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2013年3月31日 (日)

『暮らしの色彩』

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カラーブックス145「暮らしの色彩」 著(昭和43年初版、現在品切れ)

保育社カラーブックスシリーズの魅力をたっぷりとご紹介する「カラーブックスの達人」ブログ。第132回目の最終回は、彩(いろどり)鮮やかなカラーブックスをご紹介いたします。最終回は、今までご覧いただいた皆様に感謝感謝の一冊、『暮らしの色彩』です。

色、それは私にとってトラウマ以外の何物でもありませんでした。保育園に通っていた頃から、どんな絵を描いても茶色くなってしまうのです。自分で意識した事はありませんが、好きな色の絵の具を混ぜていると、なぜか茶色になってしまい、画面が濁って汚い色になってしまうのです。そのおかげで、小学生、中学生と、水彩絵の具で絵を描くことが嫌いで、自信を持って絵を描くことができなくなってしまったのです。そのトラウマを開放してくれたのが、高校時代の美術の先生でした。日本画の家元に生まれながら東京芸大の油絵科を卒業したという異色の画家O先生は、最初の授業でこう言いました。「いままで水彩絵の具で絵が嫌いになった人も、絵が好きになる絵の具を使います」と。それがアクリル絵の具「リキテックス」でした。透明感のあるリキテックスは、色が混ざって濁ることがなく、すぐに乾くので上から色を重ねることもできます。何にでも描け、しかもすぐ乾く。そして汚れない。なんという魔法のような絵の具なのでしょう! 以降、私は絵を描くことが大好きになり、のちに油絵を描いたり、カラーでイラストを描いたりするようになりました。今度、時間があるときにでも久しぶりにアクリル絵の具で何か描いてみたいなー、なんて思ったりした今日この頃なのでした。

閑話休題。今回ご紹介するカラーブックスは、暮らしの中にある色選びやセンスを磨く色彩入門的な一冊です。著者は、女流画家協会委員にして山脇服飾学院講師だった神戸文子氏。神戸氏は、「はじめに」で以下のように語っております。

「色を選ぶ時、センスの良さ、かんの良さだけに頼るのでなく、なぜそれを用いるか、の理論的な裏づけが必要です。しかし、それはむずかしい色彩理論を勉強せよというのではありません。今まで、何げなく見すごしてきた色彩を、正しく見る目を養い、選んだ色をどこにどのように、いかに美しく配色するかに、もう少し神経を使ってほしいということです。」

たしかに、私たちは知らず知らずのうちに色に囲まれて生きています。そして、洋服を選んだり、カバンを持ったり、部屋に置くインテリアを買ったりするとき、その配色について考えています。今回ご紹介するカラーブックスは、そんな色を見る目を養うための基礎的な知識を学ぶ、かんたんなカラーコーディネート入門です。さて、カラーブックスといえば、豊富なカラー写真。カラー写真といえば、色。カラーブックスブログの最終回を飾るのにふさわしい、カラフルで毒々しい色の洪水的な図版の数々をどうぞたっぷりとご堪能ください。
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↑赤
「赤に黒のボタンとベルトで個性的な強さを」赤、それは女性を情熱的にさせる。赤、それは羞恥や嘘を意味する。赤面、赤っ恥、真っ赤な嘘…。レナウンの「イエイエ」時代を思わせるファッションに思わず赤面!
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↑パステル・カラー
「中間色のソフトなニュアンスが都会的です。」パステル・カラーを説明するのに、本物のパステルを使うところがカラーブックスクオリティ。でも、女性の服の色はちーっともパステルカラーじゃないゾ。
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↑居間の色彩
「お嬢さんのお友だちが来るというので、全体赤い調子をつけてみました。暖色系の造花、テーブルクロスもかわいらしいものに、机の上にキャンディ入れ。ずっとはなやかな感じに変わりました。」まるで『暮しの手帖』がコーディネートした家みたいでステキ。あれ? このワンちゃん、さっきから動かないや。
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↑黄を基調とした小物の構成
黄というか金というか、なんか見てるだけで気がおかしくなりそうな世界観です。特に、サタンというかピエロというか、お前だよ!
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↑ウインドウ・ディスプレイ 小泉正名
「夏。海の中を表わしたもの。貝のフォルムに流動感があります」銀座和光らしいお上品な飾りです。右に沈むは、昔の漁業で使われていたガラス製の浮き(ビン玉)じゃござんせんか。今や飲み屋の飾りでしかお目にかかりませんが、当時は現役だったのでしょう。しかしこのディスプレイは上品だ、いや上品すぎる!

さて、いかがでしたでしょうか? 今回ご紹介いたしました『暮らしの色彩』は品切れ中ですが、芸術入門のカラーブックスは在庫があるようです。この機会に是非どうぞ。ご購入希望の方はコチラ←から。今回は、いろいろ色のことがわかってしまう一冊『暮らしの色彩』のご紹介でした。

〈最後に〉
この「カラーブックスの達人ブログ」を始めたのは2007年10月のことでした。あれから5年と5カ月、毎月2回の更新を続け、気がつけば今回で132回目になっていました。皆様のおかげで、こんなにマニアックな内容のブログにも関わらず、のべアクセス数も10万を超えました。私の拙い文章でカラーブックスの魅力をどこまで紹介できたのか疑問ではありますが、こんなに面白いカラー文庫が1962年から1999年まで発行されていたということを毎月お伝えすることができただけでも幸せな5年5カ月でした。
先日、コメント欄に「文体がくどくて読みずらい」というお叱りのコメントをいただきましたが、失礼なキャプション、ふざけた表現、ゆきすぎた暴走気味の文体など、お読みいただいた方を不快な思いにさせた表現が多々ありましたこと、深くお詫び申し上げます。
そして、これだけ長きに渡って連載をし続けてこれましたのも、ひとえに保育社の前社長・松井貴彦様のお陰です。本当にありがとうございました。このブログの連載はこれにて終了いたしますが、いつかまた、未だ紹介できていない700冊以上のカラーブックスのために、しばらくこのページを残しておきます。近いうちに別のブログに移行するかもしれませんが、その時は改めてこのページ上にてご連絡いたします。
ご愛読くださった皆様、コメントをくださった皆様、叱咤激励をくださった皆様、本当にありがとうございました。そして、私の生活を豊かにしてくれた、全909冊のカラーブックスに感謝申し上げます。
そして、このブログのための写真撮影からアドバイスまで、いろいろと支えてくれた妻の弥生にも感謝いたします、ありがとう。

では皆さん、さようなら、また会う日まで。

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コメント

田端さま
お礼が遅くなりました。長きにわたってのブログ連載、ありがとうございました。
お会いした当時、保育社の私よりもずっとカラーブックスに詳しく、愛情を持っておられることに驚きブログをお願いしました。
私が保育社から離れるときも、このブログを引き続き書いてくださったこと、すごく感謝しております。
田端さんの文章はややマニアックなところもありますが、いやみのない読みやすいものだと思います。
ブログの連載はひとまずはお休みとして、これからも田端さんの独特の視点を活かして、編集者としてますますのご活躍を期待しております。
ありがとうございました。

投稿: 松井貴彦 | 2013年4月 8日 (月) 11時49分

松井貴彦様

こちらこそ、長きに渡って連載をさせていただき感謝しております。このような機会を与えていただき、しあわせな日々でした。早めにブログの移行をさせていただきますので、またご相談させてください。ありがとうございました。

投稿: 田端宏章 | 2013年4月 9日 (火) 06時52分

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