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2010年6月19日 (土)

『日本の人形』

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カラーブックス49「日本の人形」山田徳兵衛 著 (昭和39年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第65回目は、「顔が命」なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、玄関で床の間で微笑む家族の一員な一冊『日本の人形』です。

ビスクドールやフランス人形など、人形といえば西洋のものを思い出しますが、本書では、書名の通りどれも日本で生まれた人形を紹介しています。最近では、日本人形を飾る家は少なくなったように思います。たしかに、年寄りじみてて古くさい、イマドキ外国人しか喜ばない、夜見ると怖い、勝手に髪の毛が伸びる…というオカルト的な偏見もあったりなかったりで、家に日本人形を飾る家は、ほとんど無くなってしまったのではないでしょうか。本書は、東京オリンピックの開催された昭和39年(1964)発行。のちに、国鉄が「ディスカバージャパン」キャンペーンを打たなければならなくなるほど、日本的なものが欧米的なものに駆逐されていく転換期だったのかもしれません。日本橋の上に高速道路が通ったのもこの時期、それは戦後日本の「壊れた美意識」の象徴だったように思います。

さて、今回のカラーブックスの著者・山田氏は、日本民具及び人形連盟理事長(当時)で、なんとあの「人形は顔が命」でお馴染み人形問屋「吉徳」社長(当時)だった方であります。その著者は「はじめに」で以下のように語っております。

「人形の書というものは、楽しみに読むやさしい本でも、研究的なむずかしい本でも、写真がなくては解決できない。顔立ちや姿態は文章ではあらわし得ないからである。さらに、本質的には色彩がわからなければ理解も鑑賞もできない。日本人形の書で写真をたくさん載せた本はかなりある。しかし、カラー写真をふんだんに用いた本は、まず見あたらない。今回、本書の編纂の依頼をうけて、わたしが非常に張り合いを感じて引き受けたのは、実はこの点にあった。しかも、寸法も価格も比較的手軽であって、多くの人びとの需要に適していることもたいへんしあわせだと思った。」

たしかに、発行当時の出版事情を考えてみれば、カラー写真をふんだんに使った書籍を出すことは難しく、巻頭と真ん中あたりに口絵カラーを数ページ入れられるのが関の山、といった感じだったのではないでしょうか。この言葉こそ、カラーブックスの特性と利点を端的に語っている見事な宣伝文だと思うのは私だけではないと思います。それでは、百聞は一見にしかず、ここで著者もこだわったという美しい人形カラー図版の数々をご紹介して参ります。じっくりとご堪能くださいませ。
「もう奇蹟は信じない。私たちはどうしても変わることはできない。私はあなたの人形ではありません。」(byイプセン『人形の家』)

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↑ジグザグミシンによる作品ABC(川崎プッペ作)
これは現代(発行当時)の日本の人形。素朴な顔、大味なアップリケ、独特の表情…なぜか子供の頃読んだ「ちいさいモモちゃん」という本のことを思い出しました。
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↑現代の人形(1)
近年、一部の昭和レトロ好き女子の間でブームとなったフランス人形やポーズ人形たち。うちにも沢山のポーズ人形があります。手前の赤ちゃん人形は「ナルちゃん」というニックネームが付けられたビニール人形。ということは…この人形は「皇太子さま」がモデルってこと?!
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↑タイトル「霧」細谷八重子作
「裸に近い人形だが、ポーズはしっかりとしていて美しい。」この程度の服装でも、当時としてはかなり艶かしい人形だったんだろーなーと想像。
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↑等身大人形 道成寺(部分) 平田陽光作
え!写真じゃないの?!と驚きを隠せないスーパーリアル人形。しかし、こんなにリアルな道成寺人形が家にあったら…上から鐘が落ちてきて、白蛇がとぐろ巻いて火がついてメラメラメラ〜。
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↑風俗人形 花嫁
「風俗人形は衣裳人形・おやま人形とも呼ばれ、外人に最も歓迎される人形である。この写真、写りがちょっと怖いかも。「あなた、私と結婚してくれるって言ったのに…」角隠しから本物の角が出て、顔が般若に…?!

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↑これは番外編。私の彼女が長年に渡って収集してきたポーズ人形の中から一部をご紹介。ギターを持つもの、着物姿にリボン、サイケなヒッピースタイル、スパンコールの人魚風コスチューム、おすわりポーズのものまで。お祝い事のある時などに、女の子のいる家へポーズ人形を贈るという習慣が昭和40年代まであったようです。機会がありましたら、この5人以外のコレクションもご紹介いたします。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『日本の人形』は残念なことに絶版ですが、前にもご紹介した『日本の郷土玩具』は発売中ですので是非ごらんください。こちらも日本の伝統的な人形や玩具が満載です。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、浅草橋(東京)や松屋町(大阪)な一冊『日本の人形』のご紹介でした。

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