日本人の祖先となる民族がどこから渡ってきたのかを、さまざまな仮説を元に解説した展示だったはずなのですが、まったく記憶がないのです。それもそのはず、実は両親にはこの展示へ行くと言って埼玉にある古墳へ友人たちと出かけていたのです。日本人の起源を学びに行くはずが、埼玉にいたかつての有力者のお墓を見に行っていたわけです。今にして思えば、「日本人の起源展〜」に足を運んでおけばよかったと悔やまれますが、古墳は古墳で楽しめたので、今となっては良い思い出のひとつです。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、日本人の祖先がどの大陸から海を渡って今の土地に住み始めたのか、という永遠の謎を様々な角度から検証した、大マジメなのかふざけているのか分からない、ちょっとおかしな一冊です。著者は、同盟通信社記者にして言語復原史学会会長、コスモポリタン資料館館長の加治木義博氏。著者は、「はじめに」で以下のように語っております。

「世界の先進国の中で、自分たちの先祖のルーツがまるでわからないという遅れた国は日本だけです。そのため外国には日本人を正体不明の不気味な人種と思っている人が多くて、経済など国際摩擦の原因になっていることも少なくありません。しかし、今の日本は物質など国際交流なしでは生存さえむずかしい国であり、また日本人が世界の人類と血を分けた一員であることはいうまでもないと思います。ことに古墳文化などは予想以上に高い文明の所産で、日本人はユーラシア大陸の古代大文明をうけついでいるとみられます。決して日本人のルーツは謎ではなく、はっきりさせることができると思います。」

たしかに、日本人は自分たちの先祖のルーツを正しく知っているわけではありません。あくまで、このあたりから来たであろう、と言われているだけなのです。そして、古墳時代の高い文明に、私たちの先祖のルーツが隠されているとしたならば、私が「日本人の起源展」を見に行かず埼玉の古墳を見に行ったことも、あながちムダなことではなかったのかもしれません。それでは、例によって日本人のルーツを探るためのカラーブックスに掲載された、とてもすばらしいカラー写真の数々をご紹介いたしましょう。日本人がどこからやってきたのかを想像しながらごらんください。えっほ、えっほ、えっほ、えっほ……。
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↑三味線と民謡のルーツは
三味線は、沖縄の三線から改良されたものとされてきた。しかし、アジア近辺には三本線の楽器を使う国がいくつか存在しているという。もしかすると、三味線は他の国の物が変化して伝わったのかもしれない、つまり沖縄を経由してない。しかし、こう並ぶと三線は一番丁寧で美しい絵柄ですな。
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↑縄文人の仲間
世界にはそれぞれの国に美しい服や衣裳がある。世界から出土した土偶に見る、民族衣装の違いは、ごらんの通り。しかし左の土偶は、本当にエジプトの物なのだろうか…リアルさといい、新しい保存状態といい、顔つきといい、どう見ても最近作られたものにしか見えないけど…2番に至ってはカナダの人形なのに顔が博多人形風なのが怪しい。
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↑ヤマタノオロチは何を意味するか
頭の数は一つ違うが、インド系信仰の影響で生まれたものと思われる。二つの異なった信仰をもった人々の衝突をたとえ話化したもの、という解釈の著者。真相は不明だが、しかしなぜに漫画?
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↑宝石象嵌銅製竜王護仏像(ナーガ仏)
そう、みなさん、そうです。頭の上にあるのはヘビです、それもコブラ系。スリランカのものだそうですよ、ええ、では、さようなら。ハバナイスデー!
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↑面とヒンドウ芸能
日本の面のルーツは、インドネシア、インドなどの影響にあるという。しかし、この天狗の面、どれもいい顔しとりますなー、とくに左の天狗は民芸居酒屋に飾ってあってもおかしくないレベル。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『日本人のルーツ』は絶版ですが、趣味・手づくり・マナーのカラーブックスは在庫がございます。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、結局どこからきたのかわかったようなわからないような一冊『日本人のルーツ』のご紹介でした。

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2012年5月31日 (木)

『土鈴』

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カラーブックス437「土鈴 −収集の旅−」山本 鉱太郎 著(昭和53年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第112回目は、なぜか思いっきり鳴らしたくなるカラーブックスをご紹介いたします。今回は、強制的に働かされているような一冊、『土鈴』です。

