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2012年7月22日 (日)

『こんぴら歌舞伎』

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カラーブックス885「こんぴら歌舞伎」西村 望 監修 井下 正三 著(平成8年初版、現在絶版)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第115回目は、知らざー言って聞かせやしょう!なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、うどん喰いながら「絶景かな、絶景かな!」的な一冊、『こんぴら歌舞伎』です。

2008年のこと、彼女と二人で四国へ旅行にでかけました。香川県高松で一泊し、翌日には高知へ移動して一泊、三日目は愛媛県松山を観光して東京へ帰ってくるという強行スケジュールの旅でした。香川についてすぐ「こんぴらさん」こと「金刀比羅宮」を参拝したのですが、帰り道の石段に「こんぴら歌舞伎 金丸座」という看板を見つけたので、「ついでだから行ってみるか」と、そのよくわからない名前の建物にも立ち寄ってみることにしました。石段を降りきったあたりで横道に入ると、昔の芝居小屋をそのまま保存した博物館のような建物が見えました。中へ入るやいなや案内係のおじさんが芝居小屋の解説を始めました。そして突然「待ってました、成駒屋(なりこまや)!」と、大声で叫び出したのです。「とまあ、こんな感じで役者が花道へ出て行くんですよ。」…いやぁビックリ、具体的に掛け声を出して歌舞伎役者の登場の仕方を教えてくれたのです。その後は小屋の内部をいろいろと見学、歌舞伎の上演こそなかったものの、歴史ある建物の裏側まで覗くことができて大満足でした(実はこの当時「こんぴら歌舞伎」のカラーブックスが出版されていることなど全く知りませんでした)。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、香川県琴平町にある「金丸座(旧金毘羅大芝居)」の概要と歴史、さらに日本の歌舞伎の歴史やこんぴらさん(金刀比羅宮)の解説までを盛り込んだ「こんぴら」&「歌舞伎」入門な一冊です。著者は、新聞記者を経て探偵小説などを執筆されている西村望氏と高松市在住の井下正三氏。西村氏は、巻頭で以下のように語っております。

「櫓太鼓の音とともにこんぴらに歌舞伎大芝居が帰ってきた。金丸座。よみがえったこの芝居小屋には数多くの名優が立っている。都会の大劇場とはくらべるべくもない小さな劇場(こや)だが、役者にとっては決しておろそかにできない舞台であろう。それは観客と役者の距離が近く、ために目くばり、セリフの言い廻し、それらすべてが手に取るようにわかるからだ。」

たしかに、金丸座はあまり大きな芝居小屋ではありませんから、観客との距離が近いということは、役者にとって手が抜けない「もっとも緊張するハコ」の一つと言えるのかもしれません。

この建物について、少し詳しくかきたいと思います。金丸座(旧金毘羅大芝居)は、江戸時代の天保6(1835)年に建てられた、日本に現存する最古の芝居小屋です。荒れ果てたまま放置されていた小屋は、昭和45(1970)年に国の重要文化財に指定、のちに現在地へ移築・復元されて保存されました。1984年にNHKの番組で同座を訪れた中村吉右衛門らの熱意によって芝居小屋として復活、同年11月に「こんぴら歌舞伎大芝居」が実現したのです。現在も年1回の定期公演が春におこなわれています。
さて、このブログはカラーブックスの魅力的なカラー写真をご紹介するのが目的ですから、今回もこの本に載っているステキなカラー写真をご紹介することにいたしましょう。それでは、顔に隈取りを書いて、手を前に突き出し、口の端を麻生元首相ばりに曲げながらじっくりとごらんください。カン、カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…ヨォー、カン。
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↑第9回こんぴら歌舞伎大芝居 中村富十郎「魚屋宗五郎」(『新皿屋舗月雨暈』)
妹を妾奉公先のお武家様に殺された魚売りの兄「宗五郎」が、悲しみのあまり酒におぼれ、最後にはお武家様の家に乗り込んで…。ある歌舞伎ファン曰く「富十郎は本当にうまかったのよ」客席に近いところで迫真の演技、ご存命の時に一度は見てみたかったなぁ。
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↑第5回こんぴら歌舞伎大芝居 中村扇雀(現・四代目坂田藤十郎)、市川團十郎「勧進帳」
頼朝に追われて逃げる弁慶と義経が、加賀の国(石川県)の関所「安宅の関」を山伏の格好で抜けようとしたところ、疑いをかけられたため、何も書いていない巻物を読み上げたり、義経を金剛棒で叩いたりして、ようやく通り抜けることができ…。ちなみに元・中村扇雀さんは、扇千景さんの旦那で中村玉緒のお兄さんです。市川團十郎はあたりまえだけどエビゾーのお父ちゃん。
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↑第7回こんぴら歌舞伎大芝居 中村勘九郎(現・勘三郎)と片岡孝夫(現・仁左衛門)、御座船で到着
おお、カンクローこと現カンザブローが船に乗って香川にやってきましたよ。後ろからは、ダンディーなニコンのメガネのニザエモンさんが降りてきましたゾ。
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↑「奈落。セリ出しの装置や力石がある」
まさに、これが奈落の底。人力で動く廻り舞台が素晴らしい。地面に均等に並んだ力石を踏んで廻り舞台を動かします。ドリフの場面展開も、この要領だったのかな(違)。
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↑花魁道中
毎年10月に開かれる、江戸の賑わいを再現した「こんぴら街道市」のフィナーレ。花魁はなぜ花の魁と書くか?それは「昔、梅毒が流行っていて、花魁と遊ぶと鼻の先が欠けたから」鼻の先欠け、花の魁。これは三遊亭円生の落語のマクラで知りました(本当)。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『こんぴら歌舞伎』はわずかに(現時点で3部)改訂版の在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、あっ小せぇ、小せぇ(石川五右衛門)な一冊『こんぴら歌舞伎』のご紹介でした。

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