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2011年12月17日 (土)

『すすきののママ101人』

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カラーブックス779「すすきののママ101人」木村久里 著(平成元年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第101回目は、101回目にふさわしいカラーブックスをご紹介いたします。今回は、水割りの匂いと柿ピーとカラオケが似合う一冊、『すすきののママ101人』です。

北海道・札幌市「すすきの」…、この言葉を聞いて頭に思い浮かぶのは、猥雑だけど人間味のある夜の歓楽街というイメージです。歓楽街には、人の欲望、喜怒哀楽、そしてさまざまな人生が、まるでネオンサインのように点在し、入り交じり、重なり合っています。

私はまだ「すすきの」へは行ったことがないのですが、歓楽街には大変興味をもっていて、中でもひょんなことから縁ができた群馬県高崎市の中心部にある歓楽街「柳川町」は、以前から何度も足をはこんだり資料を探したりしています。この街が面白いのは、狭いながらも江戸時代から続く歓楽街の流れや条件が、小さなエリアの中にコンパクトにまとまっていることです。まず高崎城というお城の跡があり、その近くの遊郭跡にできた歓楽街が「柳川町」なのですが、このお城にはじまって、遊郭(のちに赤線、風俗)、料亭、待合旅館、映画館、飲屋街、寿司屋、蕎麦屋、銭湯、商店街…こういった一地方都市の典型的な歓楽街の要素が、ここには全て揃っていました。ここまでバランス良く残っている街も珍しいので、少しずつではありますが、この街を記録する作業を数年前からはじめています。いずれ、この記録・研究を本にまとめたいと思っています。

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↑上が昼の群馬県高崎市「柳川町」
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↑下は夜の様子。今日もカラオケの声がコダマする夜の街は終わらない…

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、北海道一の歓楽街「すすきの」のスナックや居酒屋、バーなどで働くママさんたち101人を紹介した、超ローカルにして現代民俗学的にも貴重な一冊です。ママさんたちそれぞれの趣味や好み、個人情報(笑)も盛りだくさんに掲載されています。著者は、ライター、コーディネーター、リサーチウーマンなどさまざまな肩書きを持つ“アラカルター”木村久里氏。木村氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「私はススキノが気に入っている。ススキノに住んで約8年。この街には、古さと新しさ、情と金、もろさとしたたかさ……、裏と表が微妙に入り交じり、まさに人生の縮図を見る思いがする。家柄も、財産も、地位も、学歴も一切関係ない。自分の魅力と実力で、サクセスできるおもしろさもある。そんな中で、やさしくもたくましく生きるママさん達を紹介したいと思った。」

たしかに、大衆的なお店のママさんには魅力的な方がたくさんいらっしゃいます。とりわけ、スナックと呼ばれているお店は、日本人に最も愛されている大衆飲み屋ではないでしょうか。全国のスナックを記録している編集者・写真家の都築響一さんも何かの雑誌で書いていましたが、日本で一番多い飲食店は、チェーン居酒屋でもおしゃれなダイニングバーでもなく、カラオケを置いた水割りの香りがするスナックなのです。そんなスナックを中心に、居酒屋、郷土料理店、クラブ、ゲイバーまで、ススキノの夜で元気に働くママさんたちを記録した本書は、個性的なカラーポートレイトが盛りだくさんな一冊です。それでは、中年カップルのデュエット曲をBGMに、ポッキーと乾きものをつまみに角瓶の水割りをかたむけながらごらんください。♪絵もない〜花もない〜…
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↑居酒屋 憩(いこい)阿妻キミ 
「“お父さん”との夫婦ゲンカも名物のひとつ」好きな有名人に、伊武雅刀をあげてるのがイイですネ。昭和39年開店のこのお店、まだあるのでしょうか。
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↑季節料理 寓(ぐう)・千賀(ちが) 小斉千賀子
「“寓”はお客さんの仮の宿になればという気持ちをこめて店名につけている。」どこか島倉千代子を思わせるママさん、将来の夢は「南の国の老人ホームに入ること」トカ。人生いろいろですネ!
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↑BAR田むら 田村幸子
「物事にこだわらない性格と大きな口がチャームポイント」どこかイチロー選手を思わせる顔と、バブル時代を思い出させる肩パット入りスーツがナマナマしいママさん、今もお元気ですかー? 嫌いな有名人は「片岡鶴太郎/浅野ゆう子」なのに、本人のファッションは超ダブル浅野!
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↑ジャズバー アフターグロウ 浜田秀子
「チャームポイントは「すべてにおいて純粋なこと」」アフターグロウ…まさに店名を擬人化したかのようなママさん。なんか分からないけど、なんかアフターグロウな佇まい。アフターグロウの意味、知らないけど。「言われて嬉しい言葉orくどかれたい言葉」は、「いつも言われすぎてわからない!?」とのこと。
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↑ゲイバー ロイヤルコットンクラブ 織戸誠
「剣道3段、柔道初段、「男っぽい体のわりには女っぽいのよ」とママ」言われたくない言葉は、「つまんない、ママブスね」。このポーズとメガネとお花がステキよネ!?

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『すすきののママ101人』は絶版ですが、「洋酒入門」や「カクテル入門」などの料理・味のカラーブックスはまだ在庫がございますので是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、セサミクラッカーとアーモンドの乾きものが急に食べたくなった『すすきののママ101人』のご紹介でした。

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