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2012年7月31日 (火)

『スポーツ切手』

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カラーブックス39「スポーツ切手 −陸上競技−」島 三郎 著(昭和38年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第116回目は、レディー…ゴー!パーン!なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、輪、輪、輪、輪が五つな一冊、『スポーツ切手』です。

この原稿を書いている2012年7月30日は、ロンドン・オリンピックが開幕してから3日目、今回も日本人選手のメダル獲得に期待が寄せられています…なーんて、よくありがちな「がんばれ日本!」的な記事を書くことが目的ではない当ブログ。オリンピックが盛り上がっていようがいなかろうが、誰がメダル何個獲ろうが、知ったことじゃありません! 面白い、だけど知られていないカラーブックスを、今回もいつも通りご紹介いたします。

今から4年前、ピエブックスというデザイン系の出版社より発売された『スタンプツアー イン ザ ワールド』という、各国のデザイン性に優れた切手で視覚的に世界一周を疑似体験する、切手版「イッツ ア スモールワールド」ともいうべき単行本の原稿を担当いたしました。美しい切手を地域別、国別に分類して、国の紹介や切手の特徴などを短くまとめた本ですが、切手好きならずとも、グラフィックデザインの参考書、イラストブックとしても、なかなか見応えのある本です。この仕事をやって気づいたのは、切手のデザインには各国のお国柄が色濃く反映されているということ。たとえば、中国や旧ソ連といった共産圏の切手は、まるでプロレタリアのポスターを思わせる絵柄がありますし、北欧の切手は家具や建築同様に洗練されたデザインのものが多いようです。アジア圏も絵柄やモチーフに特徴があり、植物や装飾などがオリエンタリズム(東洋趣味)を感じさせてくれます。そう、切手こそ世界各国のデザインの意識の高さや傾向を確認できる「指標」なのではないでしょうか。切手を見ればその国がわかる、たかが切手、されど切手、小さな小さな印刷物は決してあなどれないのです。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、東京オリンピックが開催される前年に刊行された、陸上競技の絵柄を使った世界各国の切手を集め、さらに各陸上競技の解説まで載せている「小さな紙の祭典」的な一冊です。著者は、日本陸上競技連盟参与にして、スポーツ切手研究会理事という肩書きを持つ島三郎氏。島氏は、はしがきで以下のように語っております。

「いよいよ待望の第十八回(東京)オリンピック大会が近づいて来ました。アジアで初めて開催されるこのオリンピック大会を成功裡に終わらせたいのは、もとより私たちの心から念願するところですが、そのオリンピック大会で、最も人気があり、大会の中心となるものが陸上競技であることは、いまさら申すまでもありません。一方、世界各国で、ずいぶん数多く発行されているスポーツ切手の中で、最も人気があり、中心となるものは、これまた陸上競技の切手です。そこで、陸上競技と陸上競技の切手と、双方をとりあげて一冊にまとめたのが、この本です。」

たしかに、オリンピックでは、マラソンをはじめ、棒高跳び、砲丸投げ、槍投げ、100m走など、陸上競技には最も人気があつまります。しかし、いくら切手が「デザインの見本市」のようなものだとはいえ、同じテーマで同じような絵柄になりがちな「陸上競技」しばりでデザインの個性を出すのは至難の業。まさに各国のデザイナーの腕の見せどころといったところでしょうか。競技の切手、それは、もうひとつの五輪「デザイン・オリンピック」と言えるのかもしれません。それでは、昭和38年当時の世界で、それまでどのような美しい切手が発行されてきたのか、陸上競技の種目のみという限られたお題を見事にクリアしたデザイン・オリンピックの各国代表の勇姿をとくとご覧ください。
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↑走り高跳びの切手。上左からブルガリア、象牙海岸(コートジボワール)、パプア・ニューギニア、ポーランド。どれも躍動感あふれる力作ばかりですが、あえて幾何学的な平面構成で挑戦したポーランドに脱帽。金メダルはポーランド!
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↑ゴール!の瞬間切手。上から旧ソ連、ルーマニア、コロンビア。ゴール感が一番出てる旧ソ連の切手を推したいところだが、あえて「ニャンニャンポーズ」と「欽ちゃん走り」をキメてるコロンビアに軍配。コーヒーだけじゃない!
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↑槍投げの切手。上より、ドミニカ、ルアンダ・ウルンジ、リベリア。多くの国が投げる瞬間のデザインを採用しているにも関わらず、すでに投げたあとの選手の顔をとらえたシチュエーションが見事なドミニカの切手に完敗。
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↑女子競技の切手。左上から、中国、ユーゴスラビア、ドミニカ。そう、あえて、ユーゴを推したい自分がいる。きっと走り高跳びの絵柄だしかし、中国の切手はいいですね。
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↑第三回国民体育大会記念切手。これらの切手の中で何が一番スゴいって、競輪ですよ。頭にオウムのヘッドギアみたいなのかぶってるやつがいる…。


さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『スポーツ切手』は絶版ですが、趣味のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、オリンピックがはじまるとついつい五輪真弓を思い出してしまう一冊『スポーツ切手』のご紹介でした。

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