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2012年10月19日 (金)

『小住宅』

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カラーブックス142「小住宅」井出 正雄 著(昭和43年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第121回目は、家を作るなら〜、家を作るなら〜ぁ〜♪、なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、けして豚小屋ではない日本らしい住まいのあり方を考えさせられる一冊、『小住宅』です。

私の実家は昭和47(1972)年頃に建てられた一軒家なのですが、今回ご紹介するカラーブックスの表紙にあるような、瓦屋根に、薄い石の板のようなものを組み合わせた壁や、大谷石製の灯篭などが置かれている、いわゆる昔の一般的な小住宅です。私の好きな70年代の和風建築で、しかもさらに古い時代に建てられたかのような落ち着いた雰囲気があり、壁や床板、柱などにこの家を建てた祖父のこだわりが感じられる家です。当時どのくらいの金額で建てたのかはわかりませんし聞いた事もありませんが、家を建てた借金を返すために死ぬ気で働き、わずか2、3年で払い終えてしまったそうで、その過労がたたったのか、祖父はこの家を建てた5年後に52歳という若さで他界してしまいました…。この実家も竣工から40年を迎え、だいぶ古ぼけてきていますが、改めて家の中を観察してみると、昔の家ならではの作りこみの細かさが随所に見受けられ、思わず感心してしまう今日この頃なのでした。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな小住宅の施工例を多数掲載し、来るべきマイホーム時代に向けて企画された、自分の家を建てる時の参考書的な一冊です。著者は、京大工学部建築家卒で各役所の建築技師を歴任した、建築家・井出正雄氏。井出氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「住宅に興味を持っている人は多く、とりわけこれから自分の住宅を建てようと計画し、関心を寄せている人は多い。書物もたくさん出ていて、婦人雑誌などにも記事がのせられているが、実際にこれなら自分で建ててみようと思う家は意外に少ないのではないか。住宅に関して、つねづね考えていること、疑問に思っていることを、説明し解説してくれる内容の書物がほしいのではないかと思われる。そこでこの本では、写真と記事両方から理解できるカラーブックスの特色を生かし、理論の説明よりも、りくつぬきで、こんなものはよい、こんなことは悪いと写真や図面で示すことにした」

たしかに、住宅や設計に関する難しい専門書を読んだり解説を聞いたりしても、シロートからしてみればなんのことやらサッパリわかりません。これは住宅の計画に限らず、他のさまざまなことにも言えるのではないでしょうか。カラーブックスは、エキスパートの人物が、全くのド素人に最小限の文字量と豊富な図版を使ってわかりやすく解説してくれる、この上なく親切なカラー文庫でした。この分かりやすいカラーブックスを読んで、夢のマイホームの計画を立てた高度経済成長期のサラリーマンも多かったのではないでしょうか。それでは、そんな「人類の進歩と調和」の時代に建てられた小住宅の名作の数々をゆっくりとご堪能ください。(アフロヘアーにサングラスで指を鳴らしながら)ヘヘェ~イ、シャバダバダディ~、家(イェー)。

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↑居間 「30平方メートルあって広い。左側は南面しているテラス。ひさしがないので日射をさけるためスダレがかけられている」
うーん、そうそう、この感じです。和なのか洋なのかわからない中の上くらいのささやかな幸せ…今の日本人が忘れかけている片田舎の素朴な高級感といいますか、東郷青児の絵を飾るくらいのちょっと洋風に憧れるくらいの感じ、また復活させませんか?
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↑子供部屋 「こどもの小さいときは、二人が一部屋を使うことも多い。この部屋には美しい二つのイスがおいてある。」
ええ、わかってますよ、部屋がどうのこうのじゃないって言いたいんでしょ。左の棚にある犬のヌイグルミが気になるんでしょ?あと、椅子の脚の形。なんでこの時代ってイイんだろ?

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↑寝室
妻は言った。「もしいま私が死んだら、このベッドは新しい奥さんのものね」夫「ああ、寂しいが、そうなるだろうね」妻「私のゴルフセットも?」夫「いや、それは違うね」妻「なんで即答したの?」夫「彼女は左ききなんだ」(ジョーク集より)
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↑新建材、ハイウッド、ハイストーン、クラフト合板、パネルで内装した落ち着いた雰囲気の居間
なんと、このテーブル、我が家でも愛用しているカリモクのテーブルであります。壁際のウイスキーボトルも時代を感じさせます。おや、左の端に置いてあるのは小便小僧じゃあーりませんか。
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↑道路に面して庭のある住宅
二階のバルコニーの白い手すりが印象的な家。え?別荘じゃないの?なんだか普段生活している家とは思えない大きさ。きっと、庭には二羽ニワトリが…。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『小住宅』は品切れ中ですが、趣味のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、できれば『大邸宅』(存在せず)も読みたかったなぁと思わせた一冊『小住宅』のご紹介でした。

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