趣味

2007年10月 2日 (火)

「カラーブックス」の世界へようこそ!

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あなたは「カラーブックス」という文庫本をご存知ですか?
ようこそ、カラーブックスの世界へ。カラーブックスとは、大阪の老舗出版社・保育社より発行されているカラー文庫のシリーズ名です。昭和37年(1962)4月「色々なジャンルの情報を提供するビジュアルな小百科」として創刊、以後40年近くに渡って出版され、平成11年(1999)までに909タイトルが世に送り出されました。創刊当時のコピーは、「カラー写真による、見る文庫の誕生! レジャーを活かす、現代人のホームライブラリー!」というものでした。第1回配本は「ヒマラヤ 秘境に生きる人びと」。以後、「桂離宮」「犬 その銘柄」「切花200種」「サボテン」と続きます。カラーブックスは高度成長期日本の一般家庭において、一家に一冊は必ずあったといっても過言ではないほどポピュラーな実用的文庫シリーズだったのです。このブログでは、そんなカラーブックスの魅力や愉しみ方をたっぷりとご紹介していきます。申し遅れました、私はカラーブックス・ファンの一人で編集者の田端宏章(たばた・ひろあき)と申します。


なぜ、私がカラーブックスシリーズに興味を持ったのか? 
率直に言います。カラーブックスの最大の魅力、それは本の中に閉じ込められた「高度成長期時代の空気感」、そして、「狙った感のない本物のユルさ」、この二点です。それは、一昔前のオシャレなファッションだったり、今見てもステキな内装の建築だったり、堅くて真面目でどこかズレてる解説の文体だったり、取り上げるテーマの意外性だったり、派手な色彩や写真の版ズレ具合だったり…。不変的なカッコ良さやモダンな部分もあれば、へなちょこでダサくてユルい部分もあって、それらが絶妙なバランスで同居しているのです。そんなカラーブックスの虜となってしまい、気がつけば古本屋の文庫コーナーばかりをチェックする日々が続いています。最近では、古本好きの若い世代の間でカラーブックス・ファンが急増し、一部のタイトルがプレミアをつけているほどです。知れば知るほど深みにハマるカラーブックスの魅力を、このブログで少しでもお伝えすることができれば幸いです。記念すべき第1回に取り上げるのは「こけし」です。


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カラーブックス182「こけし –その伝統と創作–」山中登 著(昭和44年初版、現在は絶版)
私がカラーブックスの魅力に目覚めるキッカケとなったタイトルが、シリーズ第182番の「こけし –その伝統と創作–」でした。そのサブタイトルからも分かるように、伝統的なこけしの種類や歴史などを紹介しつつ、その後に作られるようになった近代こけしや、さらには観光地のお土産として大量生産された商業こけしまでを網羅した「こけし本」です。この本には、こけしの発祥や歴史、種類などの情報が手短に分かりやすく解説されています。もちろん、カラーブックスという名の通りカラー写真も豊富。


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もともと真面目な本なので堅さはぬぐえませんが、その真面目さに「こけしへの真っすぐな愛」を感じます。一般的に知られている伝統こけしや、モダンで洗練された近代こけしも面白いのですが、私的には「商業こけし(お土産こけし)」についてページが割かれていることに注目したいところです。著者はそれらを「こけしまがいのもの」、「温泉客に迎合したもの」と批判的にとらえています。かつて昭和30年代の観光地であれば必ず売っていた、その土地へ行った証としてのお土産こけし。食べ物のお土産が保存期間の関係で難しかったこの時代、お土産の主流は腐ることのないお土産こけし達でした。より一般的な人々に受けようとしたため、そのモチーフはタヌキ、カッパ、ダルマ、弥次喜多、海女、野菜果物と、伝統的なこけしに比べれば「俗っぽさ」を感じるものばかりです。


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本書によると、これら商業こけしは宮城県遠刈田温泉のダンゴこけしに端を発し、その後、神奈川県の小田原にて大量生産されたものだとか。江戸時代より挽き物玩具でならした熟練の職人が多かった小田原、瞬く間にその種類を増やして、戦後昭和22年〜昭和44年(1947〜1969)までの間に作られた商業こけしは数万種類を数えたそうです。昭和44年現在では、神奈川県小田原市、群馬県前橋市、山形県米沢市が主な製造場所となっていました。しかし、この本の著者はお土産こけしについて「あまり好意は抱けないが、無視することができないほど普及しているので取り上げざるをえなかった」といった感じが見て取れます。そんな著者とは全く正反対に、私はこのカラーブックスを手に入れた頃からお土産こけしに興味を持ちはじめました。実家のこけしケースをはじめとして、骨董市やフリマ、古道具屋にて面白そうなものを少しずつ買い集めています。今回は第1回記念として、その所蔵品の一部をチョコッとご紹介いたします。


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インド人こけし(江ノ島)
いわゆるクロンボこけしとは一線を画す、ターバンで茶褐色のインド人こけし。漂うのは南国の甘いムード。実家にて発掘。


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海女グラス(外房)
グラスに海女が潜ってます。この小さく凝縮された宇宙に、日本人の見立ての精神を見た。実家にて発掘。


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芸術家こけし
ベレー帽をかぶったオシャレなアーティスト…かと思いきや、胸には恐ろしいアトミックマークが。まさに芸術と科学のコラボレーション。貰い物。


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ベレークロンボ
同じベレーでも、こちらは南の国のアーティスト。体部分がアフリカの太鼓のような柄になっているところに「省略の美」を感じます。リサイクル店にて。


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麻雀こけし(雀こけ)
麻雀牌に顔を付けて、点棒を敷いたら雀こけのできあがり。なんでもこけしにしてしまう、そんな商魂逞しさがお土産こけしの面白いところです。アンティークショップ「EXPO」にて購入。

いかがでしたでしょうか、お土産こけしの世界。このような感じで、月2回くらいの更新を目標に、カラーブックスの紹介とそれに関連したものを同時にご紹介できたらと思っています。どうぞお楽しみに!

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