私は、幼い頃から古いものが好きでした。小学生の時から、七福神の人形や根付のようなものを親にねだって買ってもらったり、中学生の時には古銭を集めたり、高校を卒業してからも戦前の生活雑貨や紙ものを集めていました。ある日、サンシャインシティの中で骨董市が開かれていました。まだ小学生だった私は、親に頼んで大黒様の顔が打ち出の小槌に書かれた「土鈴」を買ってもらいました。デザインも顔つきも渋いもので、おおよそ小学生がねだるようなものではありませんでしたが、私はとても喜んでいました。あくまで七福神グッズとして買ったわけで、土鈴が欲しくて買ったわけではありませんが、私にとって土鈴は部屋のインテリアの一部だったのです。そんな小学生、ちょっと気持悪いですが…。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな土鈴の歴史、種類、魅力を伝える土鈴づくしな一冊です。著者は、郷土玩具の収集家で有名な旅行作家の山本鉱太郎氏。著者は、「はじめに」で以下のように語っております。

「土鈴はごく大ざっぱに言って、信仰の対象としての土鈴と、観光みやげとしての土鈴と二つのタイプにわかれると思う。神社仏閣で授与するものはおおむね素朴で、素焼のものが多く、地味に彩色してある。そして観光みやげ土鈴は主に若い女性を狙って売っているから彩色が派手で、造形的にも凝っており、いろいろなアイデア土鈴がある。そしてこれも時代の流れというべきか、近頃の神社仏閣の神鈴も年をおって派手になりつつあるようだ。またそうでないと、売れないご時勢である」

たしかに、今や土鈴を買い求める若い女性も少数派だと思いますが、神社仏閣などに派手な土鈴が多いのは、まさに本書が発行された頃に始まったことのようです。毒々しいくらいの原色を塗った土鈴から、素朴で地味な土鈴までをすべて網羅しているのが、この本の面白いところ。それでは、日本全国ローカル土鈴の旅に、鈴を鳴らしながらでかけましょう。カランコロン、カランコロン…。
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↑深大寺の華麗な土鈴
「そばで知られた武蔵野の深大寺の門前で、今日も土鈴づくりに励む馬場信子さん。鮮やかな筆さばきと華やかな色彩に思わずうっとり。」よく見ると、同じ種類の物を大量に作らず、バラバラに彩色してるんですね…。あれ、馬場信子さんの後ろに誰かいるぞ!
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↑佐渡の土鈴
「下段右のトキ鈴のほかはみんなノロマ土鈴。ノロマは、みればみるほどふきだしたくなるおかしな人形である。いずれもひとくせもふたくせもありそうな連中ばかりで思わずプー。」いやいや、この解説に思わずプー。
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↑博多土鈴
博多人形で有名な博多は、土鈴のメッカ。女性のシンボルを形どった土鈴お福さんから、あやしい形の福禄寿まで。似顔絵土鈴もあれば「にわか土鈴」もある。左下の、想像上の中国人っぽい土鈴が秀逸。

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↑佐野の土鈴
「栃木県の佐野といえば、古い織物の町だが、今では〝土鈴の佐野〟といった感じさえする」いやー、ラーメンと厄除大師とアウトレットしか知りませんでした。ごめんなさい、今度から「土鈴の佐野」と呼ばせていただきます。
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↑鳥取・島根の土鈴
はいはい、天狗でもなく、駅鈴でもなく、この名前が言いたいんでしょ?「しょろしょろ狐土鈴」。


さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『土鈴』は絶版ですが、趣味・手づくり・マナーのカラーブックスは在庫がございます。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、あの時買った大黒様のやつはどこへ行ったか気になった一冊『土鈴』のご紹介でした。

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2012年5月23日 (水)

『豆腐』

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カラーブックス880「健康を食べる–豆腐–」菅谷文則・友次淳子 共著(平成7年初版、在庫販売中)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第111回目は、角に頭をぶつけたくなるカラーブックスをご紹介いたします。今回は、さよなら三角また来て四角な一冊、『豆腐』です。

