« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »

2009年5月

2009年5月31日 (日)

《名作カラーブックス・ベストセレクション》     『クラフト入門』

Img_5920_2
カラーブックス275「クラフト入門 –暮しの中の工芸–」内田 邦夫 著(昭和48年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第41回目も、入手困難でハイセンスな名作カラーブックスをご紹介する「名作カラーブックス・ベストセレクション」の第二回をお送りします。今回は生活の中に潤いを与える一冊『クラフト入門 –暮しの中の工芸–』です。

著者の内田邦夫氏は東京芸大を卒業後、日本のクラフト(工芸)運動のパイオニアとして活動。多彩な技法を持ち、海外クラフト展での受賞を通して日本クラフトの優秀さを欧米に紹介した功績は大きく、まさに日本クラフト界の重鎮といったお方なのです。後に内田クラフト研究所を設立、量産と価格の適正を意識した工芸を追求し、1994年に亡くなられました。

本書は、世界のクラフトを各国別に紹介した、世界のクラフト豆事典とも言える一冊。近年、日本で評価の高い北欧のクラフト作品も多数掲載されています。↑上の表紙は、日本でも人気の高いスウェーデンを代表するクラフト作家、スティグ・リンドバーグ(リンドベリ)とリサ・ラーソンによる、花挿と鳥。前者リンドベリは、日本の西武百貨店の包装紙をデザインしていたことでも知られています(後述)。ラーソンの「鳥」なんて、ここまで省略の美を追求した造形を今だかつて見たことがありません。今も高い評価を受けている理由がわかる二大巨匠の作品を贅沢に使った表紙からも、中身への期待は高まるというものです。それでは、例によって素晴らしいカラー図版の数々をご紹介してまいりましょう。世界の美しいクラフト作品を存分にお楽しみください。

Img_5918
↑イギリスの陶製コーヒーセット、量産のもの。京都、二葉家具ショールーム。整然と並んだ食器セットもさることながら、原色の照明の笠も素晴らしい

Img_5923
↑デンマークの小皿。ろくろでひき上げたものを柔らかい内に変形したもの。器もいいけど、下に敷いてあるレースのテーブルクロスもいいねぇ(古今亭志ん朝風に)

Img_5931

↑同じくデンマークの陶製鍋敷台。「ぜいたくのようだが、テーブルのアクセサリーとしてよい」。なんとなくオシャレなCDジャケット(CTiレーベル系)が並べてあるようにも見えるのは錯覚か…

Img_5935
↑同デンマーク製の鍋敷台(金工バージョン)。「※」ではありません

Img_5941
↑スウェーデンの陶芸家、リサ・ラーソンの置物各種(表紙の「鳥」も)。日本でも、同氏のライオンや馬の置物がブームになりました。個人的な話で恐縮ですが、彼女の実家に右上の子どもの人形にソックリなニセモノがあります(何故か信楽焼!)

Img_5943_2
↑日本の更谷勝三作、木工製土瓶敷。あれは三葉だけど、旧三和銀行のマークみたいでかっこいい。これぞシンプルなジャパニーズ・モダニズムデザインなり

Img_5945
↑旧西ドイツの紅茶セット(プラスチック)。こちらも上と同じような四葉のクローバーをモチーフにしたようなデザイン。日本の高度成長期にも、オレンジや黄色といったドギツイ原色のプラスチック食器が台所を毒々しく彩っていましたよね…あんなにステキなデザインが普通に転がっていた時代に生まれたかったなぁ

Img_5947

↑これは番外編。我が家にある、スウェーデンのスティグ・リンドベリが1959年にデザインした西武百貨店の包装紙(現物)。こけしやふすま、急須など日本的なモチーフも沢山織り込まれているのが面白い。色違いやデザイン違いで多種類あることを確認しています。戦後間もなくの日本のメジャーシーンにおいて、はじめて北欧デザインが採用されたことを今に伝える生き証人的アイテムなり

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介した『クラフト入門』は残念ながら絶版ですが、在庫のあるカラーブックスには工芸(クラフト)関係のものがまだまだあります。『ガラス工芸』、『漆工芸』、『木彫り入門』など、意外と工芸関係のカラーブックスは今もたくさん販売中なのですね。どうぞ、この機会に工芸系カラーブックスをおもとめになってみてください。ご購入はコチラから←。ここでご紹介した以外には『陶芸入門』(残部僅少:2009年5月現在)もおススメです。今回は、手仕事のぬくもりを感じる『クラフト入門』のご紹介でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2009年5月12日 (火)

