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2013年1月20日 (日)

『日本の家紋』

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カラーブックス286「日本の家紋」辻合 喜代太郎 著(昭和49年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第127回目は、この紋所(もんどころ)が目に入らぬか!なカラーブックスをご紹介いたします。今回は、必ずといっていいほど、どの家にも伝わっているマークについての一冊、『日本の家紋』です。

子どもの頃から、私は家紋が好きでした。歴史に興味があるからというよりも、デザインのバリエーションの豊富さに興味を持ったのです。ですから、そのマークが何をかたどっているのか、どこのマークと同じなのか、どのマークがどこから派生してどのように変化したか、という経緯についてはまったく興味がありませんでした。「あ、蝶の模様だ」「なんだこりゃ大根の家紋なんてあるんだ」「うさぎの模様って可愛いな」「これってテレビで見た事あるぞ」といった具合に、マークのデザインそのものを楽しんでいたのです。もちろん、私の実家にも家紋は伝わっていました。「田端」という名字からして江戸時代以前は明らかに農民だったはずなので、おそらく明治以降に決めたものだと思いますが、家紋は恐れ多くも「五三の桐」です(母方は武士だったと聞いていますが…真偽は不明)。平成も二十五年になったというのに、どの家庭にもそれぞれのご先祖さまが選んだ家紋がいまだに伝えられているところが面白いなと思います。日本人は家紋が好きなんですね。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな家紋を多数ご紹介する、家紋辞典的な一冊です。著者は、琉球大学教授で文学博士の辻合喜代太郎氏。辻合氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「家紋は家の象徴であるといわれる。家紋と家とのかかわりあいはずいぶん古い。一個の家紋がもっていた力は、家の消長とともに変化した。ときには困苦に耐える活力素となり、ときには苦難克服の精神的な糧として無限に不思議な力を発揮したであろう。(中略)しかし、近時、家の観念の変化とともに家紋に対する立場も若干異なってきていることは否めない事実であって、核家庭の発生がそのおもな原因であろう。」

たしかに、現在では家紋に接する機会は墓石で見かけることくらいしかありませんし、家紋を入れた物を持ち歩く習慣もありません。それどころか、自分の家の家紋がどのようなものなのかを知っている若い世代の人も少なくなっているのではないでしょうか。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな廃れゆく日本の伝統的なロゴデザインを数多く収録、各家紋の意味、種類、そのいわれなども紹介した家紋入門的な一冊です。デザインといえば、海外から輸入されたもの、というイメージがあると思います。しかし、それよりも秀逸なオリジナルデザインを日本人ははるか昔より作りあげていたのです。丸い形の中におさめるという技、シャレの効いた遊び心、そして空間を上手く使った「間」の美、これは日本が世界に誇れる「詠み人知らず(アノニマス)」デザインではないでしょうか。これを機会に、あなたの家の家紋や、日本独自のグラフィックデザインである家紋の奥深さに触れてみてはいかがでしょうか。それでは、日本の伝統的な物品における家紋の使用例を、カラー写真でじっくりとご堪能ください。

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↑蒲団表地 「太輪に三柏、半陰揚羽蝶」
「木綿布を四幅に縫合わせた紺染めの蒲団表地である。正紋として「太輪に三柏」、副紋として「半陰揚羽蝶」を白抜きとしている。これは結婚用、または客用蒲団表地として使用されたものである。」どうですか、この間。カッチリ感。見ているだけでドキドキします。新木場のクラブ「ageha」も、このマークにしたらいいのに。

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↑蒲団表地 「丸に尻合せ三蔦紋、暴熨斗文と海老」
「貴客用、または結婚用荷物の蒲団表地である。これは型染ではなく、筒描法による特注品である。四幅木綿布の上端に「丸に尻合せ三蔦紋」を描き、下に装飾に装飾として瑞祥文の暴熨斗文と海老を描いている。海老のみがベンガラで着彩されている」家紋も秀逸なデザインですが、海老と熨斗に全部持ってかれてる…、しかし海老の染めが美しいですな。
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↑火消装束衣「浮線蝶」
木綿の厚布地を用いて作ったもので、描かれている家紋は「浮線蝶」。しかし、どうしても目は家紋よりも「弥次郎兵衛」に…。

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↑タイピン・カフス「上藤紋」
うわ!出ました、家紋タイピン。カフスと合わせて身につけるだけで、気分はなぜかVシネマ。時計はもちろんロレックス、スーツはもちろんベルサーチ。

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↑武人旗差図「右三巴紋」
室町時代作と伝えられる屏風絵。家紋を描いた旗はいいんですが、その袋なにいれてるんすか? え?三角関係の相手?なるほど、三つどもえ…。

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『日本の家紋』は品切れ中ですが、『続 日本の家紋』、趣味・手づくり・マナーのカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、「おいで!」を英語で言うと?な一冊『日本の家紋』のご紹介でした。

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