私は豆腐が好き、というより豆乳が好きです。私の幼なじみにお豆腐屋さんの息子がいたのですが、彼は「毎朝できたての豆乳を飲んでから学校に行くんだ」と言っていて、とても羨ましく思ったことを思い出しました。小学生の頃、彼の家へ遊びに行ってお豆腐を造る仕事場を見せてもらいましたが、コンクリ造りの大きな水槽(という名前なのか分かりませんが…)、使い続けて磨耗した木型、大きな重石など、いかにも「昔ながらのお豆腐屋さん」という雰囲気で、今でもその様子が脳裏に焼き付いています。最近の私はと言えば、もっぱらスーパーなどで量産品の豆腐を買うことがほとんどなのですが、たまにはお豆腐屋さんで手造りの豆腐を買ってみようと思います。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな豆腐の魅力と歴史、種類、そして料理法までを紹介した豆腐づくしな一冊です。著者は、滋賀県立大学人間文化学部教授の菅谷文則氏と、大阪城南女子短期大学生活学科助教授の友次淳子氏。著者は、「はじめに」で以下のように語っております。

「豆腐は白く、四角いものであると、多くの人は思っている。また胡麻豆腐も、その名前から豆腐のなかまと思っておられる人も多い。豆腐は、大豆などの高蛋白の植物種子を煮て、臼ですりつぶし、ニガリなどの凝固剤を加えて、固めたもので、黒豆を原料とすれば黒い豆腐が、緑豆を用いれば緑の豆腐ができる。かたくり粉などを用いて、ひき胡麻を固めた胡麻豆腐や玉子豆腐は伝統的な豆腐のなかまに含めることはできない。」

たしかに、玉子豆腐や胡麻豆腐を白い豆腐と同列に扱うのは無理があるのかもしれません。でも、私はどちらも大好きです。そして、たとえ邪道だとしても、あの種類のものを「豆腐」と呼ぶことに抵抗はありません。この豆腐という言葉は、私たちの生活の中に溶け込んだ料理をすべて受け入れるだけの器の大きさがあるような気がします。さあ、いつ食べても美味しい豆腐に飛び込んで、豆腐まみれになってみようではありませんか。このカラーブックスを読めば、身体の髄まで豆腐に浸かること間違い無しです。それでは、イッツ・ア・豆腐ワールドへ出発進行!
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↑「中国・ウルムチ博物館前の自由市場の豆腐バザール」おもてに豆腐を出しっ放しにしておくなんて、さすがは中国。これは豆腐を切ってるところなんでしょうか? まさか、手に持ったビニール袋にそのまま入れるんじゃないでしょうね…。
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↑「六浄豆腐」(山形県)中華のクラゲ?かつおぶし?いいえ、豆腐です。おそらく、これは薄く切った豆腐を干して、料理するときに戻して食べる保存食だな。いや、何もキャプションがついてないので、あくまで想像。
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↑大昔の中国の厨房の様子
とても分かりやすい絵なんだけど、どこで豆腐を造ってるんだろ? 下の山みたいになってるのが豆腐なのかな。豆腐とまったく関係ないけど、上の方の肉の絵、いい味でてるなぁ。豚の頭が笑ってるし。
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↑ちょっとしたパーティー
誕生日に、新築祝いに、入学式に、父の日に、こんな豆腐料理はいかがですか。いりませんか、そうですか、わかりました。
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↑豆腐づくり
お豆腐ができるまでを紹介した図版。そうそう、私が見た友人の豆腐屋さんもこんな感じでした。そういえば、よく「おから」を回収するトラックが来ていたっけ。ああ、懐かしい。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『豆腐』はまだ在庫がございます、この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、健康一番やっぱり豆腐な一冊『豆腐』のご紹介でした。

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2012年4月30日 (月)

『模型飛行機』

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カラーブックス438「模型飛行機」摺本 好作 著(昭和53年初版、在庫販売中)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第110回目は、夢が大きく羽ばたくカラーブックスをご紹介いたします。今回は、土手にマニアックなオッサンが大集結な一冊、『模型飛行機』です。

私が荒川区の某所に暮していた時のことです。ある日、街の外れの路地裏を散歩していたら、古ぼけた模型屋さんを見つけました。店内はビッシリと模型の箱が積まれ、中には模型飛行機も中吊りになって飾られています。かなりのマニア向けなお店だったのですが、なんとその店の向かいにも同じような模型屋があったのです。しかも店名が違う別の店。まったく同じような業種の店が対面にあるという現象は、八百屋とか肉屋とか魚屋とかラーメン屋なら分かるのですが、よりによってナゼ模型屋が2軒も…しかも住宅街の真ん中に?! もしかしたら私は白昼夢も見ていたのかもしれません。後日、訪れてみると、やはり模型屋さんは向かい合って営業していたのです。今にしてみれば、引っ越す前に、どちらかの店で模型の一つでも買っておけば良かったなと急に懐かしく思い出してしまったのでありました。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな模型を、いや模型飛行機だけに焦点を絞って紹介した、模型飛行機入門的な一冊です。著者は、玩具・模型の企画設計を行う「株式会社コンパス」代表をつとめていた、模型工作の著書が60冊もある摺本(すりもと)好作氏。摺本氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「ただいえることは、操縦者のいない飛行機が空間に飛び出した瞬間から、生命を持ったごとくに自由に振る舞う。ときにはすなおに、あるときにはダダをこねる。それが自然との対話であり、我々との語らいでもあると思うのです。同じことが、操縦できるはずのUコン(コントロールライン機)にもあるのです。自分の自由になると思っている愛機にも。」

たしかに、あの大空を飛び回る飛行機には魂が宿っているように見えなくもありません。もしかしたら、私たちが念を込めて作った物は全て、命を吹き込まれているのではないでしょうか。たとえ、それがラジコンの飛行機だったとしても、意思がないと誰が証明できるのでしょうか。小さな模型にも、五分の魂はあるのだと、このまえがきは教えてくれるのです。それでは、元祖オタク世代な大人や子どもたちが年齢に関係なくはしゃぐ、70年代的カラー写真の世界をご堪能ください。
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↑「大空を自由にかけまわる飛行機を自分でコントロールできるのですからこたえられません」とRC(ラジコン)マニアの弁。おお、みなみらんぼう的でゆうひが丘の総理大臣的な皆さんが、深夜ラジオとアマチュア無線の香りを漂わせながら、土手に集結してきましたゾ!
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↑「ヘリにはRCがピタリです。空中停止や垂直上昇、バック、なんでも自由にできます。」黒ずくめのファッションにグラサン、そしてヘリ。気分すっかり西部警察の大門…。
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↑ノルディック(A2)グライダー
「索までひっぱってあげるのだ。テルミック(上昇気流)を捜してうまくそれに乗せる。自然と対話ができたって感じがするナ」果てしない大空と、白い大地のその中で…黒ブチ眼鏡のオジサンは、今日も一人でライト兄弟。
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↑インドアエアプレーン
「エッ、重さですか? 機体はわずか1グラムですヨ」右からきた気流を左へ受け流しかねないヒゲのオジサンは、ゼッケン2番で何想う。
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↑モータープレーン
「スイッチオンで4個のモーターが同時スタートできます。エンジンではこうはいきませんからネ。それに音が静かなのも時代に合っているでしょう。モーターと電池がよくなったからこれからです」上下茶色のスーツを着てる、ヤツはマッドサイエンティスト。ネクタイの柄が派手だけど、工学系なら負けないゼ。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『模型飛行機』はまだ在庫がございます、この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、模型屋さんってカオスな店内か整然とした店かのどちらかだよね、な一冊『模型飛行機』のご紹介でした。

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2012年4月21日 (土)

『奈良』

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カラーブックス15「奈良 −カラーガイド−」青山 茂 著(昭和37年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第109回目は、いにしえの刻(とき)を感じるカラーブックスをご紹介いたします。今回は、街中が鹿と寺だらけな一冊、『奈良』です。

