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2012年4月21日 (土)

『奈良』

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カラーブックス15「奈良 −カラーガイド−」青山 茂 著(昭和37年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第109回目は、いにしえの刻(とき)を感じるカラーブックスをご紹介いたします。今回は、街中が鹿と寺だらけな一冊、『奈良』です。

私が初めて奈良を訪れたのは、中学校の修学旅行の時でした。法隆寺、薬師寺、東大寺などを回ったのですが、宿泊は京都だったので滞在時間は非常に短いものでした。そんな短い滞在時間の中で印象に残ったできごとがありました。修学旅行の時には同行するカメラマン(近くの写真館の人であることが多い)が旅の思い出になる写真を撮ってくれることは皆さんご存知だと思いますが、当時、学年の中でもイケてるグループの男子が植え込みの前でしゃがんで撮った写真がありました(たぶん、法隆寺の境内でした)。ヤンキー漫画の流行っていた時代だったこともあり、しかめっ面にウンコ座りの彼らは、カメラに向かって最高のメンチを切っていたわけですが、修学旅行が終わって校内に販売されているその写真を見つけた私は、思わず吹き出してしまいました。彼らの上がり込んでいた植え込みに1本の立て看板があったのですが、そこには「これは古墳です、のぼらないでください」とあったのです。こんなさりげない単なる植え込みでさえやっぱり文化財…もう街中に文化財だらけ、さすが古都・奈良だと感心しました。当時イケてないグループだった私は、もちろんそこに写っていなかったのですが、そのあまりに滑稽で古都らしい写真を購入したのでありました…。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな文化財そのものが街になった奈良をカラー写真で紹介した、奈良ガイド本的な一冊です。著者は、当時毎日新聞奈良支局で古美術文化関係の取材記者をしていた青山茂氏。青山氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「もの心がついた頃から奈良に住みつくことになったので、奈良はむしろ第一の故郷といえる。その奈良が私をとらえた最初は四国の高校に在学した頃だった。万葉集の講義で大和の歌が出るたびに、わけもなく涙が出て仕方なかった。」

たしかに、ふるさとは遠くにありておもうもの、というように、故郷を離れると帰りたくなるものなのかもしれません。東京生まれの私は、故郷というものを知らないのでいつも羨ましく思います。それでは、鹿と寺に囲まれた郷(さと)、奈良の雰囲気を伝えるカラーブックスで、昭和37年当時のカラー写真による奈良めぐりの旅をご堪能ください。
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↑南大門の仁王・阿形(あぎょう)の金剛力士像
「門の正面左右に向かい合って金剛、密迹の仁王が立っている。鎌倉時代の名仏師運慶と快慶が作ったもので力感あふれる名作。」つい最近訪れたときも、まったく同じような雰囲気で鎮座しておりました、巨大わらじと素朴な姉弟はいなかったけど…。
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↑鹿のシロちゃん
「奈良公園にはいま八百頭余のシカがいる。(略)そのシカの中でも、特に人目をひき、珍しがられ、かわいがられるのがシロちゃんである。ちょうど英国女王の戴冠式の翌年だけに、頭のてっぺんに冠をいただいたような白い毛の生えたバンビが生れ一躍スターになったのである。」奈良といえば鹿、シロちゃんの冠は代々受け継がれているのだろうか…そういや見かけなかったなぁ。

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↑仏頭石
「若草山の横から春日奥山に通じるドライブウェーのすぐ横の木立の中にあるこの石仏、コケシのような変った姿をしている。高さ1m。」しかし、ちょっとした道端にこんな仏頭が普通にあるところが、さすが奈良。室町時代中期のものだそうです、やっぱり奈良はいい郷です。
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↑本尊十一面観音(法華寺)
「光明皇后をモデルに印度の仏師が作ったという白檀の丸彫りの像。」たしかに顔つきがなんとなく天竺(印度)寄りな気がします。胸のところの年輪がうまく模様になってていい感じ。あれ、上に小さな仏像が一個だけ…。
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↑薬師寺本尊薬師如来 本尊台座の異邦人
「本尊の台座のすぐれたディザインと文化史的な価値もあまりに有名である上框(かまち)の葡萄唐草はギリシア、ペルシア系」たしかに異国情緒あふれるディザイン…。シルクロードから伝わったことを如実に物語る文化財です。サンシャインにある古代オリエント博物館に展示してそうなメソポタミアンなテイストが好き。
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↑信号待ちをする奈良公園のシカ
これは私が最近いった奈良での一コマ。ちゃんと赤信号を待つ鹿が健気で素朴。ああ、奈良に住みたい…。
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↑奈良の大仏(東大寺)
修学旅行以来のご対面。まったく変わらず、大仏殿に鎮座してました。ホコリだらけだったけど、ちゃんとスス払いしてるのかな??
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↑奈良ホテル外観
東京駅や日銀などの設計者でおなじみの辰野金吾先生が設計した、明治時代の名作「奈良ホテル」。洋風でありながら和風のデザインが随所に見られる、折衷クラシックホテルの代表格です。奈良ならではの外観…あれ、シャレになってる?

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『奈良』は絶版ですが、旅路と散策のカラーブックスはまだ在庫がございますので是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、せんとくんは奈良で結構見かけて馴染んでたような気がした『奈良』のご紹介でした。

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