《名作カラーブックス・ベストセレクション》    『カラーABC』

Img_5891

カラーブックス108「カラーABC –暮しのための色彩案内–」稲村 耕雄 著(昭和41年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。記念すべき第40回目は、入手困難なカラーブックスをご紹介いたします。題して、「名作カラーブックス・ベストセレクション」。これから数回に渡って、貴重かつハイセンス、後世に残すべき名作カラーブックスの数々を掲載させていただきます。もちろん、文末には現在も入手可能な関連カラーブックスもご紹介いたしますので、チェックしてみてください。第一回目は、色彩の“いろは”を学ぶ一冊『カラーABC –暮しのための色彩案内–』です。

『カラーABC』著者の稲村耕雄(いなむら・やすお)氏は本書を執筆当時、東京工業大学教授(専攻:化学、色彩学)をつとめられており、すでに『色彩論』『色彩調節』『色いろは』『色彩入門』などの著書がありました。まさに色彩学のエキスパートともいえる稲村氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「カラーABC、それは文字どおり色彩についてのアルファベット。ABCからXYZまで、生活や芸術また産業に必要な「色彩学」をカラーで展開したポケット・ブック。
 美学的な考えや、あまり専門的な科学については掘り下げが不足ですが、自分の個性というよりは好きなポーズである「感覚派」で全体をつらぬいてみたつもりです。
 むずかしい術語や、ややこしい測定には縁のない若い画家やデザイナーたちと色の話をしているうちに結晶した「カラー・ブックス」なのです。
 パイプの煙をたのしみながら、ウイスキーの「オン・ザ・ロック」を味わいながら、色というこの楽しい刺激に触れてみようではありませんか。」(原文まま)

そう、本書は色彩の大家がお書きになった難しい色彩論ではなく、あくまで「感覚的」なポーズという視点で編集された、ある意味「カラー」の「カラーブックス」というノリの本なのです。それが証拠に↑の表紙をごらんください。これは一体なんでしょうか? 本文に書かれている解説は以下のようなものです。

《表紙写真》「カラーABC」の抽象芸術。Aは赤、Bは黄、Cは青の配合から色の世界の妖しい美しさが生まれる。撮影・横須賀功光

なんという観念的な表紙なのでしょう!(ビフォーアフターのナレーションで) 横須賀氏といえば、日本を代表する写真家のひとりで、これまたなんとも贅沢な表紙です。そして、この右脳的感覚あふれる表紙が本書の内容を象徴しているように見えなくもありません。それでは、例によって素晴らしい図版の数々をご紹介してまいりましょう。今回はカラーブックスの「カラー」を存分にお楽しみください。

Img_5901
↑本書のはじまりは、この扉写真から。ドイツのテクノ系ジャケットを思わせる写真に解説は一切なし。幾何学的な意匠の窓から赤い光の差し込むホテルのロビー風空間に足を組んだ男が一人…まるで白日夢のよう

Img_5897
↑フランスのデザイナー、ピエール・ゴーチエ・ドレーによるエール・フランスのロビー。「白熱電球をスポットとして使い、曇り日のような拡散光の蛍光ランプに、はっきり影がうつる発散光でアクセントをつけている。」いや、電球よりなによりこのニョキニョキ生えたサボテンが気になるんですけど…

Img_5902
↑「幾何学調と花模様のカーテン(パリ) 住居は「女の城」といわれるが、そこにマダムの個性的なセンスをみせる手近な大道具のひとつがカーテンといえよう。」左のカーテンの部屋にいたら、ちょっと落ち着かなそう。しかし、今もこれらの柄は製造され続けているのだろうか…

Img_5904
↑「現代日本女性の代表的なヘアスタイルとメークアップ。デザインは資生堂の高賀富士子女史。」現在、このような髪型のお嬢様はいらっしゃいませんが、なかなか前衛的で美しい造形美。あれ、このカラーブックス、「カラー」がテーマじゃ…

Img_5908
↑「アイレスト・ホワイト “純白ではない白”の美しいニュアンスは病院に百貨店にまた研究室で白衣革命をまきおこしている。」青バックに立つ白衣の男女の姿は、もはや女性だらけの「白い巨塔」

Img_5910_2
↑カラー写真術の一例「マヌカン(パリの百貨店 プランタン・ナシオン)」パリのウインドウは、撮影しただけで絵になりますね。上にアルファベットをチョロっと入れたら、あっという間にCDジャケの出来上がり…か

Img_5911
↑「フランスの水力発電所 色と材質の扱いがまことにすばらしい。「色彩調節」はペイントを塗るだけの仕事ではないのである。」デザインはシリル・ウバロフ、まるでクラフトワークやYMO中期のアートワークのよう

いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介した『カラーABC』は残念ながら絶版ですが、在庫のあるカラーブックスはまだまだあります。現在も販売中のカラーブックスのラインアップ一覧のリンクはこちらです、どうぞ自分なりのカラーブックスをお探しになってみてください。ご購入はコチラから←。今回は、色鮮やかな一冊『カラーABC』のご紹介でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »