『新しい中国』
カラーブックス260「新しい中国」菅沼 不二男、飯島 篤 著(昭和47年初版、現在絶版)
保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第48回目は、現在のようにめざましい発展を遂げる以前の中国を取り上げたカラーブックス、四千年の歴史の集大成『新しい中国』のご紹介です。
先日、かつて満州国と呼ばれていた中国東北地方にある「大連市」へ行ってまいりました。貧富の差が激しい中国の中でも、大連市は平均月収が3万円と高く(日本とは比較になりませんが…)、町中には真新しい巨大なビルディングやホテルが数多く建ち並んでいました。しかし、町中をくまなく歩いてみると、そこかしこに日本の租借地時代の建物が現存し、銀行、役所、ホテルとして現役で使用されています。
また、当時の住居や商店建築もかなり残っており、中でも圧巻だったのは旧ロシア人街の裏手の住宅街。一九〇四年に日本軍の猛攻撃にあったロシア人が逃げて「もぬけの殻」となった彼らの住宅が、100年以上経った今もそのまま何軒も残っているのです。そして、その建物に大連の貧困層の市民(中国人)が普通に暮しているのであります。大きな洋館となると、まるでアパートのように、一軒の建物に数世帯が暮している場合もありました。日本であれば重要文化財級の貴重な近代建築(都市建設を任されていた鉄道会社がドイツ人建築家を雇っていたのでドイツ風建築が多い)に、洗濯物がはためいていたり、ゴミや日用品が積み重なっていたりする姿は、現実の風景とは思えない「心地よい悪夢」という感じでありました…。近代建築好きには目の保養になること請け合いです。
閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、今から約40年近く前の中国を紹介したもので、この本の発行日は日中国交正常化の調印式が行われてから、わずか2カ月しか経っていないのです。当時の日本人にとっては、初めて見る新鮮な写真ばかりだったのではないでしょうか。日中国交正常化が実現する8年前に設立された、中国旅行専門の日中旅行社の初代社長である著者は、「はじめに」で以下のように語っております。
「今の中国を全面的に紹介するのに必要なら、写真を早急に入手することはむずかしい。(中略)また、解説や、この本の後文にも、スペースに限りがある。そんなところから、この本は、「現代中国を全面的に紹介する本」とまではいかないうらみがある。しかし、日中国交が開けた今日、一般の方々が、中国とはどんな国か、中国に行くとしたら…と軽い気持で読んでいただくのには、なにがしかの役にたつだろう、と考えている。」
当時は日中間の国交がほとんどなかったため町中で勝手に写真を撮ることもままならなかったらしく、このカラーブックスがいかに貴重な写真のオンパレードであるかがわかります。そして、そんな「閉ざされた謎の国」時代の中国の写真が面白くないはずがありません。今回は、カラーブックスの貴重な中国写真に、大連旅行の写真を一部加えた特別編でお送りいたします。
↑北京市内、天安門前の大通りを西へ向かった十字路にある「西單(シータン)」という地区。買い物に便利で、餃子やワンタンなどを食べさせる食堂もあった。中国といえば、自転車。そういえば、大連ではほとんど自転車をみかけなかったナ
↑中国・北京市内を走るバス。どこかの現場に連れて行かれるんじゃないか、てな雰囲気。しかし、当時はまだ人民帽の方がチラホラ見受けられます。テッテッテー(♪ライディーン)
↑故宮博物院の陳列品。元祖の故宮博物院は、蒋介石が台湾へ大半のお宝を持って行ったのでめぼしいものはない、と聞いていますが、あの「文化大革命」でも壊されなかった美しい芸術品の数々を見ることができるという。うっとりと眺める若者も、やはり人民帽だ
↑中国と言えば、もちろんココ。世界一巨大な人工建築物として名高い「万里の長城」。長さはなんと、北海道の稚内から鹿児島までの距離の二倍半(!)。さすが四千年の歴史。ここでもやはり人民帽に人民服姿の男性が!
↑上海第一百貨店。あくまで日常生活必需品を扱うデパートらしい。毛沢東の看板には「毛主席萬歳」と書かれている。萬歳!
↑上海、労働者の託児所。ちなみに一番左の男の子の下半身を見てはいけません
↑こちらは、私の大連旅行写真。洋服の生地を扱う「二七貿易大世界」は、その場で寸法をはかり、オーダーメイドの服を注文できるコンビニ・テーラーみたいなところ。着いたとたんに終了時間でまったく中が見れなかったのは残念!
↑大連・民主広場近くにあった、ハワイをイメージしたかのような円形喫茶。青いネオンに照らされながら、大連市内の夜は更けて…
さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました「新しい中国」は残念ながら絶版なのですが、カラーブックスシリーズの「旅路と散策」ジャンルはまだ在庫がありますので、どうぞチェックしてみて下さい。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、ニーハオシェイシェイな一冊『新しい中国』のご紹介でした。
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