« 『くだもの』 | トップページ | 『新しい大阪』 »

2011年9月22日 (木)

『能』

Dscn0009
カラーブックス104「能 鑑賞のために」丸岡 大二、吉越立雄 著(昭和41年初版、絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第95回目は、とても厳かな雰囲気の中で読みたくなるカラーブックスをご紹介いたします。今回は、日本が世界に誇る伝統芸能をコンパクトにまとめた一冊、『能』です。

私は、能を鑑賞したことが一度だけあります。それは小学生のときの校外授業の一環で、「日本の伝統芸能である能を鑑賞する」というものでした。そう、たった一度だけです。日本人として生まれていながら、能を見たのは小学校で強制的に見せられた、この一度だけなのです。また、「文楽」「歌舞伎」にいたっては一度も見に行ったことがありません。日本人はよく、自国の文化の価値をあまり理解していない、と言われることがありますが、まさに私もそうした日本人の一人なのです…。以前このブログで紹介した「座禅」も、外国で高く評価されていると聞いたことがありますし、能や歌舞伎などを紹介した洋書もたくさん出ています。カラーブックスの英字版にも、これら日本の伝統芸能を取り上げたものがたくさん出版されています。日本文化を最も理解している人は、皮肉にも外国の方が多いのかもしれません。

閑話休題。今回ご紹介するのは、日本の伝統芸能「能」を鑑賞するために編集されたカラーブックスです。本文では、能の演目から能面の種類まで、能楽に関する解説を掲載しています。著者は、能楽書林勤務(当時)で、戦前は「能楽タイムズ」編集者であった丸岡大二氏。著者は「はじめに」で以下のように語っております。

「外国から帰った人が、向こうで非常に熱心に質問されたにもかかわらず、自分自身能をみたこともなく、何の知識もないので恥をかいたということは、たびたび耳にする。しかし外国人に質問されるまでもなく、われわれ日本人が、日本の文化財である能についてまったく知らないとすれば、こまったことだと思う。百聞一見にしかずで、常連にならなくてもいいからぜひ能をみてほしいと思う。」

たしかに、耳の痛い話です…。私たち日本人は、もっと日本のことを知らなければならないのかもしれません。それには、過去の文化をもう一度改めてじっくり見直す必要がありそうです。「能」も、そうした日本の伝統文化の一つなのではないでしょうか。それでは、個性的な能面の数々と、緊張感の漂う能舞台のはりつめた空気感をたっぷりとご堪能ください。
Dscn0012
↑「高砂」後シテ 前後二場から成る能では、主人公を前シテ、後シテと呼んで分ける。ツヅミの音に合わせて舞いながら一言「そろそろ髪切ろ…」
Dscn0014
↑「羽衣」 世界各地に伝わる羽衣伝説のワンシーン。天女は羽衣をひるがえしながら、高く高く天上界へと去ってゆく。「あれ、センスの裏にメッセージが…何ですって!」
Dscn0017
↑「黒塚」後シテ のぞいてくれるな、と旅人に言い残して薪をとりに出た老婆、こっそりのぞいてしまうと女は鬼形となって襲いかかる。「私の恋の日記、勝手に見ーたーなー!」
Dscn0022
↑「弱法師(よろぼし)」 天王寺の前をさまよい歩く盲目の物乞いのこと。心眼を開けば美しい淡路、須磨、明石から紀伊の海まですべて見える。「おお、見える見える。私の個性的な髪型が全部見える。そろそろ髪切ろ…」
Dscn0026
↑「隅田川」 舟の中で渡し守の語る愛児の最後の様子に聞き入る母。「…ところで、なんで私だけ能面付けなきゃなんないの?」

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『能』は残念ながら絶版ですが、「狂言」のカラーブックスは在庫がございますので是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、能面を見ていると女優の小雪を思い出してしまう『能』のご紹介でした。

|

« 『くだもの』 | トップページ | 『新しい大阪』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222326/52796933

この記事へのトラックバック一覧です: 『能』:

« 『くだもの』 | トップページ | 『新しい大阪』 »