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2011年2月28日 (月)

『北陸能登 −歴史と文学の旅−』

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カラーブックス173「北陸能登」駒 敏郎 著(昭和44年初版、絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第82回目は、雪が似合い水が綺麗で魚が美味しい地域のカラーブックスをご紹介いたします。今回は、太鼓の音がドンドンカカカッドンカカカッ(御陣乗太鼓)な一冊『北陸能登』です。

私は能登という地域と深いつながりがあります。といいますのも、私のおじいちゃんは石川県の能登町(旧柳田村)出身で、今も代々のお墓があるからです。わが田端家は能登から東京に出てきたわけで、今は亡きおじいちゃんおよびご先祖様のお墓参りくらいは行かねばと、3年前に小学生のとき一度行ったきりだったお墓参りに行ってまいりました。旧柳田村は良い意味で何もないところ。竹やぶに囲まれた静かな菩提寺は、夏なのにウグイスが狂い鳴き、そよ風が笹の葉をゆらす音の他はなにも聞こえず、ただただ静寂に包まれていました。まさに、ロックバンド「はっぴいえんど」の「夏なんです」の歌詞そのものの風景で、この土地で田端家は代々暮してきたのかと感慨にふけってしまいました。

閑話休題。今回ご紹介いたします『北陸能登』は、福井、石川、富山の各県をカラー写真で紹介。点在する文学碑やその作品解説も加えた、サブタイトル通り、歴史と文学の旅案内です。魚介類や日本酒の美味しいことでも知られ、平家物語や歌舞伎の舞台になった所も多く、海沿いには景勝地も多いことから、毎年多くの観光客が訪れている人気のエリアです。このカラーブックスが発行されたのは1969年、大阪万博の前年ですから、まだまだ日本の旧き佳き時代の面影を残していた頃の北陸が満載です。著者は放送劇作家で『京都文学散歩』の著書もある駒敏郎氏。駒氏は「はじめに」で以下のように語っております。

「北陸・能登—この文字に、湯けむりがただよい、海鳴りがきこえる。この土地の歴史は、国のはじまりとともに古く、多くの文学作品が、その風土、人情の美しさを多彩に描き出している。何よりの魅力は、観光地として、まだまだ開発しつくされていないことだ。旅をする者が、自分だけであってもよい。心の底にたえず温めつづけている土地、そういう土地を持つことが、人生をゆたかにするのだ。」

たしかに、北陸や能登には面白くて風情のある観光地がたくさんあります。実は、つい先日に北陸・能登を3日ほど旅したのですが、今回ご紹介するカラーブックスで取り上げている場所にもいくつか足を運びました。ほとんど変わらない場所もあれば、すっかり姿を変えてしまったところもあります。昭和44年当時の写真と、平成23年現在の写真を見比べてみるという試みも面白いのではないでしょうか。それでは百聞は一見にしかず、昭和時代と平成の御代の北陸・能登の定点観測カラー写真をじっくりご堪能ください。
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↑東尋坊(とうじんぼう)・福井県
「空から見ると、輝石安山岩の柱状節理が屏風のように、海へ幾筋ものびている。たしかに東尋坊は奇勝である。」
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暴れ者だったお坊さん「東尋坊」を突き落としたことからその名が付いた景勝地。自殺の名所として有名な場所だけど、あまり暗さを感じませんでした。
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近くにあった昭和な空気プンプンの「東尋坊タワー」は閑古鳥が鳴いていたけど、展望台には縁結びで最近有名になった神様の像があるとのこと。
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↑那谷寺(なたでら)・石川県
「広い境内に伽藍が散在しているせいか、どこにも石の白っぽい光があふれている。北陸の山寺のゆったりとした、どこかおおまかなたたずまいには、京都や奈良では味わえぬものがある。」
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現在の建物は少し木造部分の色が焼けたが、それでも40年前からほとんど変わらない。この境内は「わびさびのあるタイガーバームガーデン」ともいうべき、起伏と奇岩による「奇観」が美しい。
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↑気多大社(けたたいしゃ)・石川県
「原始林の社叢を背後に古式の社殿が森厳である。桃山建築の神門の軒反りが、能登の空に優雅な曲線を描いていた。」
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大国主命をまつる気多大社は、縁結びのご利益があることでも知られ、境内にはたくさんの縁結び用のハート柄絵馬が飾られていた。写真の女性たちも恋のお願いに来たのかな?
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↑山代温泉(やましろおんせん)・石川県
「昔、山代の湯女は〈太鼓の胴〉と呼ばれたそうだが、農村の虫追いから起こった太鼓の曲打ちがこの温泉にも伝えられている。」高島忠夫的な旦那と奥様、坊ちゃんはこんな時間にどちらまで?
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おっと、これは反則。山代温泉に行ってない私が上げたのは、片山津温泉郷「ホテル・アローレ」内の日本料理屋「竹翠」で出た、加賀の郷土料理「治部煮(じぶに)」の写真。とろみがついたタレが絶妙な甘さとやわらかさで…たまりません。竹翠さん、ごちそうさまでした。
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↑輪島朝市(わじまあさいち)・石川県
「輪島の町の本町通りには、毎朝、朝市が立つ。近郊の、主として漁師や農家のおかみさんたちが自家の生産品を抱えて集まってくるのだ。四・八の日は、市日といって特に賑やかだ。」
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2007年夏の朝市。この年におきた能登半島地震の影響で、地面や建物はだいぶ新しくなった印象。11歳のときに行った朝市はもっと古かったような記憶が…。またたび酒なるものが売ってて気になったが、猫にあげるわけにもいかず断念。買えば良かったなー。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『北陸能登』は残念なことに絶版ですが、旅路と散策の本シリーズはまだ在庫を残していますので、この機会に是非お買い求めくださいませ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、水がうまいところはお酒もうまい一冊『北陸能登』のご紹介でした。

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