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2009年6月30日 (火)

『採集と標本』

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カラーブックス501「採集と標本 –観察をとおして-」藤本 一幸 著(昭和55年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第43回目も入手困難な名作カラーブックスをご紹介する「名作カラーブックス・ベストセレクション」はちょっとお休みしますが、現在は絶版ながら面白い図版が豊富なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、夏休み前の小学生は必読の一冊『採集と標本 –観察をとおして-』です。

著者の藤本一幸氏は、本書執筆当時は兵庫県西宮市鳴尾南中学校の教頭先生でした。大学教授や著名人ではなく、とある中学校の教頭先生が書いた、というところがカラーブックスの面白いところ。その藤本氏は「はじめに」で以下のように語っております。

「雑木林を歩いていると、甘酸っぱいにおいがしてきます。クヌギなどの木から出た樹液が発酵しているのですが、そのにおいに誘われて集まる虫があります。群がる虫のなかに、カブトムシを見つけた時の感動は大変なものです。売られている虫を手にした時とは、まったくちがった喜びが体じゅうを走ります。やっぱり自然の中での出会いこそが大切なのですね。」

まったく、その通り。私も子どもの頃は、いとこ達とキャンプをして、早朝にカブトムシを採りに行ったものです。霧が立ちこめる朝4時頃にテントから出て、前日から蜜を塗っておいたクヌギの木を見に行き、そこにきていたカブトムシを見つけた時の感動は、筆舌に尽くしがたいものがあります。それは、デパートで売られている虫かご入りのカブトムシを買ってもらうこととは、もはや感動の度合いがまったく違うのです。同じような経験をしたことのある、元少年のみなさまも多いのではないでしょうか。

さて、ここではそんな少年時代に思いを馳せていただくために、名作図版の数々をご覧いただきます。あの夏の一日を思い出して、滲んだ眼球をこすりながらご覧下さい。

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↑「細い木ならゆすってみると、たくさんの虫がおちてくる」。原始的だけど、たしかに簡単な採集法ですね。しかし、このおねーさんのオーバーオールに時代を感じてしまいます。

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↑サンゴ礁での採集。カニ3種。手のひらに載せた写真を切り抜いて重ねている構図が面白い。一番上のカニは、まるで毛ガニのミニチュアみたい!

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↑植生調査の仕方。調査しようとする場所の代表的な一画を選び、方形枠を作る。このパンタロンと足の角度、幅広の襟に「フィンガー5」の名残を見た。

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↑右の文字をお読み下さい。いや、中学生のみんな植物を前にテンション低いですよ…。

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↑展翅板(てんしばん)に正しく作り上げたチョウの標本。可哀想な気もしますが、昆虫の生態系を調査するために標本が役立っていることも事実。あー渋谷の宮益坂上にあった標本道具専門店「志賀昆虫普及社」の店舗が懐かしい…。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介した『採集と標本』は、残念なことに絶版となっております。しかーし、そこは原色図鑑の保育社。こんなに素晴らしいシリーズが出ています。昆虫の名前と図版なら『名まえしらべ 林の虫』。そして、虫の小図鑑なら『ぞう木林の虫』。なんと、こちらの2冊は今回のカラーブックスの著者、藤本先生の著書なのです。そして、昆虫関連の最新刊なら『昆虫摩訶ふしぎ図鑑』も好評発売中。さすがは保育社、昆虫本はたくさんありますね! ご購入を検討されている方は←各書名をクリックしてご注文ページへお進みください。今回は、あの夏の日をもう一度『採集と標本』のご紹介でした。

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