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2008年11月30日 (日)

『寄席』

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カラーブックス385「寄席 −よもやま話−」藤井 宗哲 著(昭和52年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第28回目も粋なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、日本が誇る“しゃべり”の伝統芸能『寄席』です。

寄席(よせ)、それは落語や漫才、曲芸、奇術などの大衆芸能を鑑賞するための演芸場のことです。寄席は江戸時代、大阪から江戸に来た岡本万作という人物が、神田に「頓作軽口噺(とんさくかるくちばなし)」という看板を掲げて客を集めたのがそもそもの始まりと言われているそうです。人を集める場所なので「寄せ場」と呼んでいたのが、「寄せ」と略され、のちに「寄席」という呼び名が定着したとのこと。最近は、テレビドラマや絵本などで取り上げられたこともあり、落語は若い世代にも少しづつ見直されてきているようです。

今回ご紹介するカラーブックスの著者・藤井宗哲氏のご職業は、演芸評論家…ではなく、なんと臨済宗のお坊さま。氏は、「古典落語」全集や「三遊亭円朝全集」の編纂に携わる等、演芸研究家としても有名なお方で、落語に関する著書を多く出版されています。現在は、鎌倉で精進料理を出すお寺「鎌倉不識庵」の住職として、奥様とご一緒に精進料理の普及につとめておられます。本書では、実際の寄席の様子から、発行当初の落語家の紹介、漫才や奇術などの色物芸人紹介、ビラ文字、噺家の一日、名人のエピソードなど、大衆演芸の魅力が「これでもか、これでもか」と詰まった、なかなか濃い一冊です。

明治、大正の頃にはどの街にも一軒はあったという「寄席」。東京では、新宿・浅草・上野・池袋といった繁華街にあり、それぞれ末廣亭、浅草演芸ホール、鈴本演芸場、池袋演芸場などの寄席で、落語や漫才などを生で楽しむことができます。しかも、寄席は年中無休で定休日というものがありませんから、面白くてためになる日本の伝統芸能を365日いつでも見られるというのは、落語ファンにとっては嬉しい限りです。でも、一口に寄席といっても一体どんな場所なのか、入ったことのない方には未知の世界なのではないでしょうか。では、百聞は一見にしかず、カラーブックスの素敵な図版の数々をご紹介いたします。それでは、本日開店「からーぶっくす寄席」のはじまりはじまり。♪ドンドン、カンカラカンカンピーヒャララ〜…(出囃子の音)

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↑新宿三丁目にある老舗の寄席「新宿末廣亭」。美しい寄席文字に埋め尽くされた入口を眺めているだけで、気分はもう江戸の熊さん、八っつあん…
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↑かつて大阪・道頓堀にあった寄席、角座(かどざ)。1984年に閉館。旧角座跡地に立ったビルにオープンしたB1角座(2004年開館)も2008年5月に閉館してしまいましたね…

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↑大阪・角座の囃子部屋。ここで演者の出ばやし(出番のときのテーマソング)を奏でている。婆さんのファッションは、どうみても普段着。ここが大衆演芸場の良いところ
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↑言わずと知れたトリオ漫談の「東京ボーイズ」。こうした漫才や漫談など落語以外の出し物を、寄席では「色物」と呼んでいる。それにしても、お三方のまだ若いこと! つい最近ですが、右端のリーダーはお亡くなりになりました。合掌。♪天気が良ければ晴れだろう、天気が悪けりゃ雨だろう…
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↑寄席の入口を飾る出演者名の文字は、すべて手書きの「寄席文字」と呼ばれる特殊な書体で書かれている。写真のお方は、この寄席文字を確立された元落語家にして橘流寄席文字家元・橘右近師匠


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↑そんな右近師匠の寄席文字に魅せられて、「レタリング」の手法で真似て書いた、筆者作の落語会ポスター。親しくさせていただいている三遊亭遊史郎さんを常連だった居酒屋にお呼びして落語会をやった時の告知ポスターです。ちなみに、筆法も形もすべて邪道ゆえ、これは正式な寄席文字ではありません、念のため


いかがでしたでしょうか? 本書にはまだまだ、面白い寄席&落語&色物の大衆演芸場図版が多数掲載されていますので、是非ご覧になってみてください。残念ながら本書は絶版ですが、江戸文化を感じるには、やっぱりカラーブックスの浮世絵シリーズ。カラーブックスをお伴にして、寄席で落語を聞くってーのも、粋なもんじゃあござんせんか。カラーブックス浮世絵シリーズのご購入はコチラから←。今回は、江戸の粋を今に伝える演芸場『寄席』のご紹介でした。


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