私が初めて奈良を訪れたのは、中学校の修学旅行の時でした。法隆寺、薬師寺、東大寺などを回ったのですが、宿泊は京都だったので滞在時間は非常に短いものでした。そんな短い滞在時間の中で印象に残ったできごとがありました。修学旅行の時には同行するカメラマン(近くの写真館の人であることが多い)が旅の思い出になる写真を撮ってくれることは皆さんご存知だと思いますが、当時、学年の中でもイケてるグループの男子が植え込みの前でしゃがんで撮った写真がありました(たぶん、法隆寺の境内でした)。ヤンキー漫画の流行っていた時代だったこともあり、しかめっ面にウンコ座りの彼らは、カメラに向かって最高のメンチを切っていたわけですが、修学旅行が終わって校内に販売されているその写真を見つけた私は、思わず吹き出してしまいました。彼らの上がり込んでいた植え込みに1本の立て看板があったのですが、そこには「これは古墳です、のぼらないでください」とあったのです。こんなさりげない単なる植え込みでさえやっぱり文化財…もう街中に文化財だらけ、さすが古都・奈良だと感心しました。当時イケてないグループだった私は、もちろんそこに写っていなかったのですが、そのあまりに滑稽で古都らしい写真を購入したのでありました…。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな文化財そのものが街になった奈良をカラー写真で紹介した、奈良ガイド本的な一冊です。著者は、当時毎日新聞奈良支局で古美術文化関係の取材記者をしていた青山茂氏。青山氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「もの心がついた頃から奈良に住みつくことになったので、奈良はむしろ第一の故郷といえる。その奈良が私をとらえた最初は四国の高校に在学した頃だった。万葉集の講義で大和の歌が出るたびに、わけもなく涙が出て仕方なかった。」

たしかに、ふるさとは遠くにありておもうもの、というように、故郷を離れると帰りたくなるものなのかもしれません。東京生まれの私は、故郷というものを知らないのでいつも羨ましく思います。それでは、鹿と寺に囲まれた郷(さと)、奈良の雰囲気を伝えるカラーブックスで、昭和37年当時のカラー写真による奈良めぐりの旅をご堪能ください。
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↑南大門の仁王・阿形(あぎょう)の金剛力士像
「門の正面左右に向かい合って金剛、密迹の仁王が立っている。鎌倉時代の名仏師運慶と快慶が作ったもので力感あふれる名作。」つい最近訪れたときも、まったく同じような雰囲気で鎮座しておりました、巨大わらじと素朴な姉弟はいなかったけど…。
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↑鹿のシロちゃん
「奈良公園にはいま八百頭余のシカがいる。(略)そのシカの中でも、特に人目をひき、珍しがられ、かわいがられるのがシロちゃんである。ちょうど英国女王の戴冠式の翌年だけに、頭のてっぺんに冠をいただいたような白い毛の生えたバンビが生れ一躍スターになったのである。」奈良といえば鹿、シロちゃんの冠は代々受け継がれているのだろうか…そういや見かけなかったなぁ。

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↑仏頭石
「若草山の横から春日奥山に通じるドライブウェーのすぐ横の木立の中にあるこの石仏、コケシのような変った姿をしている。高さ1m。」しかし、ちょっとした道端にこんな仏頭が普通にあるところが、さすが奈良。室町時代中期のものだそうです、やっぱり奈良はいい郷です。
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↑本尊十一面観音(法華寺)
「光明皇后をモデルに印度の仏師が作ったという白檀の丸彫りの像。」たしかに顔つきがなんとなく天竺(印度)寄りな気がします。胸のところの年輪がうまく模様になってていい感じ。あれ、上に小さな仏像が一個だけ…。
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↑薬師寺本尊薬師如来 本尊台座の異邦人
「本尊の台座のすぐれたディザインと文化史的な価値もあまりに有名である上框(かまち)の葡萄唐草はギリシア、ペルシア系」たしかに異国情緒あふれるディザイン…。シルクロードから伝わったことを如実に物語る文化財です。サンシャインにある古代オリエント博物館に展示してそうなメソポタミアンなテイストが好き。
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↑信号待ちをする奈良公園のシカ
これは私が最近いった奈良での一コマ。ちゃんと赤信号を待つ鹿が健気で素朴。ああ、奈良に住みたい…。
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↑奈良の大仏(東大寺)
修学旅行以来のご対面。まったく変わらず、大仏殿に鎮座してました。ホコリだらけだったけど、ちゃんとスス払いしてるのかな??
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↑奈良ホテル外観
東京駅や日銀などの設計者でおなじみの辰野金吾先生が設計した、明治時代の名作「奈良ホテル」。洋風でありながら和風のデザインが随所に見られる、折衷クラシックホテルの代表格です。奈良ならではの外観…あれ、シャレになってる?

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『奈良』は絶版ですが、旅路と散策のカラーブックスはまだ在庫がございますので是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、せんとくんは奈良で結構見かけて馴染んでたような気がした『奈良』のご紹介でした。

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