« 『野外救急法』 | トップページ | 『結婚式のマナー』 »

2011年4月16日 (土)

『抽象絵画』

Img_8783
カラーブックス83「抽象絵画 −鑑賞の手引き−」乾 由明 著(昭和40年初版、絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第85回目は、自由な、まったくもって自由なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、芸術的で爆発している一冊『抽象絵画』です。

「抽象絵画」…こんなカラーブックスがあったということ自体ほとんど知られていないと思いますが、なんと昭和40(1965)年という、東京オリンピックの翌年という時代に発行されていたのです。この本は表紙からして大胆です、原色の絵の具が叩き付けられたような絵は、抽象絵画を表現するのにうってつけですし、まずインパクトがあります。そして、本文の中身はというと、国内外の抽象絵画家の作品をこれでもか!というくらいにたくさん紹介しています。

抽象画を見るとき、変にかまえてはいけません。また、知ったかぶりをして腕を組んで難しそうな表情で「なるほど」などと、もっともらしいことをつぶやくのも違います。もう、自由で良いのです。これらの絵が、絵なのかさえ判断できないほど自由なように。「あ、この絵、この間こぼした醤油みたいだ」とか「デパートの包装紙にこんなのがあったな」とか「私もバケツひっくり返して子どもの落書きみたいに描いてみたいな」とか、見た人それぞれが感じることで良いのです。ここに現代美術史だとか、作家の作品傾向とか、絵画表現の変遷だとかいうニワカ知識はどーでもいーのです。その作品を楽しみ、身をゆだね、そして子どもの頃の目で素直に作品に触れてください。著者は京都大学助教授(当時)の乾 由明氏。いつもは「はじめに」で何を語っているのか書くところですが、もうそんなことさえどうでも良いほど、ピュアな目線でこれらの作品に触れて下さい、感じてください。知識なんぞ、美術評論家や美術館が学芸員におまかせして、抽象絵画の面白さ奇妙さ自由さを楽しみましょう!

Img_8786
↑オーギュスト・エルバン「雨」(1956)
なるほど、雨か、ふむふむ…さっぱり分からん!! いーんです、それでいーんです。この作品は、あなたに「なんでやねん!」と突っ込まれるのを55年もの間、ひたすら待っていたのです。
Img_8787
↑ホアン・ミロ「アルルカンの謝肉祭」(1924〜1925)
おやおや、あっちへいったり、こっちへ伸びたり、クネクネぐにゃぐにゃ。私たちは、いつの間にか楽しんで絵を描いたり見たりする余裕を無くしてしまったのです。みてください、こんなに楽しそうな子どもの落書きのような作品を。しかし、こんな作品に2年もかけてたのか、ミロさん時間かかりすぎだよ! なんて飲み屋のおっさんのようなツッコミを入れたくなるのも抽象絵画の面白いところ。
Img_8790
↑アルベルト・ブーリ「布ぶくろ B.53」
「宝の地図はここにある、この灰色の池の真ん中に、赤い色をした小さな小島があるから、そこへ渡れ。そこでお前は、金銀財宝を見つけることができるだろう。」老人は、そういって布ぶくろをつなぎ合わせて作った地図を少年に手渡しました…。

Img_8794
↑ヴィクトール・ヴァザルリ「エリダンⅡ」(1957)
タイル屋さん、風呂場のタイル貼っていってくれたのはいいんだけど、なんで途中で曲がってるのかしら。酔っぱらって仕事してたのかしらねえ。ま、これはこれで面白いからいいんだけど。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『抽象絵画』は残念なことに絶版ですが、これを機に、抽象絵画にツッコミを入れてみる楽しみを知っていただければと思います。また、他の芸術入門の本シリーズはまだ在庫を残していますので、この機会に是非お買い求めくださいませ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、童心に帰ったつもりで絵の具をぶちまけたくなる『抽象絵画』のご紹介でした。

|

« 『野外救急法』 | トップページ | 『結婚式のマナー』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222326/51399724

この記事へのトラックバック一覧です: 『抽象絵画』:

» . [コンテンポラリーフォトグラフ]
コンテンポラリーフォトグラフ © fukuda 保育社のカラーブックス・シリーズの1冊、 舞烈 尊著「ライカX1入門」。 日本製のカメラと比べて扱いにくいとされるライカX1を使いこなすための入門書。 ライカX1で素早く撮影するための設定や滑らない握り方、必携のアクセサリーなど 初心者にもわかりやすく解説されている好著。 作例はやや古臭い。 架空の古書のため既に絶版。... [続きを読む]

受信: 2011年5月 5日 (木) 21時23分

« 『野外救急法』 | トップページ | 『結婚式のマナー』 »