« 『創作おりがみ』 | トップページ | 『手相入門』 »

2011年10月31日 (月)

『ロンドン』

Dscn0141
カラーブックス69「ロンドン カラーガイド」岡本成蹊 著(昭和40年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第98回目は、小雨の向こうに街が煙るようなカラーブックスをご紹介いたします。今回は、まるで霧が立ちこめているような一冊、『ロンドン』です。

昭和30年代にロンドンへ旅行する…、それは日本人にとってトンデモないことだったのではないでしょうか。昭和36年のウイスキー懸賞CM「トリスを飲んでハワイへ行こう!」は有名ですが、1ドル360円だった時代の海外旅行は、日本人にとっては夢のまた夢。ましてやヨーロッパ旅行なんぞ、一生に一度行けるか行けないかという感覚だったに違いありません。私が高校生のとき、毎晩聞いていたFMラジオ番組『ジェットストリーム』(ナレーション:城達也)は、まさに海外旅行が高嶺の花だった時代の空気が漂うステキな番組でした。この番組では、よくJALのロンドン旅行ツアーの宣伝が流れていたのですが、「ロンドン○日間コースが、ウン十ウン万ウン千円からです」という城達也さんの低音で語られる、とても手が出ない旅行代金にいつも溜息が出たものです。まぁ、高校生ですから行けなくて当たり前ですが…。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな昭和30年代に半年間もロンドンへ滞在したという著者が、豊富な写真とともにロンドンの街を隅から隅まで紹介した、まさに「ガイド」と呼ぶにふさわしい一冊です。著者は、法政大学文学部教授・文学博士であった、岡本成蹊(せいけい)氏。岡本氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「わたしのロンドン生活は、わずか半年にすぎなかった。この短い期間で、歴史と共に生きているあの大都会を見きわめることは、とうてい無理である。しかし、わたしはわたしなりにこの都会の生活の中にはいり込み、わたしなりに理解したと思っている。」

たしかに、たとえ短い期間の滞在だとしても、半年もいれば愛着も沸き、その街のことがそれなりにわかってくるというものです。ましてや、日本人のほとんどが海外旅行にいったことのない時代となれば、「なんでも見てやろう」と朝から晩まで街をウロウロしていたに違いありません…ああ、うらやましい。霧と小雨のロンドンで二階建てバスに乗って、パブに寄ってジンをあおったら、アビーロードの横断歩道を手広げて渡り、「バカな歩きかた省」の役人よろしく大股歩きで地下鉄に乗って家に帰りたい(意味不明)。それでは、Don’t let me downでGet Backなロンドンの街を、色鮮やかなカラー写真でご堪能ください。
Dscn0143
↑ショウ・ウィンドウのぞき
「オックスフォード・ストリートにはデパートや大きな商店が並んでいる。これはノエルという店」いやいや、さすがはロンドン今見ても充分通用するようなセンスを感じるウィンドウディスプレイ。あ、マネキンの一人が動い…
Dscn0145
↑ウェストミンスター・アベイの礼拝堂
「この寺院は過去数世紀にわたって戴冠式の行われてきた場であり、また政治家、文学者、学者、軍人ら国家に功労のあった人の埋葬されているところでもある」歴史ある素晴らしい建築を前に、カメラも思わずピンボケた? いや、トイカメラ的な情緒と臨場感は伝わります
Dscn0148
↑チャールズ・ディケンズの作品に登場する人物の切抜絵
突然、何の説明もなく切り絵が掲載されています(しかもモノクロ)。著者は、チャールズ・ディケンズ(代表作『クリスマス・キャロル』など)の家を訪れ、書斎でたたずんで物思いにふけっていたほどのファンだそうですヨ
Dscn0150
↑繁華街を走る二階建てバス(シャフツベリイ・アビニュ)
ロンドンの二階建てバスは、この街並だからこそ絵になる。私が子供の頃は、上野〜浅草間を二階建てバス(もちろん赤色)が走っていたけど、日本の街並には似合いませんナ
Dscn0152
↑地下鉄の壁の駅表示(ホーバン駅)
ポスターも駅看板も様になってますね、さすがはロンドンの地下鉄。この写真だけでCDのジャケになりそう。なんだか英国の現代美術作家、故リチャード・ハミルトンの作品を思わせる色合い…


さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『ロンドン』は絶版ですが、旅路と散策もののカラーブックスはまだ在庫がございますので是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、愉快で楽しい気分になった(?)『ロンドン』のご紹介でした。

|

« 『創作おりがみ』 | トップページ | 『手相入門』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222326/53132601

この記事へのトラックバック一覧です: 『ロンドン』:

« 『創作おりがみ』 | トップページ | 『手相入門』 »